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Camino

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900km歩こうとした、さんぽ
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自殺志願者の明日、

自殺志願者の明日、

金・仕事・家など、全てを失い自殺を試みるも失敗に終わった彼と出会ったのは、約1ヶ月前の6月4日。この写真の場所だった。

そこは、ボクがその日の宿として目指していた道の駅だ。
道の駅に着いてから重いバックパックをおろし、階段で休んで一息ついていると、背後から小汚い大柄のおじさんが声をかけてきた。

大きなバックパックを背負っていたボクを見て「旅人」だと思い、話しかけたらしい。

そこの道の駅には、

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【#1】歩こうかな、と。

【#1】歩こうかな、と。

これはボクがスマホを手放して、広島から実家のある長野まで徒歩で目指した実話。
たった10日間の出来事とは思えないほど、多くを学び、成長できた最高の旅だった。

2020年の初めに、ボクは年間の計画を立てた。

去年の2月からやっている広島でのアルバイト生活を、この5月末で終わりにし、6月から3か月の期間、リゾバでお金を貯め、9月10日前後にワーキングホリデービザを用いて、スペインに行くと。

この

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【#2】終わり始まりのハザマ

【#2】終わり始まりのハザマ

前回 1話 歩こうかな、と

これはボクがスマホを手放して、広島から実家のある長野まで徒歩で目指した実話。
たった10日間の出来事とは思えないほど、多くを学び、成長できた最高の旅だった。

2020.5.30

約1年3ヶ月におよぶ広島生活も、終わりを迎えた。

明日は、家をキレイに掃除して、解約。
また、実家に帰る旅の初日でもある。
「オワリはじまり」の日、だ。

昨日をもって、広島生活の間お世

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【#3】始まったのか、?

【#3】始まったのか、?

前回 2話 終わり始まりのハザマ

これはボクがスマホを手放して、広島から実家のある長野まで徒歩で目指した実話。
たった10日間の出来事とは思えないほど、多くを学び、成長できた最高の旅だった。

2020.5.31

旅の朝を迎えた。雨の朝だ。
今日をもって退去する部屋を、最後に大掃除。

その、起きてから掃除をこなす様子は、今まで通りの休日と何ら変わらないような感じだ。

掃除を済ませ、部屋の鍵

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【#4】雨と寝床とタイミング

【#4】雨と寝床とタイミング

前回 3話 始まったのか、?

これはボクがスマホを手放して、広島から実家のある長野まで徒歩で目指した実話。
たった10日間の出来事とは思えないほど、多くを学び、成長できた最高の旅だった。

2020.6.1

近所の住人が、この集会所に設置されているゴミ収集ロッカーを開ける音で目が覚めた。
ボクの寝ているところは、そこから死角になっていたが、万が一、こちらに気付き何か言われるかもしれないと、少し

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【#5】田舎の国道、死んだフリ

【#5】田舎の国道、死んだフリ

前回 4話 雨と寝床とタイミング

これはボクがスマホを手放して、広島から実家のある長野まで徒歩で目指した実話。
たった10日間の出来事とは思えないほど、多くを学び、成長できた最高の旅だった。

2020.6.2

5:00に起きた。昨日17:30に寝たので、11時間超と、かなり長い睡眠だ。
片付けや支度をし、5:45に出発。時計があるのはいいなぁ、としみじみ。

昨日はゆっくりしたので、その分今

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【#6】感謝の乾杯

【#6】感謝の乾杯

前回 5話 田舎の国道、死んだフリ

これはボクがスマホを手放して、広島から実家のある長野まで徒歩で目指した実話。
たった10日間の出来事とは思えないほど、多くを学び、成長できた最高の旅だった。

2020.6.2

久しぶりの温泉に対する期待感と、ファミマでのアイス休憩によって、疲れが見事に回復したボクにとって、10キロという道のりは近すぎた。

車のほとんど通らない田舎道を進んだ。
ちょうど中

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【#7】旅を忘れて

【#7】旅を忘れて

前回 6話 感謝の乾杯

これはボクがスマホを手放して、広島から実家のある長野まで徒歩で目指した実話。
たった10日間の出来事とは思えないほど、多くを学び、成長できた最高の旅だった。

2020.6.3

目覚めは完璧だ。なんせ、布団で寝れたのだから。

今回の旅は「野宿&徒歩移動」がコンセプトであった。車に乗せてもらうことはあったとしても、このように布団で寝れることなど想像もしていなかった。そん

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【#8】恐怖のベタ踏み坂

【#8】恐怖のベタ踏み坂

前回 7話 旅を忘れて

これはボクがスマホを手放して、広島から実家のある長野まで徒歩で目指した実話。
たった10日間の出来事とは思えないほど、多くを学び、成長できた最高の旅だった。

2020.6.3

進む。現実に戻ってこなきゃいけないんだ。進まないと終わらないんだ。
幸いなことに、10km先に道の駅があるみたい。とりあえずその道の駅を目指すことにする。着く頃には夕暮れ時なので、いい寝床があれ

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【#9】温泉施設の意味

【#9】温泉施設の意味

前回 8話 恐怖のベタ踏み坂

これはボクがスマホを手放して、広島から実家のある長野までを徒歩で目指した実話。
たった10日間の出来事とは思えないほど、多くを学び、成長できた最高の旅だった。

2020.6.4

地元の人が自販機で飲み物を買う音で目が覚め、それと同時に感じる冷ややかな目線によって、そちら側を見ないようにと、コッソリ体を起こした。そんな朝。
目線を送った人にとっては、ボクが野宿して

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【#10】ラクを知った自分

【#10】ラクを知った自分

前回 自殺志願者の明日、

これはボクがスマホを手放して、広島から実家のある長野まで徒歩で目指した実話。
たった10日間の出来事とは思えないほど、多くを学び、成長できた最高の旅だった。

2020.6.6 7日目

鳥取駅で彼と別れたボク。
彼との経験があまりにも大きすぎて、ボクは「もうこの旅を終えてもいいのかな、」と思っていた。
彼とも歩いている最中に、そのような会話をしていて、「宮﨑くんらし

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【#11】峠を越えて

【#11】峠を越えて

前回 10話 ラクを知った自分

これはボクがスマホを手放して、広島から実家のある長野まで徒歩で目指した実話。
たった10日間の出来事とは思えないほど、多くを学び、成長できた最高の旅だった。

2020.6.7 8日目 前半

今日は早起き。
まだ日が昇っていない時間に目が覚めた。
ボクの宿(公園)には時計がなかったため、時間を確認するために駅へ向かう。いつも、朝は体が痛くてスムーズに歩けないのだ

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【#12】ユラユラ

【#12】ユラユラ

前回 11話 峠を越えて

これはボクがスマホを手放して、広島から実家のある長野まで徒歩で目指した実話。
たった10日間の出来事とは思えないほど、多くを学び、成長できた最高の旅だった。

2020.6.7 8日目 後半

海鮮丼を食いすぎた。だって、ご飯のおかわりが無料だったんだもん。
刺身定食ならしも、海鮮丼のご飯おかわりってどういうこと?って思ったけどさ。そんなの気にせずにするよね、おかわり。

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【#13】グラグラ情緒

【#13】グラグラ情緒

前回 12話 ユラユラ

これはボクがスマホを手放して、広島から実家のある長野まで徒歩で目指した実話。
たった10日間の出来事とは思えないほど、多くを学び、成長できた最高の旅だった。

2020.6.8 9日目

寒い。
海が見えることは本当に素晴らしいことなのだけど、朝がとにかく冷え込む。

寝ぼけながら、寝袋の中でグダグダタイムを過ごしていると、露出した下腹のあたりをゲジゲジが通ったような、そ

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