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「表現手段」は変わっても「核の部分」は変わりません。 最初で最後のマルタン・マルジェラとの会話。

昨夜4/19(日)のインスタライブ 配信無事に終了しました。見にきてくださった方々、そして質問をくださった方々本当にありがとうございました。

ファッションデザイナーとして洋服をデザインし、それを市場に出すという作業は私にとっては、自身の「内にあるもの」を世に発信するための一つの「手段」に過ぎず、その「手段」は、私にとって極端な話、別の発信方法、例えば文章や写真、映像、ダンス、演劇でも構わないと思っています。

ただ、私は器用な方ではありませんから20代の頃、いろいろなことに手を出し過ぎて結局、何をしているのか、何をしたいのかよくわからない大人にだけはなりたくなかったから、まず大好きなファッションの世界で20年頑張ってみようとファッション業界に飛び込んだのですが、気がつくともう20年。そろそろ別の発信方法を模索してもいいのかな、とここ数年思うようになってきています。

その一環として始めたのがこの「note」。小さい頃から本を読むことと文章を書くことが好きだったのでいつか自分の「本」を発表できたらとずっと思っています。ここはそのための練習の場です。

インスタライブ も、いつか皆さんの前で「話す」ことで自分の今までの経験や感じたことを発信していけたらと考えていて、これはそのための「最初の一歩」だと思っています。

表現方法はデザイン、文章、ライブ配信と移行したとしても、これからも私の「核の部分」は変わりません。




さて、今回のインスタライブは海外を目指している学生さん達からも質問をいただきました。今、日本では海外で勉強したり働きたい若者達が減っているというように聞いていたのでとても嬉しかったです。

昨夜、言いたかったことは、あなたが海外を拠点にしても、日本を拠点にしても、デザイナーになろうが、パタンナーになろうが、バイヤーになろうが、デザイナーの中でも絵がすごく上手いデザイナーだろうが、絵は得意じゃないけど代わりに立体裁断でいきなりすごいデザインができちゃうデザイナーだろうが、実はそれが一番大事なポイントではありません。

あなたの中の「核の部分」がしっかりしていればどんな場所に暮らしてどんな職業に就いても自分の「メッセージ」は必ず届きます。

極端な話、あなたが専門学校や大学で「ファッションデザイン」を勉強していなくて、絵もパターンも出来なくても、あなたが人にこうしたいという強い願いをきちんと「伝える」能力があれば、それに賛同してくれた会社や、パタンナーさんやデザイン画が上手な人たちがあなたの思いを汲み取り協力してくれることでしょう。

ただ、一般的には専門分野の知識もない若者の話は誰も聞いてくれません。
やはり、まずは専門学校や大学で専門知識を学ぶことがプロへ近道なのです。そしてどうやったらその「伝える」能力を鍛えられるか同時に考えることが必要になってきます。

この「伝える」能力は残念ながら専門学校は教えてもらえないかもしれません。人それぞれに「表現手段」の向き不向きが違いますから自分自身で探していくしかないのです。

学校で専門知識を学ぶと同時にこれからやるべきことは本当にたくさんあると思います。どうぞいっぱい考えて自分なりの「表現方法」を見つけ出してください。



最後になりましたが、私がパリに暮らし始めて2年目の頃、一度だけ「マルタン・マルジェラ」のパリコレのランウェイのお手伝いをしたことがあって、ショーが終わった後、バックステージであのマルタン・マルジェラ本人とお話する機会がありました。

私は、あまりに緊張したせいで、当時31歳という、まあまあ大人な年齢だったにも関わらず拙いフランス語で、

「私もあなたのようになりたいです!」

と、とても子供染みた恥ずかしいことを言ってしまったのですが、ムッシュー・マルジェラは決して、私のその発言を馬鹿にするようなことなどせずに真剣に、

「たくさん、たくさん、たくさん努力するしなければならないよ。」

と答えてくれたのでした。

私は、その言葉を信じて今まで20年間海外で頑張ってきました。まだまだ全然、ムッシュー・マルジェラの足元にも及びませんが、これからもたくさん、たくさん、たくさん努力していきたいと思っています。


それでは、また。







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大森美希 / パリ在住ファッションデザイナー
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