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#35研修の本質とは?:フラット型組織になれるか!?〜デイサービスの挑戦〜

研修・資格と聞いて、どんなものを思い浮かべますか?
難易度も専門性も、それぞれ違いますし、種類もとても多いですよね!
僕たちが身を置いている「介護」にも、研修や資格が数多くあります。

今回は、今月から入社した新人スタッフさん(イトウさん)との面談の中での気づきについて書いていきたいと思います。

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研修と現場

研修を受けて、資格を取って、「メシが食える」訳ではありません。
身に付けた知識や技術を用いて、目の前の仕事に取り組み、相手や自分の幸せを生み出すことができて、はじめて意味のあるものになります。

イトウさんとの面談の中で言ってくれたのは、
【研修と現場のギャップ】についてです。

大きく分けると二つです。

・自分の入っている現場と研修の違い
・研修仲間から聞く「介護現場の実態」

①自分の入っている現場と研修の違い

”研修で〇〇って習ったけど、現場だと△△なんだ・・・。”
皆さんも経験があるんじゃないですかね?
今回イトウさんが言っていたのは、
「利用者さんには必ず敬語で話す」と研修で教わったそうなんですが、自分のいる現場(弊社)では、「必ずしも全員に対してきちんと敬語を使っている訳ではない」というものでした。

確かに、ウチのデイサービスでは、「タメ口禁止」にしている訳ではありません。
その理由は単純で、「目的と手段」にあります。
僕たちのチームの目的は、「幸せに働けて、幸せに利用していただく」ことにあります。つまり、「敬語」は必ずしも「目的」ではない、「手段」であるということです。
以前は「敬語を使わなければならない」という暗黙の了解が存在し、敬語が砕けれくるとスタッフ同士で注意し合っていました。
特に空気が悪くなることもなく、それはそれで上手く機能していました。

ただ、チームも成長し、採用活動が充実し、職場環境もスタッフのメンタリティーも変化してきました。
そうなってからの僕の仕事は、「手段と目的の一致度」を上げることでした。
「敬語」は果たして、スタッフと利用者さんを幸せにしているんでしょうか?

病院や介護施設に行ったことがある人は想像できると思うんですが、
職員の喋り方って似てませんか?
大きな声で、敬語は使っているだけども、どこか利用者さんを「世話する対象」と見ていて、見下しているように見えなくもない。

基本的にクソだと思っています。

もちろん大きな声で話すことは大切で、ご高齢になると耳が遠くなり、判断機能や認知機能も低下してきます。
ゆっくり大きな声で話すことは「間違ってはいません」。
重要なのは、行動や環境から発露するメンタリティーです。

ヤケクソに大声で話すことで生じるストレスやマンネリ感は、スタッフのモチベーションを低下させ、利用者さんにも精神的負荷がかかる場合もあります。

手段として「砕けた敬語」を使っていたとしても、利用者さんが幸せそうで、スタッフが幸せそうに働けていたら、それでいいんじゃないですか?

そうした経緯があり、僕たちのチームでは、敬語について厳しく相互チェックをすることがなくなりました。

ここで注目したのが、「研修で教えてもらうことは何なのか?」という根本的な疑問です。
イトウさんとの話の中でも、きちんと説明しなければならなかったのですが、研修とは本質的に「正しいこと」を学ぶ場である、ということです。
”AとBとCの方法がありますが、まあ、どれでもいいですよ〜”だと、一体何をガイドラインにして知識を貯めていけばいいのかが不明確になります。
例えばそれが、身体に直接関わることである場合、安全面にも関わってきます。

ですから、「研修と現場は違うのよ!(怒」っていう意見はナンセンスです。そもそも大切にしているものの性質が違うので比べようがありません。

安全面に関わることや制度・規定に関わるものは、研修で教わるものが概ねマッチしています。
しかし、言葉遣いなどに関しては、あくまで「正しいのは敬語」であるに過ぎません。
そこにどう折り合いをつけながら、チームの空気感やルールのようなものに落とし込んでいくのかが、経営やマネジメントに置いてとても重要になってきます。

②研修仲間から聞く「介護現場の実態」

「なんか本当の姿というか、”こうなんだ”っていうのを見た気がします・・」

イトウさんが話し出してくれたのは、
実際に研修を一緒に受けている仲間から聞いた「リアルな現場」についてでした。

・休憩時間なんてない
・資格が無いのに有資格限定の業務をさせられている

他の業界にいらっしゃる方には”非常識”でしかないように感じられると思いますが、これも一つの実態です。

しかもイトウさんにとっては、研修で業界の正しさについて教わっている、という時期で知ってしまった事実とあって、かなりの衝撃だったと思います。

業界の”若さ”

介護保険が始まって19年。
「制度ビジネス」とも言われる業界の特色を横に置いておくと、この「19年」を長いと見るか短いと見るかは見解が分かれると思います。

他の業界と比べてみると、
日本における自動車産業の歴史は、1907年に山羽虎夫と吉田真太郎が東京自動車製作所で「タクリー号」を生産したことから始まりました。
ということは、今年で112年になります。

介護は19歳、自動車は112歳。
曽孫と曽祖父と言っても違和感がありそうなくらい年齢差があります。

介護は若いんです。
若いことでのメリットも多くあります。
スピード感、グランドデザインを変えやすい、新規参入が活発で常にフレッシュ・・・などがあります。

ただ今回は、デメリットについて少しだけ考えたいと思います。

若いことで起こるデメリットは、
「淘汰されない」安心感から「ガバナンス」が効いていないことが挙げられると思います。

働いたら働いた分だけ儲かります。
特に大きな工夫をしなくても、より多くの時間と労力をかけた者が得をします。
高齢者は毎年増えていくし、今後20年弱は市場が成長し続けます。

制度ビジネスの弱点はここにあります。

見かけ上は市場規模は広がっているように見えますが、広がることで財政に負荷がかかり続けます。
しかし、当の事業者たちは、そんなことは二の次で、どんどん参入しては”パイ”を取りに行こうとします。

統制、監視の役目を負っている行政機関も、業界の若さと相次ぐ制度改革に右往左往しています。

「どの業界でも黎明期や草創期はあった」

そう言ってしまえばいいかもしれませんが、
テクノロジーも進化し、社会構造自体も「人類史上初の人口減少先進国」となっています。
そんな環境にあって、あまりにも無残な現状です。

知ってしまったイトウさんには、驚きとともにショックもあったと思います。

でも、だからこそイトウさんに伝えたのは、

「そう、だから、僕たちは、その現実を変えたいんだよ。」

若い業界にあっても、足元をしっかりと見つめながら、
・スタッフが幸せに働くこと
・幸せに利用できること
を様々な角度から着実に積み上げています。

かくいう、イトウさんを採用させてもらったのも、「人手が足りない」という文脈よりも「チームのアップデート」の意味合いが多分に含まれています。

きっと、成長できます。
きっと、業界は変わります。

僕たちが変えます。

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ーまた次回の面談もよろしくね!

「はい!お願いします!」

そう言って、この学びの多かった面談は終わりました。




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