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【#11】峠を越えて

前回 10話 ラクを知った自分

これはボクがスマホを手放して、広島から実家のある長野まで徒歩で目指した実話。
たった10日間の出来事とは思えないほど、多くを学び、成長できた最高の旅だった。


2020.6.7 8日目 前半

今日は早起き。
まだ日が昇っていない時間に目が覚めた。
ボクの宿(公園)には時計がなかったため、時間を確認するために駅へ向かう。いつも、朝は体が痛くてスムーズに歩けないのだが、昨日温泉でマッサージをしたおかげか、そのような痛みは一切感じなかった。

駅につき、時計を見ると3:20。
日の出は1時間くらい先になるので、それまで駅の足湯でのんびりすることにした。
この旅では基本的に、暗くなる時間(20:00)には寝ている。昨日も、20:30には寝ていたので、これだけの早起きでも睡眠はバッチリだ。

宿に置いたままの荷物をまとめ、自販機で買ったホットカフェオレをお共に足湯タイム。
朝から最高な時間を過ごすことができ、幸福度MAX。

時間は4:20くらい。太陽が昇り始めそうな空になってきたので、出発。

この足湯といい、昨日の温泉、海に夕日と、ボクは本当にこの町が好きになった。
「浜坂温泉」またゆっくりしに訪れたいと思う。この旅の中で、間違いなく1番の町だ。またね!

今日は、香住という街を中間地点として、宿はその先にある佐津を目指していく。
今までで最長の道のりになると思うが、頑張って進んでいこうと思う。

出発後、道沿いにある田んぼに朝陽が映り、なんとも言えない、キレイな景色が広がっていた。その朝日に背中を押してもらい、途中道を間違えたりしながらも、着々と歩を進めて行った。
国道はちゃんと歩道があるのか心配だったので、海沿いの道を歩くことにしたのだが、この道がなかなかキツい道のりだった。
三尾方面へ向かう道なのだが、これが見事に山道。
なかなかの登り坂から始まり、これが終わらない。脇の林からは、時より動物の移動する音が聞こえてくる。熊が出てくるんじゃないかと、ビクビクしながら急ぎ目に進む。
3kmくらい進みようやく下り道に。だがこっちの方がキツかった。痛い足に負荷がかかるため、ちびちびとしか進めないのだ。
反対向きになってみたり、蛇行で進んでみたりとしながら、なんとか降りきった。三尾大島に着き、休憩しようと思ったが、座れるようなところがなかったため、諦めた。
もうこんな峠越えは嫌だと思いながら進むのだが、目の前には山しか見えない。ここを歩くのか?と、その予想が外れることを願いながら進めも、目の前に待ち構えていたのは、登り坂。
それも結構な急斜面だった。
もう進むしかないと、意気込んで。

自販機すらないこの道には、足りな過ぎる水の量。休む時間を長くすると、水の消費が激しくなるため、休憩はできない。
はじめに結構な距離を上ってからは、上り下りがランダムに続く。幸いこの山道はさっきの道と比べて、下りが緩やかなので助かった。
しばらく上り下りして、ようやく本格的な下り坂の差し掛かり、そこから少し進んだ頃、三尾大島から6.5km進んだ、余部埼灯台というところに着いた。よくノンストップこの距離を歩いたと思う。なにかゾーンに入っていた感じもした。
水道を求めて、灯台へと足を運んだが、残念ながらそれらしきものは見当たらなかった。
この灯台「余部埼灯台」は、日本一標高の高いところにある灯台らしい。(だからこんなにも長い距離を上ってきたんだね。)

これだけ上ったのだ。
それはもう、これからの下り坂が心配でならない。水もないし。
ここも緩やかな下り坂のため、足の負担が少なくすんだ。水のない中進み続ける。この行動は、まるで一昔前の部活動ではないか。それらしく、精神ぶち上げで、なんとか峠を制した。
峠を越えてすぐのところに、「道の駅 あまるべ」があったので、休憩。
ここまでなんとなんとの20kmという道を歩いてきたっぽい。(昨日と同じくらい。スゴイ!)

着いてすぐに、自販機でジュースを買い一気飲み。開いたペットボトルには、道の駅の食堂のおばちゃんに頼んで、水を入れてもらった。ありがとう。
ここにある余部駅は、空の駅と言われていて、すごく高いところにある。写真映えしそうな駅で、いいカメラを持つそれっぽいおじさんがいっぱいいた。

目標の香住まであと6km。
そこを目指して、また歩を進め始めた。

予想通りの山道が、ボクを迎えてくれたので、「もうこの先はずっとこんな道なのかな」と、覚悟を決めて進んだ。

「今日はがんばった!がんばったぞ!!」と、やっとの思いで、香住の町に到着したボクは、がんばった自分へのご褒美として「海鮮丼」を目一杯ほうばることにした。

この旅の中で、一度は食べようと思っていた海鮮丼。久しぶりの米に大満足すぎた!


次回 12話 ユラユラ

Camino de Nagano マガジン

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