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救世主、ニック・ジャガー

「ニック・ジャガー・・・」


晩ごはんの肉じゃがを煮ながら、本当にくだらない駄洒落が口をついて出た。
駄洒落を気軽に口にするような柄ではないことは、自分が一番よくわかっている。だけど、その日はあえて口にしたかった。

議論が好きな性格だ。

女性はよく、「ケンカじゃなくて、話し合い!」と主張し、男性はその険悪な雰囲気から逃れようとし、結果、本当に喧嘩に発展することが多々ある。
真剣に見つめあって議論を交わすことが意義のあることだと思っていたし、その中で自分が論破されれば、素直にそれに従うことができると自負していた。

でも、しょうもない駄洒落でケラケラ笑うことの方が、論破しされあうことよりも意義のあることなんじゃないか。
人の本心なんて、日常のさりげない会話や態度の中しにか見いだすことができないことを、ここ最近、ようやく学んできた。

毎日顔を合わせている家族こそ、ここぞ、という時以外、改まって話す必要なんてない。メリハリは大切にしながら。

歳を重ねると、駄洒落が自然に出てくるという。
そういえば、尊敬する河合隼雄先生も駄洒落好きだったそう。
プレッシャーやストレスのかかる毎日のなかで、損にも得にも、利にも害にもならない、くだらないことを考えて、自分を逃す。頭を遊ばせ、解放する。
賢人の用いる、一種の知恵とすら思えてきた。


ニック・ジャガー。

2014年に東京ドームで見たストーンズのライブ。
まるで60年代当時の映像を眺めているかのように、若々しくステージを走り回るミック・ジャガーの姿に驚き、キャーキャーはしゃいで踊り元気が出たっけ…

ミックもニックもいつも私を救ってくれる。

本当にしょうもない駄洒落だけど、私にとっては、かなり象徴的でうれしい変化をもたらしてくれた、魔法の言葉になったのでした。

これからも、こういうくだらないことに頭を遊ばせて、もっと精進していこうと思います。


ちなみにうちの煮物の味付けに使っているのは、ブラウン・シュガーです。


麻佑子

#日記 #エッセイ

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