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Book Review|先送り0(ゼロ)―「今日もできなかった」から抜け出す[1日3分!]最強時間術

いきなりですが、問題です。

今日の次にやってくるのは?

――きっと「明日」と答える人が多いでしょう。
でも、正解は「今日」。

私たちの前にやってくるのはいつも「今日」。
ところが、今日がやってくると、私たちはいつも「明日」を見据え始める。
その「明日」はやがて今日になるのに。
私たちが生きられるのは、「今日」しかないはずなのに。

「今を生きる」ってなんだろう?
どうやって今を生きたらいいんだろう?

その手掛かりをつかみたくて手を伸ばしたのが「先送り0(ゼロ)―「今日もできなかった」から抜け出す[1日3分!]最強時間術」



はじめに

目標設定に苦手意識があった私。ところが、2年と少し前のこと、素敵な手帳コミュニティとの出会いをきっかけに、毎月それなりに方向性を定めて振り返る。そんなルーティンが日常になりました。

一方で、元々は行き当たりばったりで生きてきた私。そして、そんな展開を面白がるのも私。いま励んでいるライターという仕事だって、実は私自身がひたすらに目指して突き進んできたわけではありません。周りの人々が授けてくれたきっかけに手を伸ばして扉を一つずつ開いたら、たまたま辿り着いただけ。でも、結果としてものすごく私の人生を豊かにしてくれる仕事に出会えたと思っている。そして、ジタバタしながらもうひと踏ん張りしたいとさえ思えている。
――かつての私がもし自分だけの手で目標を設定しながら未来を描いていたら、自分に専業ライターという選択肢を授けることはきっとなかった。

自分が計画した道順で進む爽快さもある。けれど、それって一直線に速く進める一方で、未来は予定調和にもなりかねない。
でも私は、その時々の興味に反応しながら、寄り道しつつやってきて、それで未来が案外面白くなることを知っている。「私はそれで大丈夫」とも思っている。

ふと思い出したのは、自分が40歳になった時のこと。
天からのお告げを受けたかのように「人生後半に差し掛かった」ことがハッキリとわかってしまった私は、「じぶん実験」をはじめました。「行き先はわからないけれど、人生後半、自分がどこまで行けるかやってみよう」と、動き続けることを決めたのです。

どこまで行けるかやってみよう

――描いた未来との差分を埋めるのではなく、化学変化を味わいながら行き着いた先の風景を味わいたい。そうだった。私はそう思っていたんだった。

そこでこれまでの「タスクを消化する」のとは別の方法を試してみようと興味をもったのが「タスクシュート」でした。

《Before》
正直よくわからん!
結局なにがいいの?

そもそもタスクシュートって何者なのでしょう?

「今」を大切に、今に集中して生きるための考え方と道具

「先送り0(ゼロ)」のカバー見返しより

・・・とのことなんですけどね。

方法としてはざっくりこんな感じ。
(わたし的解釈なので、誤りがあったらごめんなさい!)

①今日1日に特化したタスクをリスト化し、
 時間を見積もり実行順に並び替える
②①で立てたプランを元に、順番に実行する
③実行したタスクの開始&終了時間のログを取る
④翌日は③のログを元に一部タスクをルーチン化しつつ、
 別のタスクも追加してプランする
(→①に戻る)

ネットであれこれ調べたり、著者であるjMatsuzakiさんのVoicyを聞いたりもしていたんですけれどね。それでも、う~ん、いまいちよくわからん(失礼)。
いや、やり方そのものはわかる。けれど、本当の良さは何なのか、これまでの方法と何が違うのかは、正直いまいち実感できなかったんです。これが「今を大切に、今に集中する」ことにどうつながるのか、ということも。

《After》
行動を加点方式で見られる!
やらないよりやるを選びやすくなる!

そんな私を助けてくれたのが、本書。
タスクシュートの考え方や方法論をまとめたこの本を読了→数日タスクシュートを実践する中で、アハ体験に至ることとなりました。

タスクシュートに取り組んでまだ3日なので、「どの口が言ってるのかな…?」という感じではあるものの、早くもタスクシュートの世界観やメリットを実感しております。

たとえば、こんなこと。

▼早めに軽く取り掛かる→行動が加速する

◎「今日も一つ積み重ねられた」と思える世界観

タスクシュートの流儀の一つがこれ。

●「終わったかどうか」ではなく「取り組んだ時間」を記録する

「終わらせることができたタスクを数える(チェックする)」のが一般的なToDo管理だとしたら、タスクシュートが重きを置いているのは「取り掛かること」。
たとえば私は今、新たなメディアに営業する企画書を作成中。メディアの研究や過去記事の読み込み、企画のプランニングなど、当然1日では終わらない。けれど、「終わらなかったから明日に持ち越しだ」ではなく、「今日も一つ積み重ねられた」と捉えることができる。

「タスクシュートは”逆算”ではなく”順算”だ」と著者のjMatsuzakiさんはVoicyでもよくお話しなさっていましたが……

ようやく身をもってその意味を実感できた気がします。

先送りするのでなく、早めに始動する
→ 早めに動き出しているから、今日終わらなくても大丈夫
→ 見積もり時間をベンチマークにしながら今できることを進める
→ 先送りせずに積み重ねられる
→ 今日に充実感&明日の自分も大丈夫!


◎1分でも手を付けたら「先送り」とはしない

タスクシュートは、「1分=取り掛かかった」と認定してくれます。基準がハッキリしているんです。

昼間に外出した昨日、書き出していたタスクの一つ「洗面台の片付け」が先送り目前でした。が、「1分取り掛かる?先送りを選ぶ?」と自分に問いかけると、前者を選びたくなるんですよね。
元々は洗面シンクの下のスペースの片付けをターゲットにしていたのですが、さすがにそこまでの時間が取れなくなったので(=見積もり時間が甘かった)、スペース内にある小さな箱への着手へと路線を変更し、先送りを防止することができました。

ルーチンが重要要素の一つであるタスクシュート。ルーチンって、つまりは習慣なので、1日でもゼロにしてしまうとどうしてもその後の腰が重くなる。けれど、取り掛かることに価値を置き、1分でOKとされる世界に身を置くと、「思い描いたレベルまでできなかった」という自責の念より、「先送りにせず1分でも取り組んだ」ことへの自己肯定感の方が勝ります。
ちょっとした定義に思えるけれど、この「1分OKルール」はかなり効いてきます。

▼約束を守れる自分になる

本書にはこんな記述も。

●スモールウィン:先送り0の気持ちよさを糧とする
●インベストメント:ログを蓄積して将来に役立てる

これのおかげで、自分との約束が守りやすくなることを実感中。
どういうことか?

◎スモールウィン:先送り0の気持ちよさを糧とする

タスクシュートでは1日の最後に先送りタスクの数を数えますが、やはりここを「ゼロ」で終えたいのが人ってもの。1分でも手を付けたら「先送り」にはならないのが、タスクシュートの世界ですから「先送り0」を目指してログを取るべく一歩を踏み出すのは先ほどお話した通りです。

今日やらなくても致命的ではないけれども、今日取り掛かれたらベターなこと。それをリストアップした自分を裏切らず、きちんと実行に移した自分と毎日何度も出会えます(=スモールウィン)。


◎インベストメント:ログを蓄積して将来に役立てる

とはいえ、当初は「1分」と見積もったタスクはないわけで、できればもう少し手応えある取り組み方をしたい。そこで役に立つのが過去のログ。
実際私も、最近学び始めたNotionに毎日15分くらいコツコツ取り組めたら……と思いリストアップするものの、結局大きく時間をオーバーする傾向が。それが他のタスクに影響してしまう。
「私が15分で取り掛かれる範囲はこれくらい。週に1~2回はたっぷり時間を取ってみる」という風に自分の力量やキャパを踏まえて確かな経験則をもとにチューニングできることを早くも感じているので、見積もり精度があがる(=インベストメント)という点にも納得です。

結果として、自分に都合よく予定変更を繰り返すのではなく、自分なりに決めたタイミングでタスクに一つずつ向き合うようになりつつあるここ数日。自分との約束を守りやすくなっていることを感じています。

◎24時間のスケジュールを作り上げることからスタートしなくていい

実はこれまでも、今日をどんな風に過ごそうか、と手帳を前に1日をイメージすることはしていた私。それでも自分の意思の弱さが打ち勝って、思い描いたスケジュールで動くことができないということがしばしばでした。

・勢いに乗っているから、当初設定した終了時間は無視して、この仕事を終わるまで続けてスッキリしたい。
・急ぎなわけでもないし、今日やらずに明日始めればいいか

そんな風に思いがちだったんですよねぇ。

でも、タスクシュートは「終わらせる」のが目的ではない。しかも、初日は「プランは3つ以下でスタートする」のが教え。
つまり、24時間約束を守り続けなくてもいい。1日のうちで、疲れにくくて勢いに乗りやすそうな3つのタイミングで自分との約束を守って「始められ」たら、もうそれで今日のミッションはクリア!自然に、自分で定めた時間になったら、それぞれのタスク(プラン)をスタートするようになりました(もっと続けたければ、その後1日の余白があれば追加で時間を割けばいいわけですから)。

ハードルが低いところからスタートできれば成功体験を積みやすい!
自分との約束を守る心地よさを確実に、じんわりと味わうことができます。

車窓から見える風景を楽しむ今日

本書では、先送りの2つの要素を以下のように挙げています。

・いますぐやるべきことを、ぐずぐずとやらずにいる。
・あとでやればよいことを、ついつい先にやってしまう

では「すぐやる人」に変わるにはどうしたらいいか、というと、このようにな記述が。

・いますぐやるべきことに、さくさく手をつける
・あとでやればよいことは、すいすい受け流す

もともと私は周囲に「爆速」「歩く行動力」と呼ばれるほど、どちらかというと行動早め&多めの人間でした。でも、この「すいすい受け流す」が苦手だったんです、多分。
わかりやすい成果(=終わらせる)を手にしたくて、さっさと終わりやすいもの、先が見えるものからつい手を出してしまう。
行動量は多く見えても、裏側では「あれにまだ手を付けられていない」「こっちもまだ終わっていない」いうモヤモヤがあったんです。

タスクシュートに取り組んで数日経過した今、仕組みに乗ることでこの「すいすい受け流す」が少しだけできるようになったと感じています。

そして、今日に集中することって、つまりは人生の道のりを味わうことなんだなぁ、とも実感しているわけです。

* * *

始まったばかりの「タスクシュート」という実験。まだまだ偉そうなことは言えませんが、それでも「何か良さそう」な予感はしています。

本書の予約特典の一つ「100日チャレンジ」で、コミュニティに参加しながら100日間タスクシュートを実践するので、また100日後に気づきがあったらご紹介しますね。

▼2024.02.25 追記 ブックレビュー番外編、投稿しました!



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▼ Book Review Magazine「たくさん読むよりじっくり読みたい」
たくさん読むより、じっくりと。 今すぐ役に立つことより、じんわり効いてくる言葉を。 ライター・矢島美穂がゆっくり楽しんだ本をレビューします。


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