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過食症と回復過食期の違い

こんにちは。私は摂食障害はじめ、精神疾患経験者で経験談から考え方、メンタリティーについて X @mgmgpai で質問やお悩みを頂いて Ameba blog @konpaichan でお答えさせて頂いています。

今回は沢山の質問や相談を頂く「過食症」と「回復過食期」の違い(差)について書くnoteです。



過食症

過食症は「食事」のコントロール(自制)ができない事で心が苦しい事や生活の優先順位の変化も含まれます。

食事量や頻度は人によって異なりますが、皆さんの想像する「食べ過ぎ」には当てはまらない量を食べる事が病気の症状です。

過食性障害は非常に大量の食べものを食べる行為(過食)をその最中や事後に自制を失っていると感じながら何度も繰り返すことを特徴とする摂食障害です。

https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/10-%E5%BF%83%E3%81%AE%E5%81%A5%E5%BA%B7%E5%95%8F%E9%A1%8C/%E6%91%82%E9%A3%9F%E9%9A%9C%E5%AE%B3/%E9%81%8E%E9%A3%9F%E6%80%A7%E9%9A%9C%E5%AE%B3

文献では「大量」「むちゃぐい」と表現される為、自分の基準で判断すれば「(いつもより)沢山食べた日やそれが続いた事」「食欲が収まらない時期(生理欲求)」「(何かしらの目的に対して)自制が出来なかった日」も「過食」に値していると感じてしまうのです。

ですが、人それぞれ食事のスタイルやライフスタイルに合わせた適度があって基準はバラバラです。

例えば(目的)ダイエットをしていて(行動の制限・ルール)甘い物を絶っている人がいます。その人がケーキを1つ食べたら「いつもより食べている」あるいは「(目的に対して)自制が出来なかった」と表現できるでしょう。

しかし、一般的(普通の生活)に考えてケーキ1つで「過食」にはなりませんし、それを「食べ過ぎ・自制心が欠けている」とは表現されない食事量なのは分かると思います。


要するに「人の目的・行動のルール」によって、感じる事や量や質への "意識の過剰さ(過食の基準)" は変わってしまいます。一概に「過食症」と決めつけたりセルフ診断するのは間違っているのです。

心配ならお医者様に診てもらうなど、きちんと専門知識を持った方に判断してもらうのが適切な処置・対応だと考えます。


SNSではダイエットや美意識に偏った「食事の摂り方(一覧)」が流通しています。それらも「目的を持った制限」に基づかれたもので、一般的な必要エネルギーや栄養より低い基準の一覧です。

これに基づいて食事をすれば、一般に必要とされる健康的な食生活でさえも「過食」になり、自制心の効かない心として受け入れ罪悪感のループになります。


過食症とは、長い間に頻繁に起こる事です。先程の例と同じくケーキで例えるならば、ワンホールを1週間に4つ・5つ食べる事です。(具体的な食事量や頻度は人それぞれ異なります)

更に、生活(仕事・学業・家事)よりも優先して食事をするので収入から赤字になる程の支出・出費を食費に割り当て、生活環境の乱れや優先順位が変わっていくのも「過食症」なのです。

どの基準で、過食なのか?目的の認識をしなければ多くの人が「過食症」になってしまいますし、必要のない制限により健康が損なわれて(栄養不足)過食欲を招くループに入っていきます。


回復過食期

回復期は「痩せたい心(痩せが必要と思う心の原因)」に向き合いながら「心と体を回復させる時間」になります。

心の病気ですが過食症と同じく体への負担もあり、生活への支障や栄養不足による体の機能低下があります。

神経性やせ症(拒食・過食嘔吐・排出行為)の回復期も過食になります。この過食期は月経が回復する体重まで続き、その後、自然に治まっていきます。やせている方の過食は、やせている限り止まりません。

https://w-health.jp/delicate/eating_disorder/

低体重で起こる「過食衝動」は脳の飢餓(栄養不足)に対する防衛反応でありSOSなのです。

低体重でなくても、ダイエットや体重が短期間で減量された方には「誰にでも起こる事」です。

体のメカニズムに関して、以前コラムを書いたので参考に読んでくださると分かりやすいかと思います。

脳の防衛反応で「食べて」とサインが送られてくる。このサインが消えるのは体に充分な栄養があると脳が安心できた時。

安心のタイミングは人それぞれですが、ダイエットや摂食障害になる前の体重より増える事が多いのです。標準体重になった、生理が回復した、これは目安と通過点であり「過食欲が消える時」ではありません。


神経やせ症(拒食・過食嘔吐・排出行為)の回復期は「健康になって心の苦しみの緩和(痩せに執着しない事)」が「目的」です。

回復期で起こる過食衝動は体のメカニズムで起こる自然な本能・欲求で「目的(回復)」に対して適切です。

つまり「過食症」とは全く異なります。目的が違うので、過食症の疑惑や移行の心配は「健康になってから考える事」です。体と心の健康が回復の優先順位なのでは?と思います。


回復期の方が、同じく回復期を過ごす摂食障害さんと比べて、思う不安や悩みを頂きます。「回復期同士=同じ心と体」ではありません。比較の対象外なのです。

回復期の過食量が多かれ少なかれ、食欲の波の波形も、個人差があって「心と各々の体の調子」によりけりなのです。

比較によって、目的意識が薄れて、自分が今何の為に回復期を過ごしているのか?が頭の中で混乱しているのです。

回復期で他人との比較による「食べ過ぎ・体重の増減」を不安に感じて「自分だけが過食状態にある」と思うのも「過食症への移行の不安」も痩せていたい心の症状です。

ある程度の健康体になり、心の症状を緩和させるように治療を進めていく事で自然と不安や痩せへの執着は和らぎます。健康になってみないと、分からない事の方が多いのです。


回復過食期の終わり

体重が増えて、心の問題や思考の癖が抜けていくようになった時期に食欲は安定していきます。

回復過食は月経が回復する体重まで続き、その後、自然に治まっていきます。ただし、やせ症になった心理的課題がまだ解消されていないと、やせの「嫌なことを感じない、向き合わなくて済む安心感」のために、拒食、嘔吐や下剤乱用・運動強迫で、やせを維持しようとします。やせている方の過食は、やせている限り止まりません。

https://w-health.jp/delicate/eating_disorder/

私が思う事として、これまで様々な本や、文献を読み漁ってみて学んだ事ですが「生理回復」がキーワードになっていると感じます。

ですが、生理が回復する体重や時期も人それぞれです。私も生理が回復してから何ヶ月もの間「食欲のムラ」は続きました。

生理回復とは一度の月経ではなく、それがきちんと「順序が保たれ継続する」これが生理回復です。

一度の月経で「もう、食べなくてもいいんだ」と考えてしまうのは体型への執着・変化への抵抗心が残る「摂食障害の症状」です。いつまでもあと一歩の健康(適切な体重)へと進めない為、過食が起こります。

確かに体の健康の目安・基準として生理がある事、不順ではない事が例として挙げられますが「ゴール」ではなく「通過点」として捉える事を提案していきたいです。


1番大事なのは「健康を受け入れる心」を用意する事。適切な体重まで増量できて、健康を維持するには「痩せていたい心」や「脳の萎縮」などが残る低体重では難しいのです。

受け入れて、健康になる過程(回復期)で「過食症かもしれない」と思い込んでしまい食べる事を疎かに、罪悪感を感じて行動に移せば、どんな事が体や心に起きるか?はここまで読んでくださった方なら、理解されているはずです。

回復過食期の終わりは、体と心に栄養と、適切な体重の維持と、心の問題を解消していく事で、終わります。


最後に

経験上、皆さんの回復の過程と私の回復の過程は「ところどころ違いがある」と思うのです。それは、具体的な体重やカロリーなどの数字(個体差)やその時々の感情や思い(性格)です。

きっと、皆さんも他の方とはどこか違いを感じるのではないでしょうか?ですが、これが自然な事なのです。

体の大まかなメカニズムというのは「同じ生物」なので似ていたり決まっていたりします。

決まりから逸れた動きをしてしまう場合が「病気」であったり「不調」なのです。(菌が入る→免疫弱っている→感染→風邪をひく)

低体重や極端な制限や減量で起こる体と心の反応は似ているのです。そこから回復する為に必要な「回復過食期」があるのは、皆さん同じです。私もありました。

性格も個性も心の方向性も、体の持ってる性質も個体差があってバラバラなのは当然です。回復過食期のペースなどが、同じでないことに焦りや不安を感じる必要はありません。

回復という目標に向かう道のり(回復期)にあって当たり前な「回復過食期」です。個体差があって、辿る道は違うかもしれない。でも、進んでいる道は「回復」につながる道であって、過食症になる道ではありません。

何か偏った情報や誰かの私的意見で、本来の目的意識が錯乱・混乱していたり、そもそも摂食障害の症状である「痩せへの偏り」が他の病気になっていると、思い込みを抱かせているのだと思います。

正しい知識・教養を身につけ(あるいは与えてもらう機会に目を向けて)自分の決めた目標を軸に自分の選択位を信じて欲しいと願います。






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