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【ショートショート】 #27 現代人へ
「あなたは冒険者になりました。なのであそこを目指してもらいます」
金色の杖をもった女神が囁く。指さす先は桃源郷と名高い土地。そこに向えばきっと最高の幸せが待っているのだと下界の人間たちは皆言っていた。
集められた数多の冒険者。各々はそれぞれ武器と防具を持ってる。
案内人の女神さまは指を空に向ける。
「あの桃源郷のような土地には桃源人と呼ばれる〝成しえた人達〟が住んでいます。その人たちは貴くもなく、またあなた達と同じ人間と言う種類です」
女神さまは私たちに目を向けた。
「さて、その土地に行くために必要なことは冒険です。冒険ですがそれは2つに1つ。ルートがあります」
「一つは魔物が住む厳しい山道を何か月も、もしかしたら何年もかけて歩かなければなりません。テントや食料など必要なモノも多いですし、持ちこみだけでは厳しいので狩りも必要でしょう」
「ですが、ここはゲームの世界ではないのです。魔物を倒してもレベルは上がりませんし、スキルも付きません」
女神さまは指を地面に向ける。
「もう一つの道はエレベーターがあります。乗っているだけで今すぐにでも桃源郷にたどり着くことが出来ます。今の装備そのままで行くことも出来ますよ?」
冒険者たちは騒めきだす。
「あなた達に出来ることはこの2つの道のどちらかを進む。ということを選ぶだけです」
「どちらから桃源郷に行きますか?」
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