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Happy Journey 楽しい旅

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毎日、出会いと別れのくりかえし。 どんなはじまりも、おわりも笑顔でむかえられるように、はじめましてとさようならの手紙。
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2018年8月の記事一覧

きれいな孤独

きれいな孤独

母が、私たち兄妹に最も伝えたかったことは、「孤独について」だと確信するほどに、幼い時から口を酸っぱくして「人間は孤独なもの」と繰り返し教え込まれました。

人はみんな孤独なのだ。
孤独であることは怖くない。
人生で出会う友達は、そんなに多くないのだから、できなくても、うまくいかなくても気にすることはない。
ひとりの時間を楽しみなさい。
孤独に自信をもちなさい。
一人でも平気な人間になりなさい・・・

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涙を贈る

涙を贈る

「子どものころ、自分の部屋に閉じこもってよく泣いた。
不思議と大泣きした後、心は晴れていた。
いつからだろう?ちゃんと泣かなくなったのは。
ちゃんと泣かないのは
ちゃんとおこっていないから。
ちゃんとくやしがっていないから。
ちゃんと笑っていないから。
ちゃんと感動していないから。
ちゃんと愛していないから。
日々の暮らしの中で
面倒臭くなっている大切なことー
思い出すため、涙の粒をつくりました。

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カシタンが教えてくれたしあわせ その2〜子どもに読んであげたい、ヨゼフ・チャペックのお話〜

カシタンが教えてくれたしあわせ その2〜子どもに読んであげたい、ヨゼフ・チャペックのお話〜

私も、プラハの人々にならって、カシタンをお供えしてきた。

ミュシャやスメタナなど、チェコを代表する人々がねむる、ヴィシェフラド墓地を訪れ、祈りを捧げたのは、ヨゼフ・チャペック。チェコの国民的作家、カレル・チャペックの兄であり、彼もまた多才な表現者だった。

彼が描いたのは、子どもだましの架空の物語ではない。
子どもたちが心の底で望んでいるであろう、大人たちのするような、“ほんとうのお話”を子ど

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カシタンが教えてくれたしあわせ

カシタンが教えてくれたしあわせ

結婚式は、二度挙げた。

1回目は日本で、2回目は義理の兄家族が赴任していたチェコ、プラハで。

互いの両親を引き連れての、大人数での旅は、一生忘れられない思い出になった。いつかまた、その時のことは
別で綴ってみたいと思っている。

チェコから持ち帰った、一番のお土産といえば、カシタンにまつわるお話だ。

チェコ語でカシタンという、マロニエの実。
ポケットの中に入れておくと、しあわせになれるのだそ

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地上の月

地上の月

「もう少し行ったところで、左の空を見上げてみて。月がものすごく綺麗ですよ。」

はじめて歩く道で、しかも夜。
Googleマップとにらめっこしながら、下を向いて歩いていたら、すれ違いざまに声がした。
ありがとうございます、
驚きと嬉しさで胸をいっぱいにしながら顔をあげると、白髪の淑女が、まっすぐにこちらをみて、にっこり、微笑んでいた。
「明日は満月らしいわね。」
私たちは笑顔で別れ、また坂道を登り

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救世主、ニック・ジャガー

救世主、ニック・ジャガー

「ニック・ジャガー・・・」

晩ごはんの肉じゃがを煮ながら、本当にくだらない駄洒落が口をついて出た。
駄洒落を気軽に口にするような柄ではないことは、自分が一番よくわかっている。だけど、その日はあえて口にしたかった。

議論が好きな性格だ。

女性はよく、「ケンカじゃなくて、話し合い!」と主張し、男性はその険悪な雰囲気から逃れようとし、結果、本当に喧嘩に発展することが多々ある。
真剣に見

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泡のような人生を愛す。

泡のような人生を愛す。

「人生は泡のよう。
消えないうちに、愛して。」
いつか誰かが引用していた、日々の泡の一節。

愛することは、与えること。
欲しがることは、間違いだと思っていた。
はしたないことだと、さもしいんだと。
だけど、誰かに抱きしめてほしい時もある。

しかし。

私はふとたちどまる。
これは、人生の、声だ。
人生は泡のよう。
泡のような人生を、私は、消えないうちに愛さねばならない。
己の人生を愛せよ。

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秋風が壊していく

秋風が壊していく

久しぶりに外に出ると、 すっかり秋晴れといった 青空が広がっていて気持ちがいい。
陽射しはあるものの、 通り抜けていく風が、 もう、秋だよ。と教えてくれる。
涼しい。
一年で一番好きな季節がやってきた。
青空の下、 秋風に頰を撫でてもらいながら歩く休日は、 なんて幸福なんだろう。
秋のはじまりに聴く、 と決めた歌を聴きながら、 ここ数日の間に気がついた、 自分の間違いを洗い出す。
ああ、私は間

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ムーミンママの神対応から学ぶ。

ムーミンママの神対応から学ぶ。

・・・ムーミンパパはぬき足さし足で台所へしのびこみ、
あかりもつけずに、戸だなをあけると、いちばん上のたなにのっていた、
りんご酒のびんへ手をのばしました。
パパは、うんとうんと背のびをしました。
とたんに、はちをひとつおとしてしまったのです。
ガラガラガチャンと、すさまじい音がしました。

家じゅうの人が、目をさましました。
さけび声がして、ドアがバタンと鳴ったかと思うと、
ムーミンママが、ろう

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