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Naked Desire〜姫君たちの野望

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舞台は西暦2800年代。 世界は政治、経済、そして文化のグローバル化並びにボーダーレス化が進み、従来の「国境「国家」という概念が意味をなさなくなっていた。 欧州大陸にある、…
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#貴族

Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−24

「お姉様に、どうしても見てもらいたいものがあります」
義妹はそう言いながら、黒色のクラッチバッグから、一冊のファイルを取り出し、それを私の前に差し出した。
彼女のいわれるまま、アタシはそのファイルに視線を向ける。
「ま、立ち話も何だからさ、座って話そ」と言いながら、アタシは彼女に、執務室のソファに座るよう促す。「コーヒーでいいよね?」
「はい、お姉様と同じもので」エミリアは

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−14

「うっせえなこの野郎! なにを偉そうに!」
といいながら、男は歯を食いしばって、両方の拳を握りしめるる。
私はそばの店員に、警察を呼ぶように伝えると、改めて男に向き合う。
「この店は、全館禁煙だとわかってますわね?」
この店には、店内の目につく場所に「全館禁煙」という案内板が設置されている。誰にでもわかる場所にあるので、知らないと言うことはありえない。この男がなにか不埒な目

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−13

フリーダは「はーあ」とわざとらしくとため息をつき、頭を抱えてテーブルの上に突っ伏したまま動かない。
「私にとってエルヴィラは『よき友人』だけれど『よき上司』とは言えないわね」
「へぇへぇ、『よき上司』でなくて悪うござんした」
私が彼女に返事した直後、私は店内の雰囲気に違和感を覚えた。室内に、イヤな臭いと共に煙が漂っている。
私は、すぐさま視線を、煙が漂う方向に向けた。

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−12

「だって、本当のことじゃないの」怒気を含んだ口調で、フリーダも言い返す。
「皇族としてのマリナは、ちゃんとお勤めを果たしている。それは私も認めるわ」
フリーダはグアテマラを一口飲むと、言葉を継いだ。
「私が言いたいのは、情報機関の幹部としてのマリナはどうなの? ってことよ。FGIKFは表向き政府の諜報機関だけど、その実態は、極右勢力とその支援者がターゲットだからね。マリナ付

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−7

「クラウス、起きないと遅刻するよ。さっさと支度しな」
クラウスと呼ばれた青年は、母親の罵声を目覚まし代わりにして、自室で目が覚めた。
う、うーんと彼はベッドの上で背伸びをすると、壁に掛かっているデジタル時計を見た。
時刻は、朝8時に近い。しまった、また寝過ごした。急がないと遅刻する。
ベッドから飛び起きて洗顔を済ませ 、身支度をする。今日の格好は、白地の丸首シャツと青色のデ

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第一章 心の壁-4

「チッ」キャサリンは、忌々しげな表情で舌打ちした。
その表情には「話を逸らそうとしてんじゃないよ」という感情が浮かんでいた。
「夕べ、何か飲み食いしたか?」
キャサリンは夕べのことを私に尋ねた。
昨晩、私がオトコと一戦を交えていたことは、彼女もわかっていたはずだ。
夜分に上流階級の令嬢が、オトコを自室に引っ張り込むというのは、私たちの世界ではよくあることだ。もちろんキャサリ

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第8回 第一章 心の壁-2

私は軽口のつもりでいったが、相手はそうは受け取らなかったらしい。
その言葉を聞いたとたん、オルガの顔色が変わった。
「悪かったわね! どうせ私なんか穀潰しだよ!」
顔を真っ赤にし、ドンドンと床を踏みならしながら私を罵倒するオルガを、私はまあまあとなだめ続けた。
「朝っぱらから悪かった。ごめん、この通り」
私は必死に頭を下げ、両掌を合わせて謝るが、それでもオルガの機嫌

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Naked Desire〜姫君たちの野望

ジリジリジリジリ──
枕元の目覚まし時計が、けたたましく鳴る。
「う、う、う──ん」
私─神聖プレアガーツ=ホッフンヌング連邦帝国グラーツ大公国第一皇女エルヴィラ・ジャンヌ・マリナ・カーリン・フォン・ゾンネンアウフガング=ホッフンヌング─は、目覚まし時計のベルを止めると、ベッドの中で思いきり身体を伸ばした。
上半身をゆっくりと起こすと、気のせいかまだだるい。
しまった、夕べのお楽しみは、1回だけ

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第6回 モノローグ-6

「そうね、そのほうがいいわね。置きっぱなしにしておいて、誰かに毒でも入れられたら大変だし」
実際この10年間、信頼していた部下や側近に、毒を盛られて命を落としたり、一命を取り留めても重篤な後遺症が残ったという話は、国内の至る所で流れた。
情勢が落ち着いたとはいえ、復古派の残党が一掃されたとは言い切れない現在、彼らの思想の信奉者が、素知らぬ顔で有力者に毒を盛らない可能性は残

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第3回 メモワール その3

そして勢いよく立ち上がると、窓に映る景色を見つめた。
暗闇の中に、部屋から漏れる光が、幻想的な光景を生み出している。
それを眺めながら、私は知り合いから、日本に古くから伝わる昔話を思い出した。
ある日、民のかまどから煙が上っていない光景を目にした天皇は、その理由を家臣に問うた。
家臣は天皇に、税金が重すぎるから、民のかまどから煙が立たないのですと返答した。
その話を

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第2回 メモワール その2

ところがそんなある日、意外なところから虐げられる者のために立ち上がる勢力が現れた。そしてその勢力の中心人物は、私もよく知る人物だった。
そして彼らは旧勢力を打倒し、中心人物は新皇帝として即位した。
人々は狂喜乱舞した。ついに、自分たちの願いを聞き届けてくれる人間が現れたと。
国民は口々に
「新皇帝万歳!」
と叫んだ。
国中の至る所に、新皇帝を称えるポスターが貼られ、

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第1回 メモワール その1

宮殿の自室の窓からみえる、月明かりに照らし出された景色を一人で眺めながら、私は過去を振り返っていた。
手の届かない場所に行ってしまった人たちの顔を。
そして、二度と戻ってこない景色を。

私の暮らす国では、これまでありとあらゆる不条理がまかり通っていた。
差別。
嘘。
本音と建て前の乖離。
弱者に対する侮辱行為。
富の偏在。
えこひいき。
拡大する格差問題と、固定化

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