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800文字ショートショート

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1つの短編は「800字以内」に収まっている時もあるし、いない時もありますが、大体の目安はそれくらいです。読むのに時間はかからないと思うのですが、読むには時間がかかるかもしれません。
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2022年4月の記事一覧

【ショートショート】#15 親ガチャシステムズ(株)

【ショートショート】#15 親ガチャシステムズ(株)

「はいー。次の方」

 私はこの会社に入って5年になる。仕事内容?それは割と簡単で、生まれてくる子供たちと子供を作る親たちに「ガチャチケット」を配ってガチャをひかせるって内容。

子供は授かりものだし、親だって基本的に自分たちの希望で子供を作る。だから生まれることとか作る事に関して私たちがやることは無い。

ただやることは一つ。

「誰の元へどの子を行かせるか」という事だけ。

 親ガチャ失敗、子

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【ショートショート】#16 干されアイドル「私の為に」

【ショートショート】#16 干されアイドル「私の為に」

 限界点が近づいてきた。自分の中でもわかっていた。年齢25歳。アイドルとしてやっていくとして微妙なラインに立たされた。そのラインの上で静かに呼吸を繰り返し、ネットの世界の片隅で、いつまでも光らないまま。

「このまま終わるのか?」

 そう思う日々はとても苦しくて、苦くて辛い。
動画サイトを開いてみても、SNSを覗いてみても、羨ましくなるようなそんな結果が目の前に広がっていた。

ベッドに寝そべり

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【ショートショート】#17 ゴミを集めてどうするのさ?

【ショートショート】#17 ゴミを集めてどうするのさ?

 結果とみるのか、それともゴミをかき集めて自慢しているのか?ゴミ山の中でしか輝けない私はゴミ山の女王なのか?

ポチポチとパソコンとスマホを駆使して、安っぽい感動と、いらない人間関係と、くそみたいなノイズをかき集めて。

その量を誇って暮らしている。そんな日々。

手にした刃は鈍く光り輝き、誰も殺すことも無いけれど、誰も幸せにすることが出来ない。そんな未来の無い生活を続けること幾星霜。

「・・・

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【ショートショート】#18 ソシャゲのキャラクター

【ショートショート】#18 ソシャゲのキャラクター

 私の名前は「リオネグレス」私がこの世に生まれ落ちたのは簡単な理由で、今流行りのソーシャルゲームのキャラクターとして作られた。

強さ的にはいわゆる「玄人向けの微妙なキャラ」という立ち位置であるが、仕方がない。ストーリー進行には必要なキャラで、私は主人公に「魔法の杖」を授けるという役目がある。しかもこれはまだ公開されていないが、ヒロインの幼馴染であり、ひょんなことから生きる道を間違えて悪の道を歩く

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【ショートショート】#19 光の倒し方

【ショートショート】#19 光の倒し方

 かつての昔、この国には勇者が居たらしい。その勇者は光の魔王と呼ばれる存在を打ち砕き、この地に平和をもたらした。

「それも一時的なね」

 俺はこの国に生まれて、この話を何回も聞いてきた。けれどもおかしい話になっている。
普通は逆じゃないのか?悪魔が闇で正義が光。そういう事に決まっているんじゃないのか?その疑問を自分の彼女にぶつけると、彼女は不機嫌な目で俺に言う。

「簡単じゃないの、勝った方が

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【ショートショート】#20 寄生虫、共生虫、無視してく

【ショートショート】#20 寄生虫、共生虫、無視してく

 宿主。自分が寄り添う相手。これが居なければ僕は死んでしまう存在だ。

「今の時代の寄生虫」

 それがまさしく僕なのだろう。寄生は規制されないからこそ人の世界では成り立つもので、寄生し続けることで僕は輝き続ける。

現実を見て欲しい。何かを語る人間は増えたけれど、それをストーリーにして見せることは案外出来ない。だからこそ寄生している僕こそが、寄生先を見ている僕だけがそのストーリーを作ることが出来

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【ショートショート】 #21 蜘蛛の巣・ネットワーク

【ショートショート】 #21 蜘蛛の巣・ネットワーク

 定置に網を置いて、それにかかる。こんなに楽なことは無い。馬鹿を騙して金をとるのは簡単だけれど準備が居るし待たなきゃいけない。長い時間、準備するんだ。

知り合いの蜘蛛の親方はそう呟くとせっせと糸を紡ぎ出し、定置網を置いていた。親方の作る蜘蛛の巣ネットワークは優秀ですぐに人を引っかけることが出来る。

親方はいつも言う「必要な物を置いておくだけ」それだけでいい。それだけ出来れば簡単に人を引っかける

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【ショートショート】 #22 人間、レベルアップ

【ショートショート】 #22 人間、レベルアップ

 「ティロリン」とどこかの誰かが作った音が頭の中で鳴り響く。おやおや、もうそんな時期かな。ふと自分のスキルカードを覗き込むと「大学3年生」という文字がゆらゆらと動く。すると新たな選択肢が生れた。

「どっちに行こうかな」

 僕は頭の中の「スキルツリー」にアクセスすると次に自分がとれるスキルを見始めた。

「うーん・・・あんまりいいのがないなぁ」

 そう呟くと何とくなく気になっていた映画を見始め

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【ショートショート】 #23 スキャンダラズ・インフルエンサー

【ショートショート】 #23 スキャンダラズ・インフルエンサー

 世界にと言うか、世間に問いかけることが出来る存在「インフルエンサー」でもその量が日増しに増えて来た。

俺の友人もその一人。

インフルエンサーはインフレエンサーになりつつある。増えに増えたその人たちは次第に価値を失っていく。

価値が無くなった人たちは公園で空き缶を拾って生活をしているという。俺の職業はそんな「かつて輝いた」人たちにインタビューをしてその記事を書いて、インフルエンサーに提供する

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【ショートショート】 #24 てんびん、はかりごと

【ショートショート】 #24 てんびん、はかりごと

私は天使でもありますので、生まれたあなたに選ぶ権利がそこに有ります。

 一つは「このままのお父さん、お母さんに育てられる」という選択です。お父さんは年収500万くらい。お母さんはパートで年収100万くらい。合わせて年収600万円の家庭からスタートです。

「ですが少し難儀なことも有ります。あなたが住む場所には大学が有りません。なので将来的に大学に行くのであれば一人暮らしをしなければいけません」

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【ショートショート】 #25 すいせいマジック

【ショートショート】 #25 すいせいマジック

 マジック、魔法のようだった。期待されていなかった過去の自分はゴミにも成れなかった。この世界でゴミになれたら楽だっただろう。それこそ普遍的な人生を歩いて行けると踏ん切りが付けるきっかけになったから。

「でも!諦めきれないのよ!」

 居酒屋の大将を相手に私は愚痴をこぼす。持っている日本酒が揺れるたびに大将は私を見て笑っていた。

「夢を追いかける若者・・・それを安全圏から眺めるのは最高だよね」

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【ショートショート】 #26 生きてて〝えらい〟

【ショートショート】 #26 生きてて〝えらい〟

「顔が良い、頭が良い、声が良い・・・良いの対義語ってのは悪いだよね?」

「何を言い出したんだお前は」

 カリンは咥え煙草のまま私の方を見た。立ち上る煙。その煙は天井で広がっている。

「いやね、最近生きててえらいって言葉を耳にしたもんだから、その反対を探してたんだよ」

煙草を手に取って灰皿に叩く音だけが響いた。

「・・・えらく無いとか?は・・・ダメか。良いの反対は良くない。よりも良くないの

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【ショートショート】 #27 現代人へ

【ショートショート】 #27 現代人へ

「あなたは冒険者になりました。なのであそこを目指してもらいます」

金色の杖をもった女神が囁く。指さす先は桃源郷と名高い土地。そこに向えばきっと最高の幸せが待っているのだと下界の人間たちは皆言っていた。

集められた数多の冒険者。各々はそれぞれ武器と防具を持ってる。

案内人の女神さまは指を空に向ける。

「あの桃源郷のような土地には桃源人と呼ばれる〝成しえた人達〟が住んでいます。その人たちは貴く

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【ショートショート】 #28 全肯定・シニラクション

【ショートショート】 #28 全肯定・シニラクション

「自分がやっている事、やりたいことをやらせてください。それに文句を言わないでください」

 新時代の切り欠きに、こういう発言が多いのはわかっている。わかっているが私の立場にもなって欲しい。そう呟くのはある会社を経営する男。山内。この男がやっていることはそれは

「見世物小屋の支配人」

 新時代。人は飽きるほど飽きてた。それは何に飽きていたのか?それはエンタメに飽きていた。ここでいうエンタメとは何

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