夏目進平

MarunouchiUdon Magazine

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  • メタルにメがないメタ子さんがとにかくメんどくさい!

  • イングヴェイは異世界に転生しても貴族、正確には伯爵でした

    イングヴェイが異世界に転生してしまうクソラノベです!

  • 異世界騎士のお兄様が私とメタルよりうどんが好きなはずがない。

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最近の記事

"推せない" 洋楽の育て方

ちょうど、NILE というデスメタル・バンドの記事をアップしたところだ。 「デスメタルだけでは音楽的には満足できない。世の中には宇宙みたいに広い音楽の海があって、楽しめるものがたくさんある。実際、クソほどたくさんの音楽があり、クソほどたくさんのギターがある。学べば学ぶほど、自分が何も知らないことを知ることになる!」 ご存知ない方のために説明しておくと、NILE はアメリカのデスメタル・レジェンド。アメリカのデスメタル・レジェンドなのに、全身全霊を込めてエジプトの神話や歴史

    • メタルをめぐる誇大妄想狂 (メガロメイニア) たちの詩

      お台場のメタル・フェスの客入りが少々悪かったらしい。 そりゃそうでしょ…この気候変動灼熱地獄でアスファルト上等の野外フェスなんて普通に無理でしょ…アーティストのラインナップを見れば50代以上がメイン・ターゲットだろうし…なんで遊びに行くのに命かけたり根性見せなきゃならんのよ…昭和なの…バカでしょ…屍が積み重ならなくてよかったよ… そりゃそうでしょ…演者は素晴らしかったし、次は宣伝含めもっといろいろ考えてやりましょうね!でいいんだよ。でも、SNS を見ているとメタル・バブル

      • マルセル・ヤコブの逝去から15年。30周年を迎えたTALISMANの"Humanimal"はなぜ彼の最高傑作なのか?

        15年前。ジェフ・スコット・ソートが盟友マルセル・ヤコブの逝去によせた追悼文です。 「大きな喪失を経験したことのある人なら誰でも知っているように、親しい人を失うことの痛み、傷、虚しさを表現するために、"言葉" では決して十分ではない。それでもこの数時間、TALISMAN の音楽を聴きながら、私はどうしても書きたくて仕方がなくなってしまった。それが曲の歌詞であれ、ブログであれ、何であれね。胸の内を吐き出すべきことを処理しているうちに、それは親愛なる友人であるマルセル・ヤコブに

        • サブスクにない音楽は本当に存在しないも同然なのか?

          最近、こんなツイートを見かけることがあってね。ついに、"有識者" のような方からこうした発言が出るようになってしまったのかと、とても残念な気持ちになったんだ。 だってそもそも、その "存在" を伝えるために "有識者" がいるんじゃないのかな? その伝説を、名作の誉を、音楽の素晴らしさを伝えるために。そして、もしその偉業が伝わり、鳴り響いていれば、若い人だって中古なり、YouTube なりで勝手に探して勝手に耳にするはずなんだ。 なにより、たしかに多くの若い人に伝えていく

        "推せない" 洋楽の育て方

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        • メタルにメがないメタ子さんがとにかくメんどくさい!
          4本
        • イングヴェイは異世界に転生しても貴族、正確には伯爵でした
          4本
        • 異世界騎士のお兄様が私とメタルよりうどんが好きなはずがない。
          18本

        記事

          "Ashes of the Wake" から20年。そろそろ LAMB OF GOD の真骨頂を知ろう!

          「PANTERA がいなくなって、LAMB OF GOD が王座に就いたんだ。90年代はスラッシュ・メタルにとって厳しい時代だった。でも2000年代になると、LAMB OF GOD のような若いバンドがスラッシュ・メタルをリセットしてくれたんだ」 20年前、今世紀最高のメタル・アルバム2枚が同じ日にリリースされました。MASTODON の "Leviathan" と LAMB OF GOD の "Ashes of the Wake" です。なぜ、今世紀最高のメタル・アルバム

          "Ashes of the Wake" から20年。そろそろ LAMB OF GOD の真骨頂を知ろう!

          ヘヴィ・メタルと都知事選

          僕はたぶん、リベラルとか中道左派とかオネショタとかいわれる思想に近い考え方を持っている。 だから今回の都知事選、もし選挙権があったなら蓮舫さんに入れるべきだったんだろう。だけど、ずっとこの選挙戦を観察していて、もし選挙権があっても蓮舫さんには絶対に投票していないだろうと思った。 幸か不幸か僕はうどん県在住のオネショタ希望14歳なので選挙権はなく、この蠱毒の壺のような選挙に投票する義務はなかったんだけど、そんな中でも蓮舫さんの主義主張は大正義で大真面目で大潔癖だった。 だ

          ヘヴィ・メタルと都知事選

          "オフ・キルター"なリズムでMESHUGGAH 以前にメタルを抽象化した英傑たち: CONFESSOR の "Condemned" と CRIMENY の "Peat"

          例えば、絵画にも写実派と抽象派があるように、おそらく音楽にも写実的な音楽と抽象的な音楽が存在するように感じます。そういう視点でみると、80年代のヘヴィ・メタルは、写実派や印象派、そして象徴派がほとんどだったのではないでしょうか。つまり、そこにある風景 (音楽) を正確に具体化したり、理想化したり、印象的に描くような音楽。 もちろん、FATES WARNING や WATCHTOWER のように難解で幾何学的なバンドも少なからず存在しましたが、彼らの難解は抽象やシュールという

          "オフ・キルター"なリズムでMESHUGGAH 以前にメタルを抽象化した英傑たち: CONFESSOR の "Condemned" と CRIMENY の "Peat"

          EDGE OF SANITYはなぜメロデスでありながらメロデスではなかったのか: 傑作"Purgatory Afterglow"の30周年再発によせて

          「NIRVANA はビッグになる前から好きだった。ENTOMBED の Uffe Cederlund が "Bleach" のテープを送ってくれたんだけど、僕にとってあれはロックとデスメタルの究極の融合だった。僕と Andreas "Dread" Axelsson は、Kurt Cobain が亡くなった当時、グランジの大ファンだったんだ。つまり、"Purgatory Afterglow" は Kurt に捧げたアルバムだったんだ」 EDGE OF SANITY は "馴染

          EDGE OF SANITYはなぜメロデスでありながらメロデスではなかったのか: 傑作"Purgatory Afterglow"の30周年再発によせて

          「ポリリズムだといわれるが僕らは単純に4/4だった」 MESHUGGAH初期のメンバーが明かすメタル革命の真実

          「僕らはメタルを必要最低限まで削ぎ落とし、抽象的に再構築した」 1995年に MESHUGGAH のアルバム "Destroy Erase Improve" に収録された "Future Breed Machine"。そのBPM172の悪夢の迷宮ようなポリメトリック・リフは、非常にマニアックで複雑なため、最も洗練されたリスナーでもそこにある真実を知ることは簡単ではありません。 シンコペーションは常駐し、トラックが制御不能なカオスを引き起こしているように聴こえるものの、結果は

          「ポリリズムだといわれるが僕らは単純に4/4だった」 MESHUGGAH初期のメンバーが明かすメタル革命の真実

          「BucketheadはKFCのバケツをとっても変態だった」 (サージ・タンキアン)

          歴史上、Buckethead ほど正真正銘の謎めいたギタリストはいないでしょう。バケツをかぶったこのギターの名手は、GUNS' N ROSES に短期間在籍していたことはもちろん、イギー・ポップからレス・クレイプールまで、あらゆるジャンルの伝説とコラボレーションしてきました。中でも、2005年にリリースした "Enter the Chicken" は、SYSTEM OF A DOWN のサージ・タンキアンとのコラボレーションから生まれた名作です。 この作品が Bucketh

          「BucketheadはKFCのバケツをとっても変態だった」 (サージ・タンキアン)

          なぜスウェーデンはメタル大国になれたのか?

          PAIN OF SALVATION の来日が決まった。 素晴らしいね!90年代から活躍を続けるスウェーデンのプログ・メタル・バンド。いや、もはやプログ・メタルなどという陳腐な言葉には収まらない唯一無二のカルト・ヒーローだ。彼らほど、メタルとオルタナティブとプログの垣根を取り払い、超越したバンドは他にいないだろう。 スウェーデンには彼ら以外にも、さまざまなメタルのカルト・ヒーローが存在する。 EUROPE やイングヴェイ ・マルムスティーンがアリーナ・ロックやシュレッドの

          なぜスウェーデンはメタル大国になれたのか?

          I MOTHER EARTH ガチ勢

          先日、PEOPLE IN THE BOX の波多野さんが高松のライブ・スペース燦庫2周年の記念ライブを行うということで、いそいそと出かけて行った。(おめでとうございます!!) いやー、素晴らしかったですね。燦庫はライブ・ハウスTOONICEがあるビルの3階に入っているんだけど、まずガラス張りで外が見渡せるのがいい。波多野さんも仰っていたけれど、壁のない自由な感覚で聴く音楽は別格だ。 演奏は言わずもがな。共演された uniTONE の大森さんを含めて、香川の心臓、菊池寛通り

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          BEAT: 80'sクリムゾンを溺愛する Steve Vai と TOOL が蘇らせる3部作

          "スーパー・グループ" という言葉はしばしば乱用されますが、BEAT の場合、その呼び名は自信を持って使うことができるでしょう。 Adrian Belew, Tony Levin, Steve Vai, そして TOOL の Danny Carey をフィーチャーしたこの新たな名実ともに "スーパー" なバンドは、KING CRIMSON 80年代のアルバム3部作を演奏するために、かの Rober Fripp の許可を得て結成されました。80年代 KING CRIMSON

          BEAT: 80'sクリムゾンを溺愛する Steve Vai と TOOL が蘇らせる3部作

          アーネル・ピネダの "JOURNEY" (ルビは旅路)

          先日、音楽業界大重鎮オバサンがこんな投稿をして物議を醸した。 「まぁ、私のような古いファンは、フレディが亡くなっな後、フリーやバッド・カンパニーのヴォーカリストだったポール・ロジャースのクイーンを見ていますからね。 ポール・ロジャースはひたすらロックの人だったし、華が無いし、フレディが残した作品としての色も匂いも色香も無く、ひたすら殺風景でしたから、落胆と失望感だけがどんよりと灰色に残ったことを覚えています。 だからアダムがいてくれて、今のクィーンを迎える事が出来ているのだ

          アーネル・ピネダの "JOURNEY" (ルビは旅路)

          もう、セイソクくんには騙されない🖤

          『最高の恋をするために集まった男女の中に、オオカミこと "絶対に恋をしない" メンバーが潜んでいる。彼らはオオカミの甘い誘惑や罠に惑わされることなく、最高の恋を見つけることができるのだろうか?!』 これが、"日本の女子中高生の3人に1人は必ず見ている" と噂されるオオカミ・シリーズだ。"日本の女子中高生の3人に1人は必ず見ている" ということは、つまりヘヴィ・メタルとは真逆のコンテンツということだ。ヘヴィ・メタルは逆に、"日本の孤独なオッサンの3人に1人は必ず聴いている"

          もう、セイソクくんには騙されない🖤

          ガールズ・メタルとヘア・メタル

          ベネヴォレント・セクシズムという言葉がある。ベネヴォレントには、"善意の" とか "慈悲深い" という意味がある。つまり、善意や配慮からくる一見ポジティブに思える言動が、実際は性差別を助長していることを指している。 これのやっかいなところは、配慮のつもりが差別になってしまうことだ。例えば、「ここは男の俺がやるから、君は黙って見ていてくれ」。一見、女性を気遣った男気のある発言に見えるけど、これによって受け手は従属的な存在であることを刷り込まれ、自由を奪われ、自らの挑戦を阻害さ

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