見出し画像

日常会話のステージ分け

私は約一年ほど、音声配信を続けている。
一言で言うなら「語学習得特化型チャンネル」
世界レベルの努力が継続できる日本人の国民性を
「話せる語学」へ方向転換したいと言う思いで話してきた。
この一年、音声配信を始める前には気づかなかったことを
いくつか発見した。その一つを今日は言語化してみたい。

私は日本人の英会話力は「学習法」では解決できないと
思っていて、三つの視点でそれを分析している。
概要はこちらの記事へ。
https://note.com/martha3306/n/nce003e8b5373

その三つの視点を深く理解する前に日常会話をステージ分けする
と言う視点がまず必要だと思う。
語学を戦略的に学ぶためにも、言語化スキルを段階別に上げていく
ためにも日常会話を難易度で分けて考える視点を持つといいと思う。

日常会話は4つのステージに分けられると考えている。

ステージ1 旅行会話レベル 
具体的にはスーパーやコンビニでの店員とのやりとり。
レストランでの注文や、予約。買い物。
欲しいものを手に入れるために、発話する。発話は単語か一文。
お互いに欲しいものが明確なので聞き取りさえできれば、
答えは「はい」か「いいえ」あるいは、それに準ずるフレーズのみ。
決まり文句や定型フレーズが多い。

ステージ2 時系列レベル
具体的には「何をした」「何をする」など、近況報告やこれからの予定を話すなど。話す順番がある程度、時間軸で整理できる話題。

ステージ3 説明、描写レベル
具体的には、簡単な例だと自分が見た映画や本の話。
場所、組織、システムなど時系列では
説明できない「モノ」「コト」の説明、描写。

ステージ4 意見、見解レベル
自分がどう思うか、考えるかを表現するレベル。
決まり文句もなく、たどれる情報が時系列でもなく「もの」「こと」でもない。

私がその昔、横浜のブラフLadiesのお茶会議論で痛感したのは
このステージ4の型が日本語でも全くできないことだ。
(当時は何かが圧倒的に無い!と思っただけだったが)
30代以上の大人世代の日本人は「言語技術教育」と言うものを受けていない。
日本以外の諸外国では国語の教科書が二冊に分かれていて、「話すため」「読むため」を別々に訓練される。日本人でも言語化能力を後天的に身につけて、説明や描写が非常に上手い人も一定数いる。おそらく職種や職場において、必要に迫られて鍛えられたのだと思う。

言語化能力の有無はステージ3からはっきりと見える。
特にこのステージ3で「外国人の日本語」の方が「日本人の日本語」よりも
わかりやすくなる。文法的、語彙的に少しのミスがある外国語としての日本語よりも、母国語としての日本語の方がわかりにくいことが多い。
彼らには子供の頃から徹底的に訓練された
思考のテンプレートをたどって、相手にわかりやすく説明する技術がある。
それを日本語にしているのだと思う。そこに国の違いを感じない。
欧米人も中国人も使い慣れた回路を使って、スラスラと表現する。
日本人の説明には「思考のテンプレート」を感じないことが多い。

日本人があることを説明しようとする時の表情が特徴的だ。
人間は考えているときに特有の目の動きがある。おそらく万国共通だ。
ステージ3の事柄を説明描写するためには、どう言う順番でどんな言葉で
話すのか、話す前に瞬時に1、2、3、4と組み立てる必要がある。
言語化が苦手な日本人はこの瞬間、空を見つめる。その時によく聞く言葉は
「ああ、語彙力」確かに、語彙力も大事だが、私はたどるべきテンプレートの
ようなものがない表情に見える。どこから、どう話していいのかに戸惑っている。文字通り、目線が空を漂っているような表情に見える。
そして、多くの日本人がステージ2のようにステージ3の説明をしているように
見える。情報の大小に基づいた説明の優先順位をつけられないようだ。

日本人の世界レベルの努力への耐性を「英語学習法」ではなく「言語化」に
まず向ければ、こんなに英語を勉強しても話せないと言うスパイラルから
脱することができる人が増えるはずだと考えている。
また現時点で言語化能力が高い日本人は多言語話者の学びの「型」を
たどることで、「話せない」から脱することができるはずだとも。

ラジオでも話しています。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?