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【#4】雨と寝床とタイミング

前回 3話 始まったのか、?

これはボクがスマホを手放して、広島から実家のある長野まで徒歩で目指した実話。
たった10日間の出来事とは思えないほど、多くを学び、成長できた最高の旅だった。

2020.6.1

近所の住人が、この集会所に設置されているゴミ収集ロッカーを開ける音で目が覚めた。
ボクの寝ているところは、そこから死角になっていたが、万が一、こちらに気付き何か言われるかもしれないと、少し怯えながら体を起こした。
幸い、そのようなことは起こらずに、その人は自分の家に帰っていった。

太陽の昇り具合や、明るさを見る限り5:00くらいだったと思う。
少し肌寒かったが、雨は降っていない。蚊が顔の周りを飛ぶ音が気になったことを除けば、想像以上に快適な睡眠を送れていた。
ただ、前夜から懸念していた筋肉痛は、予想通り全身を襲っていた。特に股関節周りの筋肉が異常なまでに痛い。歩けるのかなと、ボクを不安にさせた。あと、肩。これは筋肉痛でなく、打撲したような感じだ。

まあ、その程度の不安要素は予想の範囲内ではあったため、今日もただ前に進むべく歩くしかないのだ。

空はどんより。今にも雨が降り出しそうな空模様。
雨の降っていないうちに、行けるところまで進むことにした。

足が痛いが、歩き出す。
肩が痛いが、歩き出す。

歩き始めは、痛みをひたすらに我慢して、とにかく前へ歩を進めていった。
不思議なもので、歩いてるうちに足の痛みが無くなっていく。アドレナリンが本領を発揮してくれているのかな。肩の負担も、バックパックの背負い方を改善していくにつれ、どんどん軽減されている。

この調子なら、日本海に到達するころに「バックパックの背負い方講座」でも開催できそうな勢いだ。(ググれば一瞬。)コツは前のベルトをとにかくキツくすること。それに尽きます。キツくすることによって、バックパックが体に巻き付くため、それまで肩に集中していた重さを分散させることができるのだ!革命だよ!これは!(ググれば一瞬。)

今にも雨が降り出しそうな天気の中、朝早くから出発しているとはいえ、出発からずっと、雨のしのげそうな宿(公園)を探していた。こんな天気の日は移動することよりも、安全な寝床の確保が大切だ。
1日歩いてみてわかったのだが、田舎は想像以上に寝床になる場所が少なかった。公園なんて歩いていれば簡単に見つかるものだと考えていたために、事前に調べることをしなかったのだ。そんな自分の想像力の少なさにただ反省することしかできなかった。

出発から5時間半くらい。休憩をはさみながら歩いて、ようやく宿になりそうな公園を見つけた。そこへ向かっていると、ちょうどその公園から一人ゴルフを終えたおじいちゃんが原付で出てきたので「そこの公園で休んでもいいですか?」と聞くと、「この地区のじゃけぇ、全然ええよぉ」と答えてくれた。
おじちゃんと別れ、公園に向かうとそこには「豊島地区農村広場」と書いてあり、屋根付きのベンチと水道、さらにはトイレまであった。野宿にはもってこいの場所であったため、少し早いが、ここを今日の宿にすることにした。時計もあったので見てみると11:30。まさかの午前中。

まあこんな日もあっていいだろう。
近くを散策する元気はなかったので、延々と読書をした。
結局、懸念していた雨は降らなかったが、体を洗ったりできたので、最善の選択だったと思う。(そう思わないといけない。自戒。)

夕方になって、読書に疲れたし、やることもなくなったので、まだ明るい17:30にその日は寝た。

寝袋にくるまっていると近所の親子が近くを通り、子供がお母さんに「なんかいるよ?」といい、お母さんが「見なくていいの!ダメ。」と注意していた。。。ごめん、

ちょこっと傷付いたおじさんは、それを忘れるべく眠りについた。



【2日目】「広島県広島市安佐北区 海戸集会所」→「広島県安芸高田市 戸島地区農村広場」 18km

次回 5話 田舎の国道、死んだフリ

Camino de Nagano マガジン

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