新しい資本主義?大きく変わる「お金」から考えるキャリアと教育
毎年、いくつかの大学の授業でお話しする機会をいただくのですが、「今年こそは伝えなきゃ!」と思っているテーマ、それは「大きく変化するお金」です。
これまでもなんとなくの変化は感じていたものの、もともとM&A(会社の合併・買収)をガンガンやっていたファイナンス・会計の専門家だからこそ懐疑心が強かったことと、これから社会に出る大学生にいい加減なことは伝えられない・・と思い話しませんでした。しかし、昨年大きく変わった今こそ話すタイミングだと思い、お金の変化をまとめてみました。
お金の変化は、これからの教育やキャリアの考え方にもつながります。子育て中のみなさんこそ、ぜひご一読ください!
お金の集まる場所が変わる
これまではブランドや評判など「過去の蓄積」に集まりがちだったお金ですが、これからは「想いと熱量」に集まります。
最近こんな飲食店が増えていませんか?
インスタグラム一本で想いを発信しているお店。このお店は、有名店での修行経験があるわけでもなく「おばあちゃんのお味を伝えたい」という一心で始められたお店です。Webサイトもなく広告も(おそらく)打たず、それでもメディアに取材されてお客さんが来る。私はこんな個人の想いのこもったお店が大好きです。
このお店のように、有名店での実績やブランドなど、「過去の蓄積」がなくても、「想いと熱量」を発信していると、お客さんは集まるのです。お客さんというより「ファン」という言葉がふさわしいでしょう。飲食に限らずグッズやサービス販売も同じですよね。
また、お店でなくとも、会社も同じ傾向が見られます。これまで就職先を選ぶ際にはブランドや実績のある「大企業」が圧倒的人気でしたが、身近な人の転職や、学生さんの進路を聞いていると、小さな会社でも、想いに共感する会社に就職するケースがどんどん増えています。
お給料は未だ、大規模に儲ける仕組みを持つ大企業の方が多いことが大半かもしれませんが、「想い・熱量」に惹かれて働く人からなる組織生み出すものも大きいはず。
このようにお金は、ブランドや評判など「過去の蓄積」よりも、「想いと熱量」に集まるのです。
お金の価値が変わる
お金が集まる場所が変わったと共に、お金の価値が軽くなっています。つまり、お金以外の「豊かさ」が、お金よりも相対的に大切になりつつあります。
具体的なイメージとしては、「お給料が増えることよりも、友達や家族の誕生日にみんなと一緒の時間を過ごすことに価値を感じる」という、このアフリカの現地従業員の例です。アフリカに限らず、日本でもこのイメージに共感する人も増えていることでしょう。
なぜなら、大金がなくてもできることが圧倒的に増えたからです。身近な例でいうと、車ででかけたい時にはカーシェアリングを使えば車を購入しなくともよい。このようなシェアリングエコノミー、洋服から家まで、どんどん増えています。
更に、事業を立ち上げるコストも格段に下がっています。先程のお店のような、想いや情熱からファンが集まるお店では、広告費を出さなくともインスタで発信することで集客できる。資金調達でも、必ずしも銀行借入れに頼らなくとも、クラウドファンディングでも可能でしょう。バックオフィスも月数千円のクラウド会計サービス等を活用することで相当カバーできるようになりました。
海外ではベーシックインカムの議論や実証実験も進んでいます。生活する、楽しむコストがどんどん下がることで、お金の優先度合いは確実に下がっていきます。そして、それよりも「つながり」といった、お金と違う「豊かさ」の価値が高まっていきます。
お金より、自分のイロを出しまくれ!
お金の大変化をまとめるとこんな具合です。
お金は「過去の蓄積」より「想いと熱量」に集まる。
お金の価値は下がり、他の「豊かさ」の価値が高くなる。
日本では「社会人=働く人」というように、大人になると働き、お金を稼ぐことがスタンダードです。しかし、こんなお金の大変化を考えて、これから社会に出てお金を稼ぐ学生さんに、何を伝えたらよいのか・・そこで思い浮かんだ言葉が
自分のイロを出しまくること。
です。つまり、お金を稼ぐことを目指すのではなく、自分の価値観に正直に行動し、それを周囲に伝えること。
そうすると、あなたの想いや情熱で、周囲の人が共鳴する。その共鳴が自分にも戻ってきて、とっても心地よいものになったり、そこからの刺激で更に新たなチャレンジをしたり・・これが、お金という目的がなくなった時の生きる・働くことになるのではないかなと、妄想しました。(ふと思いついて以下のフレームワークを書いてみて、いろいろな人に話してみたところ、なかなか評判がよかったので、子連れMBAで使っていこうっと!)
明治維新以来の過渡期だからこその葛藤
このようにお金が大きく変わり、岸田首相は「新しい資本主義」を掲げるなど、個人も社会も価値観が大きく変わる(変える)大変化の時期です。
ある人が「明治維新以来の大変化の時」と言われていましたが、私も同感です。お侍さんが刀を抜いて、ちょんまげを剃って洋服に着替える、それくらい行動から、気持ちや価値観までガラッと変わる、変わらざるを得ない時でしょう。
でも今はまだ、ちょんまげを切るか切らないか迷っているお侍さんが大半・・という過渡期でしょう。だからこそ、特に子供の教育ではたくさん葛藤を感じます。
来年小学校の次男は、最近、行列に並んだり、言われた通りのことをするのをとても嫌がり、しばらく登園拒否もしていました。「自分のイロを出しまくる」ならば、本人の個性を活かすのが良いに決まっているのだけど、来年からの小学校は、集団生活・ベルトコンベア方式が基本の日本。どうしたものか・・
5年生の長男は、逆に小学校に馴染みすぎていて。いろんな個性的なところはあるはずが、変わったことをすると友達にからかわれると、エッジが丸まってきている気がしています。これだけ「ダイバーシティー・多様性」と言われている中で、同じ学年の子供に同じ教育をする小学校こそ同質性高すぎじゃないか・・
「明治維新の頃もきっとこんなのだったのかな」と思いにふけりながら、その葛藤にあらがいつつ、自分のイロを出しまくって生きていくことこそ、明治維新なみの変化の時代を楽しく生きるコツかな・・なんて妄想しつつ、明日も幼稚園の代休を乗り切ろうっと!
みなさん、日々いろいろありますが、今週も楽しく行きましょう‼️
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