「倒産寸前の会社で働いています」第六話
5月初頭
「斎藤さん、やばいわ。」
ゴールデンウィークの半ば、カレンダー通りに出勤した私に、待っていたかのように基谷さんが言い出した。
「どないしたんですか。」
「M&Aの話やねんけどな…。」
「あら、もう話ついたんですか?」
「いや、まだ社長には話が行ってないと思うけど。俺からしたら、連れの紹介の会社やからさ。ちょっと、裏情報が回ってきてな。」
これは、ただならぬ雰囲気だ。
「おっと…それはゆっくり聞きましょうか…。まだ、社長も来ーへんし。」
そう言って、私は席に座った。