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THE 30 MOST IMPRESSIVE ALBUMS OF 2023: MARUNOUCHI MUZIK MAGAZINE

現代のメタルは多様でしょうか?YES。寛容でしょうか?YES。感染力、生命力、そして包容力に満ちたメタルの音の葉は、人種や宗教、文化、言語、ジェンダーといった世界中の壁を壊しながら伝播し、根付き、そして抱きしめます。そう、このファンタジーの世界は、暗くて厳しい2020年代の現実にとって完全無欠の逃避場所であり、抑圧や憂鬱から回復し立ち上がるためのレジリエンスを供給する力の根源でもあるのです。

では、なぜメタルにはそれほどの力、エネルギーが備わっているのでしょうか?その答えは、EXTREME とヌーノ・ベッテンコートが15年ぶりとなる新作で代弁してくれました。

「"Six” では、エネルギーと意思を持って物事を投げかけることが重要だった。炎や情熱という言葉は俺の日常だ。俺は人々とつながり、ギターの楽しい面を見せたいんだよ。ギターを世界に取り戻したいんだ」

そう、メタルには受け継がれる情熱の炎があります。当たり前が当たり前ではなくなった時代に、当たり前に続けていて情熱と共に前へと進んでくれる存在…そのなんと頼もしいことか。実際、2023年はそうした歴戦の勇者たちが復活し、あるいは再び怪気炎をあげた一年となりました。そして幸運なことに、弊誌でも情熱あふれる “レジリエンス・ヒーロー” たちにインタビューを多く行うことができました。

MR.BIG、ELEGY、SAVATAGE、WINGER、VICIOUS RUMORS、Robby Valentine、Steven Anderson、そして THE ALMIGHTY。そう、彼らの中には誰一人として、常に順風満帆だった人はいません。いや、むしろ度重なる逆風の中で、時に傷つき、時に立ち止まり、時には一度諦めて、それでもメタルの魅力には抗えず、情熱の炎に薪をくべ続けてきた人たちです。だからこそ、リスナーに寄り添える。だからこそ、リスナーは信じられる。

昔は良かったなどと口にしようものなら即座に老害認定される世界で、たしかにこれは時代錯誤でロマンチックすぎる、甘酸っぱいノスタルジーなのかもしれません。それでも、ロックやメタルはあの時代に彼らが与えてくれた “全能感”、”この音楽さえ聞いていれば何でもできる” という無限の可能性と胸の鼓動を今も確実に受け継いでいます。

スター・ウォーズやスタンド・バイ・ミーが “ジョーカー” へと変異した現代において、今みんなが心待ちにしているのは、本物の "体験"、そしてきっと溢れんばかりの笑顔で夢を紡ぐ新たなエディ・ヴァン・ヘイレンの登場なのでしょう。

「ここ8~10年、本当に素晴らしいギタリストの大半は、俺もフォローしている驚異的なプレイヤーは、みんな部屋に座っているってこと。俺は舞台の上にいる。エネルギーが違うんだ。彼らは一人でスタジオに座って、ギターを弾きながら、SNS が何かで俺たちを驚かせる。彼らと俺の違いは、バンドが登場すること。だからこそ、感情的で、フィジカルなものになる。バンドの誰かが曲の途中でハーモニーやボーカルをとるし、歌詞もあるし、アレンジも、ブリッジも、とにかくオールインで、情熱的に演奏している。それこそが、人々を再び興奮させるレシピなんだよ」


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