【ショートショート】#15 親ガチャシステムズ(株)
「はいー。次の方」
私はこの会社に入って5年になる。仕事内容?それは割と簡単で、生まれてくる子供たちと子供を作る親たちに「ガチャチケット」を配ってガチャをひかせるって内容。
子供は授かりものだし、親だって基本的に自分たちの希望で子供を作る。だから生まれることとか作る事に関して私たちがやることは無い。
ただやることは一つ。
「誰の元へどの子を行かせるか」という事だけ。
親ガチャ失敗、子ガチャ失敗。そんなクレームが私たちの会社には毎日来る。
「望まれた子じゃなかった」「もっと金持ちの親もとへ生まれたかった」「国籍はあそこが良かった」「女が良かった」「男が良かった」・・・挙げ出せばきりがない。
でも、昔はこういうクレームが来なかったらしい。多分気が付かなかったんだろう。自分たちがガチャで選ばれてそれで組み合わせられていることに。
今は昔と違ってSNSが発展して個人同士が繋がるようになれた。すると気が付くんだろうなぁ、自分はどうして今の親から生まれて来たんだろうってね。
「もっと優秀な子供が欲しかったってクレーム最近ふえたよねぇ」
「そうねぇ、自分の子供は優秀な方が良いモノね」
私は煙草に火を付けて空を見上げた。
「ガチャでいい結果が欲しいなら、お金を積むしかないのにね。それに気が付かないなら仕方ないってことじゃない?」
くすくすと同僚は私の話を聞いて笑っていた。
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