『ネタパレ』のロケ企画の設定立てが面白かった。

「ネタパレ」でロケ企画があった。プラスマイナスの岩橋と、第七世代のゾフィー・サイトウと、エイトブリッジ・別府ちゃんの三人で、ボルダリングに挑戦するというもの。

しかし、普段の企画とは違うのは、ボルダリングで誰が速く上がれるかというのではなく、三人でタイミングを合わせて、同時に鐘を鳴らすというもの。

最初は、ロケバスの中で、第七世代なんて嫌いって言っていた岩橋だったけれど、一緒にボルダリングをするうちに、競争心ではなく一体感が生まれてくる。何度も最後の岩に手をかけようとして転落してしまう岩橋が、上りきることに成功し、三人一緒に鐘を鳴らすシーンには、けっこうな感動があった。


最初の岩橋は、テレビ的な笑いを作ろうとしたりしていたけど、次第にそういうことがなくなる。そして、番組の最後で岩橋は「ちょっと待ってくださいよー」みたいなことが一切ないと感想をもらした。

見ていて、人と人が何かに向けて一体感を得ていく過程が観れてよかったなと思うのと同時に、この企画って、ロケ企画でもあり、ちょっとだけ、ドキュメンタリーのような性質もあって、リアリティーショーとかの作りにも似ているところはあると思う。

例えば、生身の人間が「何かをする設定を与えられる」ことによって、どう作用するのかを見るのが、リアリティーショーだとすると、例えば、ひとところに集まって、さあ誰と誰が恋愛するでしょうかっていう設定というか、お題が与えられているものなどが、誰にも思い浮かぶだろう。

今回の『ネタパレ』であれば、世代の違う人たちが、ひとつの目標に向かうにあたって、どんな心境の変化があるでしょうというお題があって、芸人たちは、そのお題を知った上で、行動をとったのだともいえる。

さて、こういう設定やお題というのは、今までのテレビであれば、人と人がひとつの空間にいるということは、いざこざも起きますよね?みたいなことまでが織り込み済みであったかもしれないし、また、そういう人間同士のぶつかりあいのほうが刺激も強くテレビ的だと思われてきたところはあったかもしれない。

だからこそ、今回の「ネタパレ」の企画も、最初のうち、世代が上の岩橋は、「第七世代嫌い」と言ったりと、なにかしらのインパクトを残し、番組としての起伏を作ろうとしていたのだと思うし、そういうことが体に染みついてきたのだと思う。

この企画の何が面白いかというと、そういう衝突を見せることがテレビの面白さだとずっと仕掛けてきたテレビが、逆のことをやってみようと思ったということである。

そこには、第七世代を見ていての気づきもたぶんあったのだろう。なにげない企画のように見えて、意外とこれまでにはないものなのではないかと思った。

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