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”愛の貧乏脱出大作戦”

あなたはこのタイトルを見て
ピンとくる世代だろうか。

「愛の貧乏脱出大作戦」という番組が好きだ。

今から20年以上も前、テレビ東京で放送されていたドキュメントバラエティ。日本全国にある傾きかけた飲食店、借金まみれの飲食店を再生させるために、繁盛店の技をわずか数日で身に付け精神を叩き直す、という内容。ある一定以上の年代の方にならわかってもらえる番組だと思う。

どういう訳か、この番組の映像が大量に動画サイトにアップされていて、今でも大多数の回は視聴することができるのだ。はじめは私も何となくで観ていたのだが、今ではすっかりとハマってしまった。

まあこの番組に出てくる店主が情けないこと見てらんないこと。修行させてもらってる身なのに教えてもらってる達人に歯向かったり、どう考えてもマズイ自分の料理に変な自信を持ってたり、奥さんが目の前に居るのにふがいない仕事ばっかりしたり。中には黙って数千万借金してたり。

もう、本当に、とことんダメダメ。
どうしようもねぇダメ亭主ばかりなのだ。
もはや不甲斐ないってレベルじゃあない。
見ていて何度画面を殴りたくなったことか。

この番組に出てくるダメ店主のおよそ9割は、男。
嫁さんは内職したりパートで稼ぎを生んで、子供も育てて、本当にしっかりしてるのに、なぜ、どうして、こうなってしまったんだ??という疑問が常に付きまとってくる。最近大ヒットした「オモウマい店」の対極にあるものが「愛の貧乏脱出大作戦」なんじゃないかと思うぐらい、正反対で、ヤバイ。とにかくヤバイ。

曲がりなりにも人間生活を送っていたら、何もわからず何もできず、しかし何かを成し遂げようとしてもがきつづけるような、初々しい時期があったはず。そして、その葛藤の中で自分なりに成長を遂げてきて、やっと成果を掴んだ、それが自分の店を持つということだったはずなのに。なんでこんなに怠惰で堕落した人間になってしまうんだろう。

いや、それはまだ自分が青臭い20代だからわからないだけのことなのかもしれない。これから自分だって苦悩したり、壁にぶち当たったり、仕事で上手くいかないことがたくさんあってもうどうしようもなくなることだってあるかもしれない。そうしたら、彼等みたいに自暴自棄になって怠惰になってしまうのかもしれない。

でも仮にそうだとしても
嫁さん泣かせるような旦那にはなりたくねぇ。
そう強く、強く、本当に強く、思うのだ。

男だったらどこかでキッパリとけじめをつけなきゃならない時がある。飛び出すように前に出て皆を引っ張ったり、ひれ伏して無礼を詫びたり、そうでもしなきゃ背負った責任を果たせない。普段は柔らかい笑顔でみんなのムードメーカーになるような自分でも、常に腹の中にそれぐらいの度量は持っているつもりだ。俺だって九州男児。身体の中に流れている血は全部、逞しくて覚悟を持ったドデカイ人間の心意気で出来ていると勝手に思ってる。

その度量を忘れたとき。心の器がバキバキに割れてしまったとき。男としての価値は無くなってしまうのではないかな、と私は思うのだ。

人の振り見て我が振り直せ、とはよく言ったもの。

こんな風になっちゃいけない。
こんなプライドだけ高い人になっちゃいけない。
そう心に言い聞かせながら、私は今日も仕事に向かう。



おしまい。



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