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ビジネスは借金によって成功が決まる

【「負債は悪だ!」という考えでは事業は絶対に失敗するワケ】

経営ファイナンスの考え方が身に付く5分間


この回は、読んでほしい方が明確です。

◆ 会社の借金(借入金や資本金など)は会社の負の遺産だと思っているサラリーマン
◆自家用車や持ち家が資産だと勘違いしているお父さん


こんな方は是非最後まで読んでください。
お金を見る目が劇的に変わります
そして、ビジネスにおいての考え方や判断軸もガラッと変わって、役員への道も見えてきます。


なぜ借金が成功の鍵なのか?

 結論から言います。
自分のキャパシティを超えた規模の活動が実現できるから」です。
規模が拡大すれば、得られるリターンの規模も大きいということです。
 例えば、手持ち100円で投資すると120円になって返ってくるビジネスがあるとします。あなたが今100円しか持っていなければ、リターンは20円のプラスです。900円借金をして手持ちが1,000円になれば200円のプラスです。
つまり、他人のお金を使って10倍規模の利益を作ることができます。
もちろん、その900円は銀行などから借りたものですから、利子を付けて返さなければいけません。利子2%だとしても、手持ち1,200円から借りた900円利子の18円を合わせた918円を返して手元に残るのは282円。自分の持ち分だけで投資したら120円ですから、規模としては2.35倍になったわけです。
 これで他人のお金を使った借金がビジネスでは有効に作用することがイメージできたかと思います。


では、なぜ借金は悪だと考えられているのか?

 問題はここです。
借金がそんなに良いモノなら「借金=悪」という印象がここまで蔓延することはないはずですから、何か理由があるのでしょう。
私の推測では、高金利でお金を貸す消費者金融の存在をマスメディアが過剰に取り上げたからだと考えます。つまり、印象操作です。
ニュースになるのは大抵は借りたお金をギャンブルに使ってしまうだとか、法外な利子で首が回らなくなったとかでしょう。
とはいえ、お金に対する教育不足が根本的問題ではないか、と考えます。
 資本主義によってあらゆるモノ、コト、時間、情報がお金に換算され、流動する、そんな社会構造に我々は組み込まれているにも関わらず、義務教育でお金の話は一切出てきません。
つまり、日本人の多くはお金リテラシーを持たないまま社会に出ることが多いのです。
ただ、こんなものは単なる知識に過ぎませんから、ここで全てを理解してしまいましょう。
その上で、ビジネスにおいて借金をどういう状況と判断で活用していくか?のリアルなテクニックを考えていくことが必要です。


借金によって得られるリターンの考え方

 そんな借金ですが、そもそも借金によるリターンについて正しく理解しておかなければ、借金は悪のモノとなってしまうでしょう。いくつか例を考えていきます。

◆奨学金のリターンとは?
 大学4年間400万円の奨学金を借りて一体何が得られるのでしょうか?
少なくとも400万円以上のリターンがあると考えなくてはいけません。直接的には大学に通うことで得られる学歴、知識、友人、その他学生活動の経験、ですよね。でも、これって1円もお金になっていませんので、リターンではありません
 奨学金のリターンとは、大学に通わなかったアナタと大学に通ったアナタがそれぞれ「社会に出てから稼ぎ出す収入」との差分だと思いませんか?
学歴は高収入企業への切符になり、知識は仕事でのパフォーマンス向上に貢献し、友人は優秀なビジネスパートナーになり、学生活動の経験は仕事においての視点や視野の広さとなるわけです。
これが奨学金400万円のリターンです。つまり、年収として帰って来るということです。


企業買収時の借入金のリターンとは?
 戦略上必要な会社を買収するために不足するお金を借りました。
ここで直接的に獲得するものとは、その会社のノウハウ、人材、既存顧客、土地などの資産、のれん、ですよね。そして、同じくこれらも1円にもなりません。一部土地などの資産は売却すればお金になりますが、買収というのはほとんどの場合、その会社の全ての資産を売却して得られる額以上の価額で買収しますから(プレミアムとか言ったりします。)、やはり直接的にはむしろ買収時には1円以下でしょう。
 では、ここでの借金のリターンとはなんでしょうか。それは、その会社のノウハウに自社ノウハウを掛け合わせて経営効率が上がったり、不足していた人材の獲得によって自社のリソースを拡大できたり、自社では知名度の低いマーケットで、その会社を通じて進出できたり、相互送客によって売上が上がったりと、お互いの力を合わせた結果、買収後の方が収益性が高まることがリターンだと言えるのです。
 まとめると、借金はこのように、活動に必要なお金、時間、ヒト、情報、に変換され、借金以上のリターンとなる循環の出発点だということです。これが借金とリターンの考え方です。


悪い借金と良い借金

 ここまで来ればもうお分かりいただいているかと思います。
借金とは、リターンを見込んで他人のお金を使うというリスクを取ることです。
だからこそ、借りる時には、そのお金が何に変わり、どのくらいのリターンになるのか?を徹底的に考える必要があります。
リターンが見込める確率が自分の中で十分であれば、ビジネスにおいては自分のキャパシティを超えて借金によって規模を拡大することは非常に有効なソリューションとなるのです。


借金はお金だけではない

 最後になりますが、借金は実はお金だけではありません。借金の概念を抽象化して考えてみてください。
自分が経営者や部長だとして、従業員や部下の存在は借金と同じじゃないですか?年収500万円の部下を10人抱えて事業をすると年間5,000万円かかります。
つまり、自分ひとりではできない規模の事業を、10人5,000万円という負債を抱えて運営するということです。このように事業に関わるほとんどの資源は自分の所有ではない負債から成り立っているということです。組織を作る側のマネジメント層の方は特にこれを意識して事業計画を作成しないと、すでにある資源だからといってとにかく使えるものは何でも使おうとすれば、それ以上のリターンを回収できずに借金地獄になってしまうことでしょう。
その点において、経営者は執行役員や部長がどんな視点で事業計画を作っているのか?には目を光らせておく必要があります。借金によって規模を拡大させることをレバレッジ効果(てこの原理)といいますが、良い事業というのは、投資とリターンの構造が正しく考えられていて、更にレバレッジ効果によってリターンが最大化されるように計画されているものになっています。


 お金回りの話は、真面目なサラリーマンほど実はよく分かっていないことがあって、つまり、組織の中の限られた役割で頑張るほど、その部署や組織には全社最適の観点から限定された目標やKPIを課されてしまうため、活動範囲や思考の幅が限定的になるため、経営管理スキルやファイナンスからは遠ざかってしまうものです。
なので、今回は以上になりますが、これからもお金回りの話をしていきたいと思います。
複利や金利の話なんかも事業運営上は非常に重要な要素になるので、いつかやりたいですね。

それでは、また。

vol.7

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