アイドルに聞く好きなタイプ問題

ちょっと前、どなたかのnoteで、アイドルに「好きな異性のタイプ」などを聞くことについての違和感が書かれていた。こういう質問を当たり前に聞くことの発端には、「悪気はない」のだとしても、「あるべき姿とそうでない姿」を分けることにつながっていると思うし、だからこそ議題にのぼるのだと思う。

具体的に言えば、なぜそれが異性であることが質問ではデフォルトなのかに疑問を持つし、そしてそれが見た目の話、つまりルッキズムにつながることも大いにあるし、その人の持つ固定化したジェンダー観をあぶりだしてしまうこともある。

私も、アイドルや人気の俳優に取材をすることがあるから、どうしてもこうした質問を避けられないことがある。どんなときに避けられないかというと、その雑誌全体で共通質問が設定されているときである。避けられない場合は、共通の設問自体は「異性に」となっていても、異性にということはそこまで重要ではないので、人を見るときにでいいですよ、と前置きをするし、見た目についてではなくて状況でもいいですよ、と付け加えたりもした。

それ以外で恋愛観について聞くことがまったくないとは言わないけれど、それは、話の流れで出てきたときに、そこについてもっと聞きたいと思ったときであり、そのときも見た目については聞いてもそんなに面白くないなと思うので、どういう性質に興味を持つかということを深堀する。

どういう性質や行動が好きかということは、性別に関係のない話になることも多い。もちろん、女性にのみ、ケア役割を求めるようなこと、例えば「料理のうまい人はやっぱり好きですね」「僕は仕事をするので家はしっかり奥さんに守ってほしいな」「やっぱり男なんで」なんてことが答えとして出てくることもないことはないのだが、そういうときは話題を変えて、そっとなかったことにしたりもする。

たまに、何社かの合同インタビューのときには、ほかの雑誌の記者の人が、「女性の髪型はどんなスタイルが好きですか?」ときいていたりすることもあった。それに対して、「似合ってるのが一番」と当人はあいまいに答えているにも関わらず「長いのと短いのは?」「髪色は?」などと詰め寄っているのを微妙な面持ちで見守ることもある。

しっかりした人気者は具体的なことを言っても仕方がないと知っているので(それはそれでドライだが、自分の仕事の意味を熟知している)、ちょっと迷惑そうな顔をしながらも、「そうですね、前は長いのもよかったけど、短いのもいいと思います」なんてお茶をにごすのだ。

それでも満足しない記者は「やっぱり髪はきれいなほうがいいですよねえ?」なんて続けるから、しぶしぶ「そうですね、きれいなほうがいいですね」なんて返すけれど、これじゃあ誘導尋問だ。たぶん記事になったものを読めば、そんな微妙な誘導尋問なんてなんてなかったことにされ、「前は長いのがよかったけれど、最近は短いのもいいですね。でも譲れないのは、髪がきれいなことかな」なんて一文にまとめられているだろう。

私も編集部に頼まれたわけでもないときに「好きなタイプ」の話を聞いてしまったことがあるが、それは見た目の好みを聞きたいからではない。ある人気者の若い男性が、以前ラジオかなんかで「女性が車の運転がうまかったらかっこいいから好き」と言っていたというのを知って、その人にしか言えない面白い答えだなと思っていたことがあったのだ。その後、その人にインタビューをしたときに、流れで聞いてみたことがあったのだ。

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