まーさのGogaku道場

ベテラン日本語教師。 ビジネスパーソンに日本語を教えています。 柔術青帯。 Jazzも…

まーさのGogaku道場

ベテラン日本語教師。 ビジネスパーソンに日本語を教えています。 柔術青帯。 Jazzも勉強中。 Standfmで語学習得特化型コンテンツを毎日配信中。 https://stand.fm/channels/646651060b5e6b2d87dae7a9

最近の記事

最初は誰でもたどたどしい

化粧品やダイエット用品のCMはある程度 真実ではない部分があると分かっていても 画面右下の小さな白い文字の文章を読まずに 買おうかなと誰もが思ったことがあると思う。 英語学習の動画などを見ていると 同じようなパターンが見える。 効果的な暗記方法、英会話の攻略の最も効率的な順番 資格試験攻略テクニック。あの手この手で魅力的な コンテンツが盛りだくさんだ。 その「学習法」の提唱者がきれいな発音で流暢な英語を話し出すと 見ている方が(ああ、こうなりたい!)と思うのは自然な流れ

    • 「学習法」より、言語化の感覚

      日本人が英会話に苦戦している時代がいくらなんでも長すぎる。 ここ数十年で関わってきたヨーロッパ人の英語力は 若い世代ほどレベルが上がっているのをはっきり感じる。 ここ何年かでレッスンを通して出会った20代のヨーロッパ人は 本当に癖のないわかりやすい英語を話せる印象だ。 各国の語学教育の進化もあるだろうし、時代背景もあると思う。 先生の英語力が上がれば、英語のみでの授業が普通になる。 世界がますます小さくなり英語を使う機会は自然に増える。 彼らはまさにその結果だと思う。 同じ人

      • マンマミーア的5分間

        私は長年、いろんな国の人に日本語を教えてきているが 最も人数が多いのがドイツ人だと思う。(数えてはいないが) ここ20年以上毎日のように彼らと接してきて ドイツ人の笑いのツボも適宜刺激できるようになっている(笑) そんななか、もちろん他の国の人とのご縁もちらほらある。 ここ何年かで一番印象深いのはやはりイタリア人だと思う。 日本にあるドイツ系企業で彼に出会ったが、イタリア本国の会社に 転職が決まるまで彼は日本にいた。彼が日本にいたのはコロナ禍の少し 前からの3年半。全部書け

        • バイリンガル(あるいはそれ以上)の日本語力

          例えば、その人の話す言葉の力に強弱があったとして 明確な言語化の力がある人が発する言葉には強い力を感じる。 イメージで言うと刀だ。いろんな意味で切れる。 程よい長さ。すぐわかる。 言語化が苦手な人の話し方は、イメージで言うと雲だ。 最後まで聞いて、雲間の奥から言いたいことが見えてくるイメージ。 言葉を探すまでに時間がかかり、言葉が少ない場合。 言葉を探すまでに時間はかからないが、話が長く こちらが理解するまでに時間がかかる場合。 短い場合と長い場合と両方ある。どちらもわかり

        最初は誰でもたどたどしい

          多言語話者の「頭の中の教科書」4

          ヨーロッパ人には多言語話者が多い。 でも、年齢層が上がると英語もたどたどしい人もいる。 と言うことは言語教育が時代とともに進化しているのだと思う。 最近の20代のヨーロッパ人の英語力は本当に高い。 同じ人間なのだから、方法さえ間違わなければ 若い日本人も同じようになれるはずなのだが。 私が一番多く関わってきたのは30代以上の大人世代のヨーロッパ人だ。 また、母国語を感じさせない癖のない英語を話せる人は特に言語習得能力が高い印象だ。そしてとにかくよく話す。中上級のレッスンでは3

          多言語話者の「頭の中の教科書」4

          日本独自の「語学習得神話」

          「英語話せない」 どこかに出かけると必ず耳にする会話の話題。 隣の席やテーブルでそう話している人々に本当によく遭遇する。 これは私が引き寄せているだけなんだろうか。 いくら何でも 何年も努力を続けて話せるようにならないという 時代が長すぎないだろうか。誰も疑問に思わないことや 思っても見なかったことが原因という可能性をどうして 探らないのだろうとも思う。 私は日本人の能力を持ってして簡単な英会話ぐらいは 2年程度でできるようになるはずだと思っている。 それを難しくしている

          日本独自の「語学習得神話」

          日本の英語教育を脳から全削除した日 -unlearn.

          最近、仕事関係の方とのやりとりを通して私は 一つのあたらしい言葉に出会った。 それは、unlearn. 彼女はunlearnに関する書籍の話をしてくれた。 unは二つの意味を持つ接頭辞。 一つ目は unhappy, unfair, unfortunately この場合は、そうじゃないと言う意味。 もう一つは undress, unpack, uninstall. 服を脱ぐ、荷解きをする、アンインストールは日本語になっている。 unlearnは後者の方だ。 私は早速一冊の本

          日本の英語教育を脳から全削除した日 -unlearn.

          日常会話のステージ分け

          私は約一年ほど、音声配信を続けている。 一言で言うなら「語学習得特化型チャンネル」 世界レベルの努力が継続できる日本人の国民性を 「話せる語学」へ方向転換したいと言う思いで話してきた。 この一年、音声配信を始める前には気づかなかったことを いくつか発見した。その一つを今日は言語化してみたい。 私は日本人の英会話力は「学習法」では解決できないと 思っていて、三つの視点でそれを分析している。 概要はこちらの記事へ。 https://note.com/martha3306/n/n

          日常会話のステージ分け

          日本語でできないことは英語では勿論できない

          私は仕事柄、外国人の日本語を聞く機会が多い。 ほとんど毎日、何十年もそう言う生活を繰り返している。外国人の日本語よりも日本人の日本語の方がわかりにくい時がある。と言う話は以前の記事にも書いたが 今日はその原因に気づいたきっかけの話を少し。 私がその原因の存在に気づいたのは横浜のブラフアパートメントで 欧米人女性のグループレッスンをしていたときだ。 ブラフアパートメントは横浜に古くからある、その外国人向けアパート。 そこに住む日系ブラジル人男性の 生徒さんからオランダ人女性を

          日本語でできないことは英語では勿論できない

          書くことと、話すこと。

          たまに耳にする英語学習方法の一つに、日記がある。 「英語で毎日日記を書いたら、英語が上手になる」 「英語で書けたら、話せる」 私も昔やっていたし、悪くない方法だとは思う。 読み書きの英語学習としては意味があると思う。 でも、会話力には直結しないだろうと思う。 理由は簡単だ。話していないのだから。 もっと言えば、書く回路と話す回路は稼働する脳の部位も異なる。 一年間、ほとんど毎日、「ラジオで話す」と言うことを続けてみて 書くことと話すことは、改めて全くの別物だと感じている。

          書くことと、話すこと。

          Language Exchangeのススメ

          Language Exchangeをご存じだろうか。(以下:LE) 恐らくご存じの方も多いと思うが、お互いの目標言語を教え合う二人組制度。 別に三人でもいいと思うが、私は今まで二人でしかやったことがない。 今月から本当に久しぶりに私はLEを始めた。相手はドイツ人女性。ドイツ語と日本語のLEだ。彼女は去年、昔の生徒さんが連れてきた友人だ。彼女には初めての日本だった。日本食、日本文化、彼女は日本がとても好きになったようだ。それもそのはず、彼女の趣味は和太鼓。私の昔の生徒さんは彼女

          Language Exchangeのススメ

          多言語話者の「頭の中の教科書」3

          3、4ヶ国語を流暢に話す多言語話者を見て、昔の私は本当にすごい、羨ましいと 素直に思った。そして、数カ国語を瞬時に使い分けられる頭の中は一体どうなっているんだろう、一体どうやって?と興味も湧いた。そして、そういう人たちに何十年も日本語を教えてきて、彼らの学びを目の前に見て、知りたかった彼らの頭の中や、どうやって?と言う部分に寄り添ってきた。いつしかそれが私の中で「普通」「日常」となり、「話すために学ぶ」彼らの求めるものに教師として反応できるようになった。そして、実際に「話せる

          多言語話者の「頭の中の教科書」3

          Only in Japan!!

          Only in Japan!! この言葉を情感たっぷりに大きな身振り手振りで言う生徒さんを私は、何度も見てきた。 「昨日スタバに行ったけど、席を取るためにスマホがカウンターに置かれていた!Only in Japan!!!」 「友人が財布を無くしたけど、中身はそのままで警察に届けられていた!Only in Japan!!!」 それを集めたら、一冊の本が書けるほどじゃないかと思うほど、 ありとあらゆることで私はこの言葉を生徒さんから言われてきた。 電車がいつも時間通りに来るこ

          多言語話者の「頭の中の教科書」2

          多言語話者という言葉より、マルチリンガルの方が馴染みがあるだろうか。多言語話者はヨーロッパ人に多い。それは言語が似ているから習得しやすいという面もあると思う。イタリア語とフランス語とスペイン語は同じ言語グループだし、多言語の辞書を見るだけでもスペルがほぼ同じ単語をよく見かける。同じ言語グループでなくても語源に共通点があると語彙も増やしやすい。だから彼らにとって「語学の習得」のイメージがそこまでハードルの高いものではないのかもしれない。1、2年、少し頑張れば話せるようになるもの

          多言語話者の「頭の中の教科書」2

          多言語話者の「頭の中の教科書」1(改訂版)

          私はとにかく多言語話者の学びの型を言語化したい。その学びの型が英会話に苦戦する日本人を救うと思うからだ。 その型には「国」や「文化」などを感じない「共通の何か」があるのだ。それは彼らがそれぞれの国で受けた教育に根ざしているのだと推測しているが、イタリア人でもフランス人でも国は関係なく皆同じ「型」を見せる。日本人にも「型」はある。例えば、レッスンが始まる数秒前の振る舞い。筆記用具を持ち座るまでの所作まで皆似ている。恭しく何かを待っている感じなのだ。おそらく「教わるのを待ってる

          多言語話者の「頭の中の教科書」1(改訂版)

          日本語は世界で一番難しいのか。はい、文字は多分。

          前回の記事では日本語の簡単な部分について書いた。今回は難しいと思う部分を一つ選んで書いてみたい。 日本語学習者にとって日本語の最も難しいところは文字だ。若干の違いはあれどアルファベットを使う言語は30文字以下で済む。日本語はひらがなだけでも46文字カタカナも合わせるとざっと100文字。日本語はひらがなとカタカナだけでは表記されていないので常用漢字も合わせるとざっと2100文字。若い学生に学校でレッスンをしていた頃はこれを全部叩き込むようなカリキュラムだった。今、私は主にビジ

          日本語は世界で一番難しいのか。はい、文字は多分。