『臨床の砦』 夏川草介 作 #読書 #感想
あらすじ(Amazonより)
あらすじを読んでいただければ分かるように、この作品ではコロナ禍で逼迫する医療現場の現実が生々しく描かれている。
まさにノンフィクション、とさえ感じる。そのくらい多くの人が知らずに、もしくは目を背けていた現実だと思わされる。
負け戦かもしれないと分かっていながら、それでも治療を続けてくださっている医療現場の方々に感謝の気持ちしか湧いてこない.....というところだ。
48ページより
この小説に登場している医療現場の方々は、常に「選択」を迫られている。その上、正解はないのだ。コロナが未知のウイルスである部分がまだある中で。もう医療崩壊が起きている中で。「正解はないけれど、正解が出るまで待っている余裕はもうない」という逼迫した状況で、常に「頑張る」という糸をピンと張っている彼らに 頭が上がらない。
いつまで持ちこたえられるか、、、そう考えながら毎日をひたすら治療のために生きる日々の苦しさを、大変さを、過酷さを 私たちはもっと知らなければならないと感じた。
*
コロナは体だけではなくて「心」を壊すなんていう話はよく耳にするだろう。理解不能な誹謗中傷、怒りの矛先、苦しみのぶつけ合い、不安を駆り立てるSNSの投稿、、、色々な情報が錯綜しているし、いやでも目に入ってくるものがある。
誹謗中傷は正当化すべきではないし、言った側が被害者ヅラをしていることも理解できないな、と思う。
本の主人公である敷島医師は話す。
117ページより
この病院で決定権を持つ三笠医師は話す。
198ページより
負の感情に飲まれないことかぁ。気をつけないといけないな。1人で抱え込んでしまう人が増えてしまうのも良くないし、誰かと(知り合いかどうか関係なく)意見を交換し合うことを望めば、対立が生まれてしまうこともある。なんとなくコロナの話題はタブー、なぜなら人によって意見が分かれてしまうから....というところもあるよね。
というか怒りの矛先を「感染してしまった特定の個人」に向けるくらいなら、とりあえず上の組織、行動しない政府や自治体に向けるのが良いのかもね。彼らはその怒りを、目にしているのか、聞こうとしているのだろうか。
ワクチン3回目の接種が進んでいるけれど、この先どうなるのやら。
終わり。