【ショートショート】#20 寄生虫、共生虫、無視してく
宿主。自分が寄り添う相手。これが居なければ僕は死んでしまう存在だ。
「今の時代の寄生虫」
それがまさしく僕なのだろう。寄生は規制されないからこそ人の世界では成り立つもので、寄生し続けることで僕は輝き続ける。
現実を見て欲しい。何かを語る人間は増えたけれど、それをストーリーにして見せることは案外出来ない。だからこそ寄生している僕こそが、寄生先を見ている僕だけがそのストーリーを作ることが出来る。
僕は決して表に出ない。と決めていた。それが僕の役割なのだから。本来の寄生虫の役割は
「宿主をそれとなく助けること、そしてその見返りとして栄養を貰う事」
でもね、最近おかしいことになってきたんだ。
宿主がどんどん僕に栄養を与えるもんだから、僕もぶくぶく太ってきて、しまいには上手く動けなくなってきた。体が重い、足が動かない。そうか、僕にも寄生虫を付ければいいんだ。名前はそうだなぁ・・・・
「ファンとかキッズって名前はどうだろうか?」
「チルドレンってのもいいかもしれない」
さあ、僕から栄養を吸い込んで、世の中の馬鹿を騙して栄養を蓄えていこうじゃないか。
そうすれば僕たちは何もしなくても幸せな人生を送れるよ。
チルドレンから連絡が入った
「あの大物女優さんが不倫をしました!さっそく寄生しに行きましょう!」
僕は駆け足でパソコンのキーボードを叩いた。
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