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メタルをめぐる誇大妄想狂 (メガロメイニア) たちの詩

お台場のメタル・フェスの客入りが少々悪かったらしい。

そりゃそうでしょ…この気候変動灼熱地獄でアスファルト上等の野外フェスなんて普通に無理でしょ…アーティストのラインナップを見れば50代以上がメイン・ターゲットだろうし…なんで遊びに行くのに命かけたり根性見せなきゃならんのよ…昭和なの…バカでしょ…屍が積み重ならなくてよかったよ…

そりゃそうでしょ…演者は素晴らしかったし、次は宣伝含めもっといろいろ考えてやりましょうね!でいいんだよ。でも、SNS を見ているとメタル・バブル世代のお気持ち表明、大した偉業でもない偉業誇り、嘆きの投げキッスが延々と流れてくる。

なんか僕のツイッター、勝手にオススメ・タブになるから、出会い頭に知らんオッサン、オバサンのメンヘラ・ツイートが脳を侵食してくるんだよね。なんで、オッサン・オバサンってだいたいプロのメンヘラなの…メンヘラとお気持ちで稼いでるの…で、最終的にこうなってた。

「メタルは死んだ…もうメタルなんて誰も聴いてない…もうマヂ無理…リストバンドしょ…」

GOD IS DEAD!! 神は死んだ!!みんな優勝!!いやいや、どうしてそうなった!!情緒が不安定どころか置いていかれとる!!誇大妄想もいいところでしょ!!

つい2週間前に、GOJIRA がオリンピック・ゲームの開会式でブチかまして、メタルヤベー!メタルの時代来たー!!ってハッチャケてたところでしょう。閉会式にも CULT OF LUNA の人が出てたし、メタル、十分に認められとるやん…なんぼ閣下が "HEAVY METAL IS DEAD" と歌ったところでそうはならんやろ…

いや、たしかにメタルは1991年9月24日に一度死んでいる。"Nevermind"の登場でね。でもね、大量絶滅を経て、メタルは地球の生命のごとく細分化、多様化を繰り返して不死鳥のように蘇った。モダン・メタルとして。

そして、その窮地からの回復力、様々な文化やジャンルを抱きしめる包容力が今世界中で芽吹き、高く評価されていると僕は口を酸っぱくして言い続けているんだけど、もうね、頼むから無知蒙昧、謎のメンヘラ誇大妄想だけでそのポジティブな波に水をささないで欲しいのよ…

とはいえ、僕だって、ひょっとしたら佳子様が隠れメタル・ヘッドで Marunouchi Muzik Magazine の愛読者なのではないかとか、その縁で佳子様と園遊会手つなぎターボ・ラバーといった不敬極まりない誇大妄想を持つことにはやぶさかではない。そうした妄想の中で、ただひとつ、実現しそうだった、実現してほしかった妄想がある。

OUTRAGE の世界制覇だ。

OUTRAGE も先のお台場のフェスにいるべきバンドだよね。先日、Naoki Hashimoto 氏にフォローしていただき即嬉ションしながらフォローを返したから言うわけではないんだけど、大好きなバンドだよ。

OUTRAGE のファンには、初期勢、"The Final Day" 信奉者、いろいろ好き、復活してからが最高など様々な派閥があると思うけど、僕は "Life Until Deaf" ガチ勢だ。うん、今でも僕は、OUTRAGE はこの "誇大妄想狂" という歌で始まるアルバムで世界を取れたと信じているんだ。

このアルバム、本当に今聴き返しても素晴らしい。時の試練に耐えまくっている。今日もし南海トラフが来てもたぶん耐え切れる。ちょうど、さっき言ったようにメタルが一回焼け落ちて、灰の中から蘇り始めたころの作品だから、実に多様で、アイデア豊富で、リズミカルで、オルタナティブ。それでもしっかりと "メタル" しているのが驚異的なんだよね。

マイケル・ワグナーとのタッグも大正解で、鬼気迫るギター・サウンド、ソロの美学はあまりに雄弁。Naoki Hashimoto 氏もこのアルバムで完全にジェイムス・ヘッドフィールドの影を抜け出し自分の声を見つけたような気がする。エクストリーム・メタルの中に "歌心" がある。素晴らしい表現力だよ。

これねー、これも僕の妄想なんだけど、僕はね、よくPANTERA って言われるけど、この時期の OUTRAGE の人たちは TOOL とか HELMET とかもすごい聴いていたと思うんだよ。

"Undertow" なんて曲名そのものだし、和太鼓集団 "鬼太鼓座" をフィーチャーした (この文化的アイデンティティを知らしめる試みも21世紀のメタルに通じる) 9分の "In Union With Earth" はあの TOOL の奇妙な浮遊感、タイム感、リフワークがよりメタリックに再現されている。"Draggin' Me Down" の計算された知的なグルーヴなんて、実に HELMET っぽい。

それでもね、根っこがメタルだから当時のアメリカのバンド以上に頭を振れる、歌える、拳を突き上げられる。だから素晴らしい!

でも、変な妄想なんてするもんじゃないね。結局、OUTRAGE があの時世界を取ることはなかった。なかったけど、正直ね、このアルバムを聴いたら、「日本のメタルはー!」とか「海外のメタルならー!」とか言うのもアホらしくなるよ。だって、何にも境目が感じられないんだから。等しく最高の挑戦的な "ヘヴィ・メタル" なんだから。そうなんだ、OUTRAGE は僕に、音楽における、文化における "境界" "押し付け" "妄想" のくだらなさを教えてくれたんだ。

だからね、僕も含めてオッサンもオバサンも、クソ暑いんだから変な妄想や押し付け、お気持ち表明はそこそこに、"Life Until Deaf" でも聴いて、とりあえず "耳が聴こえなくなる" くらいまでは愛するメタルを人生と共にゆっくり追いかけて行こうじゃないか。音楽って、そもそもそういうものでしょ?そうじゃなきゃ…オマエも癌にしてやろうか!(早期発見で)


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