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Naked Desire〜姫君たちの野望

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舞台は西暦2800年代。 世界は政治、経済、そして文化のグローバル化並びにボーダーレス化が進み、従来の「国境「国家」という概念が意味をなさなくなっていた。 欧州大陸にある、…
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#格差社会

Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁-18

極めて事務的な口調で話しかけるヴォルテーヌ警部に対し、ラッシャーは露骨に嫌そうな表情を浮かべた。
「殿下には、どんな質問をしたのですか」
「それは、あなたが知る必要はありません」
「私は忙しい」
「私だって忙しいのです。ですが、これが私の仕事なのでね。ラッシャー総店長、是非事情聴取にご協力願いたい」警部は、慇懃な口調でラッシャーに声をかける。
「イヤだ、といったら?」

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁-17

2人の口論は、終わる気配がない。私が周囲を見ると、いらだちの視線を向けているのはキャサリンだけではない。捜査関係者も、それは同様だった。何人かが、ラッシャーとフリーダを見ながら、なにごとかひそひそ話をしている。どんな内容なのかは、おおよそ見当がつく。総店長が口論しているから、仕事がはかどらないのだ。
「あのう、ちょっとよろしいでしょうか?」
私とキャサリンに、一人の警察官

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−12

「だって、本当のことじゃないの」怒気を含んだ口調で、フリーダも言い返す。
「皇族としてのマリナは、ちゃんとお勤めを果たしている。それは私も認めるわ」
フリーダはグアテマラを一口飲むと、言葉を継いだ。
「私が言いたいのは、情報機関の幹部としてのマリナはどうなの? ってことよ。FGIKFは表向き政府の諜報機関だけど、その実態は、極右勢力とその支援者がターゲットだからね。マリナ付

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第一章 心の壁−11

「メールの内容は?」冷たい汗が、背中を流れるのがわかる。
「あなたのコップを、簡易鑑定キットで検査したらしいの」
「どんな結果だったの?」
「ごくわずかだけど、睡眠薬の成分が検出されたって。で、詳しい検査をするためにキャサリンは、そのワイングラスを別部署に持参するそうよ」
「……」ショックのあまり黙り込む私。
「これでわかったでしょ? あなたがバスルームで溺死しかけたのは、

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第一章 心の壁−8

ギムナジウム(高校)に進学しても、相変わらず他人との会話や集団行動が苦手だったクラウスは、校内で孤立していた。
修学旅行前に開かれたホームルーム(HR)でクラウスは、クラスメートのいじめを理由に、ギムナジウム(高校)の修学旅行を拒否すると宣言した。いじめ問題は、心ある数人のクラスメートが動いたことで解決したが、結局彼は修学旅行を、無断で欠席した。
修学旅行は原則として、同一

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−7

「クラウス、起きないと遅刻するよ。さっさと支度しな」
クラウスと呼ばれた青年は、母親の罵声を目覚まし代わりにして、自室で目が覚めた。
う、うーんと彼はベッドの上で背伸びをすると、壁に掛かっているデジタル時計を見た。
時刻は、朝8時に近い。しまった、また寝過ごした。急がないと遅刻する。
ベッドから飛び起きて洗顔を済ませ 、身支度をする。今日の格好は、白地の丸首シャツと青色のデ

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第8回 第一章 心の壁-2

私は軽口のつもりでいったが、相手はそうは受け取らなかったらしい。
その言葉を聞いたとたん、オルガの顔色が変わった。
「悪かったわね! どうせ私なんか穀潰しだよ!」
顔を真っ赤にし、ドンドンと床を踏みならしながら私を罵倒するオルガを、私はまあまあとなだめ続けた。
「朝っぱらから悪かった。ごめん、この通り」
私は必死に頭を下げ、両掌を合わせて謝るが、それでもオルガの機嫌

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第1回 メモワール その1

宮殿の自室の窓からみえる、月明かりに照らし出された景色を一人で眺めながら、私は過去を振り返っていた。
手の届かない場所に行ってしまった人たちの顔を。
そして、二度と戻ってこない景色を。

私の暮らす国では、これまでありとあらゆる不条理がまかり通っていた。
差別。
嘘。
本音と建て前の乖離。
弱者に対する侮辱行為。
富の偏在。
えこひいき。
拡大する格差問題と、固定化

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