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もう、「後戻り」はできない。 勇気を出して前に進もう。

先日、以前一緒に働いていた上司と実に8年ぶりに再会した。彼が新規事業を立ち上げたのでフリーランスのデザイナーが必要とのことだった。

私は現在フルタイムの仕事を探しているが、今のところ私が希望する職種の求人はほとんどないので、見つかるまでの間、フリーランスで単発プロジェクトをこなしていくのも悪くないと思った。

この上司と一緒に働いた4年半は本当にいろいろなことを学んだ。デザイナーとして洋服のデザインだけでなく、バッグやシューズのデザインも、ショーウインドーのディスプレイや広告のコンセプト、ショーのスタイリングなども、クリエイティブディレクターである彼の仕事をまるで一緒に体験しているような、とても大変だったけど素晴らしい、充実した貴重な毎日を過ごすことができた。

8年ぶりに再会した上司は相変わらずチャーミングな出で立ちだった。
そんな彼は、グレイヘアがちょっと目立ってきた私の前髪を見て「ワオ!」と驚いていたが私ももうアラフィフ。白髪の100本200本あってもおかしくない歳だ。

彼は私のその後のキャリア、特にニューヨークでの経験についていろいろと質問したあと、私のポートフォリオをじっくりと見た。

彼は私のスケッチをひととおり見てから、どうやら私のその後の8年間の仕事の仕方に納得していなかった様子で、やっぱり私は彼と一緒に働いていた時のやり方で仕事をした方が私の良さが出るという内容のことを話し始めた。

それは私にも十分わかっている。彼が評価してくれている仕事の仕方が私の「強み」であり「ニッチ」であって、それが出来る他の人がなかなかいないのもわかっている。でも、私にもいろいろ考えがあって、敢えて彼のもとを去り、「もっと希少性の高い人物になるためには何をしたらいいのか」を探るための40代を過ごしてきたのだ。

そのためにわざわざニューヨークに移住もして今まで経験したことのない切り口で働いてみたし、いろいろなクリエイティブディレクターと働いてみて別の仕事のやり方を吸収したのである。苦い経験も本当に山ほどあったけど、そのひとつひとつには私の中ではちゃんと意味があるのだ。


彼のその「ひとこと」はまるで、子供の成長、親離れを心から喜べない母親のような気がして、少なからずも私をガッカリさせた。

もしかしたら彼の言ってることは本当に正しいことかもしれない。でも、それでも自分が悩むほど考えて、進んでいったこの8年間には何か得るものが必ずあったはずだ。そしてこれからのビジョンだって自分の中で割とはっきりしている以上、たとえその道が険しくとも、茨の道だとしても自分が納得している道を進んで行かないとあとで後悔してしまうのではないかと、心からそう思った。


自分が大好きなクリエイティブディレクターと一緒に仕事ができるということは本当に夢のようなことであって、その夢が実現しようものなら、自分のあるだけの力を最大限に出して私生活も忘れて一心不乱に、まるで恋愛でもしているかのように「もう、この人に全てを捧げる」ような気持ちで全身全霊で仕事してしまう。

でも、そのクリエイティブディレクターとの蜜月状態が一旦、何かの理由で解消されたなら、その関係が濃密であればあるほど、元に戻るのは難しいと思った。別れた恋人や、離婚した伴侶とまたヨリを戻すのはそう簡単ではないように。

どちらが悪いとか悪かったとか、そういうことではない。それぞれが別々の、全く違う道を歩き出しただけに過ぎないのである。


一旦親元から巣立った以上、もう後戻りはせず、自分の信じる道を前に進むしかない。そう決めたらなんかスッキリした。


それを気付かせてくれた上司に感謝しながら、彼のこれからの益々の活躍を心より祈っている。





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