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すばる7月号を学校の図書室に置こう

すばる7月号を読んだ。
李琴峰さんのアイオワ滞在記が良すぎて共有したいので、ここだけでもカッターで切り取って小冊子にして全国の高校の図書館に吊るそう。

アイオワ大学で、反LGBTQの活動家が講演をすることに、大学生たちが一斉に抗議する。
コールで、アートで。それぞれのスタイルで反差別を態度で示し、近所の車はクラクションを鳴らし、武装警察まで巻き込む騒ぎ。
その一部始終をその場にいるような迫力で記す。
もちろん「楽しい」話ではないけど、日本の学校の冷めた感じを経験したから、学生の熱気と行動力がまぶしい!

打ち合わせ?をしたゲイバーの地下がゲームセンターみたいになっていて、先日ニンテンドーダイレクトで紹介されたマーブルVSカプコンがあったこととか、現地に行かないとわからない空気が漂っていて、アメリカ滞在記としても抜群におもしろい。

抗議デモの熱気が高まってきて、
「差別者はくたばれ!」とコールを上げる学生が集まる。政治的メッセージがぶわあああっとチョークで書かれている。
保守派は
「トランス当事者に選ばせたトイレを使わせると、女装した男も入ってくるぞ」
「LGBTは子供の成長に影響を与える。性的描写のある本を禁止しろ」と主張する。
宗教的な影響なのか「エロ」も排除しようとしているのが日本と違う。そして、禁書扱いされた一冊が「1984」なのだ!

まさに1984のトートバッグに入れてこの本を買って帰ったのに、ピンポイントで書名が出ることあるんだ。

デモ参加者も「いい子」じゃなくて、トランス差別者はくたばれ!と中指を立てたり、めっちゃ塩対応だったりするのもいい。何か…アメリカだ!

作者は、マスクをかぶって会場に乗り込もうとする学生4人組についていく。
この4人はどっち派だろう、暴力行為が始まるんじゃないか。ハラハラしながらついていくと、立ちふさがるのは武装警官ら。

男子学生が警官に「ごみを捨てに来ただけだから」と話していると、そのあいだに、もう一人の女子が袋からくしゃくしゃの紙くずを一気にぶちまけた!
学生4人組はダッシュで逃げる。
集めてきた「ごみ」とは、差別講演のチラシを剥いで集めたものだったのだ!
日本の感覚では、「そんなドラマみたいな行動ほんとにするの!?」だ。

読んでいて、まぶしかった。みんな、思ったことを発言して行動するのが当然なんだ。

それにひきかえ自分よ。
日本の冷めた授業で空気を読んで発言もせず、ろくに投票にもいかず、まんまと重税で苦しんでいる。

LGBTQ+当事者にとってはのんきな読み物じゃないのは重々承知だけど、そこだけ強調するとこのルポが手に取ってもらえなくなる。
面白い。

ぜひ、学校の図書館で積極的に読ませてほしい。
文芸誌まるごとだと難しい感じするから、最果タヒの「けいおん!」評のかけがえのない関係性を語ってるページと、大田ステファニー歓人と豊崎由美の対談とか三宅香帆の「光る君へ」関連の古典の話とか、まとめて、手に取りやすいところに吊るしてほしい。なんなら国語の授業一回分、それをみんなで読むだけでいい。一冊のなかにいろんな世界のドアがある。

大田ステファニー歓人のペンネームの由来が、
「大田」が奥さんの苗字で、残したいから自分につけた、というのも「なんだそのかっこいい由来!?」て驚いた。華がある作家さんだなあ。


↑1日1話、無料で読めるタテ読み漫画。海外でも力を入れてきてるらしい

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読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。