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【ショートショート】 #28 全肯定・シニラクション

「自分がやっている事、やりたいことをやらせてください。それに文句を言わないでください」

 新時代の切り欠きに、こういう発言が多いのはわかっている。わかっているが私の立場にもなって欲しい。そう呟くのはある会社を経営する男。山内。この男がやっていることはそれは

「見世物小屋の支配人」

 新時代。人は飽きるほど飽きてた。それは何に飽きていたのか?それはエンタメに飽きていた。ここでいうエンタメとは何か?それは他人から受け取るエンタメ。

「片側通行のエンタメはテレビ、ラジオ。新時代の切り欠きは相互通信」

 そう心に決めて山内はこの会社を発足した。

「私とあなた達で作る夢物語。新しいファンタジー。そして画期的な幻想」

 当初は上手く行かなかった。しかし山内の部下である池田という人物が強引に「金剛石」を勝手に発掘。たいして磨いてないのに勝手に輝いている部分もあったため、一部の人たちに受けたのだ。

「やった!これで軌道に乗ったぞ」

 軌道に乗って数年が経つ。すると発掘した金剛石に変化が訪れる。

「・・・輝く場所が増え始めた」

 金剛石が自我を形成して自らを光らせようとして来た。しかし、それを良く思わない人達が居る。

「かつての輝きを見ていた人達、今まで応援してくれていた人達」

この人達のもう一つの側面

「金剛石の光らない部分を黙って受け入れてくれていた人達でもある」

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