ワイシャツが自分の”色”を戻してくれた
ワイシャツを沢山買った。
というか、母に買ってもらった。
休みにユニクロに行って、スラックスを2本とワイシャツを4着。そしてそのあとZARAでかっこいいリュックサックも買ってもらった。グレーの無地。水色ストライプ。ギンガムチェック。どれもこれも、就活の時には絶対着ることができなかった代物。
別に、白シャツが嫌なわけじゃない。なんなら白は大好きだ。でも、就活の時にみんなが判で押したように同じ白シャツ黒スーツで戦いに向かうことは嫌だった。なんだかとても奇妙な姿に思えて、いつもいつも笑ってしまう。就活フェアの時なんか、でっかい展示場に黒スーツの男女が数万人も集まるんだから、もうシュールすぎて吹き出してしまうそうになる。
だから、もう白黒の就活生コーデをしなくったって
毎日仕事に行けることにすごく達成感を感じた。
人生の中で一番と言っていいほど長く苦しい全員参加クエストである就職活動。まして、新型コロナウイルスというスーパーハードモードの中を、こんなひよっこで臆病でちんけな自分の身一つで乗り切ることができたんだ、とすごく自信を持てるのだ。
就活の光景を見るたびにいつも考えてしまう。
本当の「個性」とは何なのか。
別に、人と全然違うことをしようとしなくてもいいんじゃないかなと思う。よく「我が道を往く」じゃないけど、世間から目を背けてgoing my wayってな感じで奇抜なチャレンジをしたりする人が居たりする。それはそれで好きにやってくれたらいいし、そういう自由な人が居たって別にいいと思う。
でも、個性ってもっといろんな出し方があると思うの。
それこそ、ワイシャツだってそう。貴方の着たい形、色、柄。自由に選んであげていいと思うの。貴方が一番輝いていると思う姿で居ること。自分のことを自分で引き立ててあげること。そのひとつのちょっとした工夫こそが「個性」って言うんじゃないかなぁ。
就活の時も、私はささやかな抵抗を続けていた。ネクタイピンや髪形で。あるいは、眼鏡の形で。大枠では就活のマナーに則っておとなしくしてたけど、”最後の抵抗”と称してせめて自分が本当にしたい恰好、したいオシャレをワンポイントだけ続けていた。大学の職員にも「眼鏡を変えた方がいい」と言われていたけど、最後まで変えなかった。
だって、その最後ひとつを失った瞬間
自分が自分じゃなくなってしまいそうだから。
だからもしかしたら、今こうしてわりかし目立つ柄のシャツを着ている自分に対して「アイツまだ新人なのに随分派手なの着るなぁ」とか思ってる先輩もいるかもしれない。でも、別にいい。勝手に思わせときゃいい。だってこれが、自分が本当に出したい色なんだから。
洗濯のりでパリッとした新品のワイシャツの袖に腕を通した時、ようやく自分の色が戻ってきた気がした。何物にも染まらないまっさらな自分から、晴れ渡った空のように穏やかで蒼い自分にギアチェンジして、ほどほどの速度でテクテク歩いてく。
夢は叶わなかったけど、これはこれで
楽しい人生なぁって今は思えてます。
さて、明日私が着るシャツの色は・・・。
おしまい。
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