西森路代

ライター。仕事ではテレビドラマと韓国映画について書くことが多いです。

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最近の記事

『韓国ノワール』本を書いたあとの話その1

『韓国ノワール その激情と成熟』を執筆した後に、いろいろそこから先のことを思うようになったので、雑感を書きます。 まず私は「韓国ノワール」についてまとめるなら、もう今のタイミングが最後というか、しばらく適したタイミングはないのではないかと思っていました。なぜなら、コロナ禍以降の韓国映画は、今までの十数年とは違ってきていて、「韓国ノワール本」の中に書いたような流れは、一回、終わっているように思うからです。 もっとも顕著なのは、「韓国ノワール本」の最後に私が力みながら書いてい

    • 『ある男』

      この間、映画の『ある男』を見たので、ちょっと時間があるときに、オーディブルで『ある男』の小説の朗読を聞いていた。映画は映画ですごくよかったのだけれど、映画に描かれなかった部分により関心が芽生えた。 特に、映画では弁護士の城戸が、在日に対する差別に触れるシーンが少々、直接的だなと思ったんだけれど(差別は直接だろうがなんだろうがよくないことには変わりがないのだけれど、その表現の違いで、こちらが考え得ることが変わってしまうので)、小説の場合は、もうちょっと複雑なものであるというこ

      • なぜインタビューで恋愛ネタ聞くの苦手か書きます。

        お久しぶりです。けっこうフォローをもらったりしているのに何も書いていないのも気になってたので、とりあえずnoteに書きます。 前にも私は、「アイドルに聞く好きなタイプ問題」という記事を、2020年の4月に書きました。 また書くことになったのは、Twitterで、「なぜ年配女性は自分と推しの年齢が離れているからって、恋愛について聞きたがらないのか」「恋愛について聞くことは他人の話なのに、なぜ傷つくのか」というようなことを書いているのを見たので、別に私が聞かれたわけではないけど

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        • おばさんたちの「共助」、ポーチの中の「飴ちゃん」

          私は昔、女性の友達との集まりで、ちょっとしたお土産にと、小さくて美しくて繊細な「落雁」とか「金平糖」とか「おかき」とかを持ってくる人というのがいて、そういうのがちょっと苦手だった。 その理由は、まあいろいろあって、ちょっとしたお土産のレベルが高くて気が引けるのと、自分はそういうものを用意できる気遣いもなければ、それを買う労力と時間を捻出する考えもなくて、その頃、今よりもカツカツの生活をしていたので、お金をそんなにかけられないことも大きくて、頭がまわらなかったから、ものすごく

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        『韓国ノワール』本を書いたあとの話その1

          『ネタパレ』のロケ企画の設定立てが面白かった。

          「ネタパレ」でロケ企画があった。プラスマイナスの岩橋と、第七世代のゾフィー・サイトウと、エイトブリッジ・別府ちゃんの三人で、ボルダリングに挑戦するというもの。 しかし、普段の企画とは違うのは、ボルダリングで誰が速く上がれるかというのではなく、三人でタイミングを合わせて、同時に鐘を鳴らすというもの。 最初は、ロケバスの中で、第七世代なんて嫌いって言っていた岩橋だったけれど、一緒にボルダリングをするうちに、競争心ではなく一体感が生まれてくる。何度も最後の岩に手をかけようとして

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          NEW JACK SWING が繋いだK-POP、そしてLDHとの縁 #人生を変えた一曲byLINEMUSIC

          この記事はLINE MUSIC公式noteオムニバス連載「#人生を変えた一曲」に寄稿したものです。 音楽に興味を持ったのは中学生の頃。中2病とはよく言うもので、それまではチェッカーズや吉川晃司がアイドルであったというのに、私も急に洋楽を聞くようになった。 1972年生まれの私が中学生となった1985年前後に何があったかというと、マイケル富岡がVJを務める『MTVジャパン』という、洋楽を気軽に知ることのできる番組が始まっていたのと、山田詠美が『ベッドタイムアイズ』デビューし

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          『あちこちオードリー』に見る「テレビで話を聞く」ことの変化

          以前の地上波のテレビのトーク番組というのはマニアックなファンは知っている話かもしれないけれど、一般の視聴者は知らなくて、確実に短い時間で端的にわかる話をするところという感じがあったと思う。以前はと書いたが、ゴールデンやプライムタイムの番組はまだほとんどそうだろう。 事前にアンケートをとって、その中で鉄板と思われるものであったり、大多数の人に引きのあると思われる分かりやすいエピソードが選ばれ、それを台本に配して順番にMCがふっていくという番組が圧倒的に多い。もちろんそれはひな

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          アフター6ジャンクションに出てきたよ

          ライムスター宇多丸さん、宇垣美里さんが出演の火曜日のアフター6ジャンクション、「『映画駄話シリーズ』マ・ドンソクから始める韓国映画の脇役入門 特集 」というコーナーに出演してきました。 宇多丸さんがハイロー、そして源治、そして小林直己さんが好きってことで、そこ絶対に言及して帰ろうと思ったら、ゲストとして着席する前に、もうその話になっていました笑。 台本ができるまでに作家さんとの打ち合わせも綿密にあり、きっちり三つの項目に分けて進んだので、かなりやりやすかったです。 それ

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          引っ越しのこと

          ほんとは原稿あるんだけど、少しだけ。コロナ禍の真っただ中で、したくもない引っ越しをすることになってしまった。それについては、後で書くとして、引っ越しをして思ったことがいくつかある。 引っ越し前は2Kでキッチンも4畳くらいあって、風呂もトイレも別。収納もたっぷりあった。新しいところはホントに一日とかで決めたので、ロフト4畳と7畳のリビングに、台所は人ひとりが通れるくらいで、風呂はユニットバスというものになった。 それでも、4畳のロフトは立てるくらいに天井が高いし、多い荷物も

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          女性芸人は無駄にぶつからなくていい

          以前、女性芸人の変化という文章をここに書いた。そこでは主に、3時のヒロインが『第七キングダム』という番組で「恋愛で女子を傷つけるバッドガイに振り回される女子たちの悲しみや怒りを発散させる」「さよならバッドガイ」というコーナーではじけていた話が中心だった。 今回はその後、『しゃべくり007』に第七世代の女性芸人が出ていたときの話が中心である。その中でも、ぼる塾の話を中心に書いていきたい。 私のぼる塾のイメージは、いまだに30代の田辺さんを20代のあんりときりやさんがいじると

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          Auditionblueの思い出

          5月1日で休刊を発表したAuditionblueのことを、Twitterで思い出したりしてたので、こっちにも少し。 Auditionblueが始まるときは、前々から面識のあった丸山ゴンザレスさんから声をかけていただき、まったく男性雑誌は初めてという方たちと、男性俳優の仕事をしてきたライターさんたちと、いろいろ模索しながらスタートしたという感じだったと思います。 初号で関わったのは、中村倫也さんのインタビュー構成(聞き手は丸山さん)と、田中俊介さんのインタビュー。実はその日

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          女性芸人の変化

          女性芸人の世界ってすごく変化してきていると思う。わりとこういう変化って当たり前に受け止めがちだし、前からそうだった気もしてしまうから、この変化を記録しておきたいと思った。 というのも、私がある対談企画でお笑い界について語っているのだが、その収録は去年の秋にしていたもので、まだ世に出ていないその対談の原稿をチェックしていたところ、去年の秋には、こんな状態だったのに、今はまったく違う世界が展開されているなと思ったからである。 去年より前に女性芸人に話を聞く機会はあった。またテ

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          アイドルに聞く好きなタイプ問題

          ちょっと前、どなたかのnoteで、アイドルに「好きな異性のタイプ」などを聞くことについての違和感が書かれていた。こういう質問を当たり前に聞くことの発端には、「悪気はない」のだとしても、「あるべき姿とそうでない姿」を分けることにつながっていると思うし、だからこそ議題にのぼるのだと思う。 具体的に言えば、なぜそれが異性であることが質問ではデフォルトなのかに疑問を持つし、そしてそれが見た目の話、つまりルッキズムにつながることも大いにあるし、その人の持つ固定化したジェンダー観をあぶ

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          コロナ禍だからこそのテレビ

          最近見て大笑いしたテレビは、『しくじり先生』の「しくじり学園お笑い研究部」にラフレクランが登場した回でした。特にラフレクランのつっこみ、西村が、その「血の通っていない」部分をつっこまれ、本気で泣いてしまうのが、せつなくてかわいそうでもあったけれど、悪いとは思いつつも本当に面白かった…。やっぱり、人のふいうちに見せるガチの感情にはどうしてもぐっときてしまう。しかも、それを言われた後の西村は、反対にめちゃめちゃ血が通っていた。 こんなご時世だけどというか、こんなご時世だからこそ

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          noteを何日か書いてみて

          ライターの柳楽光隆さんが「コロナ禍に音楽ライターがnoteで文章を売ること、についての話」という記事をあげていて興味深く読んだ。 私も、毎日がただ過ぎるのが嫌すぎて始めたnoteも、もう一週間以上は経ったのかな。まだ売るとかそういうところまでわかってはいないけれど、書き始めて現時点で思ったことを。 これは、ほかのニュースサイトとかのプラットホームにも言えるんだけど、そこ独自の「スキ」とか「いいね」とか「ハート」のシステムがあるものに慣れるのはけっこう大変ということを実感し

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          「推す」ことと自己責任論

          ロイターの記事に、安倍首相のコロナの対応を「臆病でナメクジの様に遅い」と書いていたとのこと。 しかし、遅いのは問題として、臆病だったらまだいいわ!と思ってしまう。むしろ「臆病でないこと」のほうが、より危機に近づいてしまう気がする。よく女性のリーダーがいる国のほうがコロナ対策が成功していると言われるけれど、もしそれが本当ならば、「臆病になること」に心理的なハードルが低いということも少しは関係しているのではないかと思えてくる。 今日はほかにもTwitterでは新型コロナの影響

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