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歴史の望遠鏡

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この世の理不尽や不合理を疑問に思うこと。実は多くの場合、そこには人間の歴史がある。そこに生きた人々の怨念と情愛がある。
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たてものウォッチャー(2)

たてものウォッチャー(2)

史上最大の木造建築物。
他ならぬ、出雲大社でして以前は高さが16丈といいますから、48m以上あったらしい。今でも十分どデカい(冒頭写真参照)ですが、その倍以上はあったそうです。

平安中期に当時の貴族の子弟たちの教科書として出された『口遊【くちずさみ】』という書物の中に「雲太【うんた】、和二【わに】、京三【きょうさん】」という記述があります。建物の大きさに言及しているといわれてます。一番大きい雲太

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たった一人で扉を開ける(2)

たった一人で扉を開ける(2)

「人類は未来にタイムトラベルを実現させるのではないか。」歴史の中には、そう思わずにはいられないほどの異常人が何人か登場します。ロシアのピョートル大帝、清の康熙帝、アイユーブ朝のサラディンなど、驚異のマルチタレントで時代を一気に進める様は未来を知っているもののようです。
日本史においてはひとり、織田信長で、その意識を伺うにあまりに現代人に近い。
桶狭間の戦いや長篠の戦いが有名ですが、戦国武将などは彼

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たった一人で扉を開ける(1)

たった一人で扉を開ける(1)

日本でいつからちゃんとお金が使われだしたか。考えてみますと多分、室町時代じゃないですかね。
「明銭」というのがありましたよね。
清盛の時代は宋銭でも貿易商人や一部の貴族に「お金」は浸透していたのですが、商品経済が発達してきて、民衆レベルで商品取引の対価が必要になってきた。明のお金でもなんでも必要に迫られて、使っちゃえという感じだと思います。実はそれより700年も前に日本では「和同開珎」というお金が

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宗教改革(2)

宗教改革(2)

そして前述の信長。この人は宗教権力をまるで信じてなかった。当時としては非常に珍しいタイプの人で、それゆえ扱いも他の敵と一緒、いや兵卒にいたるまで信仰をもっている分さらに苛烈な攻撃を行い、比叡山延暦寺で3千人、伊勢長島、加賀、石山本願寺などでさらなる大量殺戮を行います。

おかげで清盛、信長とも「仏敵」と言われ、いらない敵を作り、いい死に方をしてないですから「仏罰」が下ったなどと世間から評されたりし

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宗教改革(1)

宗教改革(1)

比叡山延暦寺にバイクでいったことがあります。とにかく山全体が寺なわけで、その中心といわれる根本中堂にいたる道もなにやらハイキングコース風で、道の脇に延暦寺の祖、最澄の絵物語みたいなのが描かれています。そして、人々はそれを見ながら寺々を巡るという、とってもディスニーランドに近い無駄のない楽しみ方ができるわけです。
(とはいえ、その絵は相当に懐かしいタッチで描かれてますが、、。)
根本中堂に入ると目に

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52日間

52日間

熊本城の話です。
(※2016年4月に発生した熊本地震で甚大な被害を受けた熊本城ですが、天守も復活し現在復旧作業中、今だからこそ観れる熊本城の姿に注目です。
 公式HP https://castle.kumamoto-guide.jp/

本当にいいものが時代を超えた例として、熊本城の例を挙げないわけにはいかないでしょう。この熊本城というのは真っ黒で、巨大な石垣がやたら目立つ威圧感のある城砦です

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260年の恨みと恩(後編)

260年の恨みと恩(後編)

 もちろん、最後の砦になった藩とは会津藩のことです。
 会津藩の祖は保科正之。姓は違いますが、彼は二代将軍秀忠の実子なんですね。一回だけ、浮気して子供ができちゃった。それが保科正之、幼名幸松。秀忠は恐妻家で正妻のお江にそのことを隠し続けます(将軍なのに、その辺のお父さんみたいなのが秀忠の魅力です)。
 しかしついにばれ、幸松はその辺にいられなくなるんですね。お江はよっぽど怖いカミさんだったんでしょ

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