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過去の実体験

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#ノルウェイの森

思い出す冬

人は忘れる生き物だ、とはよく言われたものだ。今日があるように、空があるように疑うことも無しに忘れていく。それでも忘れられないことというのがある。もちろん僕にも。

僕が15歳の時から愛読している村上春樹の『ノルウェイの森』という小説にこのような一節がある。

『駅の外に出ると、彼女はどこに行くとも言わずにさっさと歩きはじめた。僕は仕方なくそのあとを追うように歩いた。直子と僕のあいだには常に一メート

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明け透けな空描きたくて

個人的なことでないと信じたいのだが、過去の思い出は小説や絵画、そして音楽なんかと紐付けて過去のフォルダにしまっていることが多い。誰かと一緒に見た映画を見るとその人を思い出すし、誰かとの待ち合わせの時に聴いていた曲を聴くとその人を思い出したりする。そんな僕は[Alexandros]のSwanを聴くとこれをカラオケで歌ってくれたはつみさんという人を思い出す。

19歳の僕は横浜で浪人生活をしていた

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20分で半年

池袋駅東口では冬休みに入ったと思しき大学生で溢れていた。2019年の2月のことだ。PARCOも西武百貨店もサンシャイン通りも平日夜だというのに、全て若者でごった返してた。

当時21歳だった僕はもう大学を中退していて、メイド喫茶で働いていた。同世代の男女が池袋をデートスポットに選んで、サンシャイン水族館やラウンドワンに立て籠っているのを通る度に感じてた。「あー、女子大生と遊びたい」そんなことを僕が

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春といくつかの言葉について

最初の挨拶さえなければ別れの悲しみなんて存在しない。最近そんなことを考えている。気軽に知り合って、別れる時にはいつも必要以上に重く捉えているりこの季節だと卒業なんかを思い出す。

卒業式の朝の電車で聴いた曲を今でも覚えてる。
黒夢『See you』
シド『星の都』
Janne Da Arc『振り向けば』
チェッカーズ『My Graduation』
人格ラヂオ『さくら』

18歳の僕は僕なりに悲しも

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