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NNcapitalは某機関投資家、現役アセットマネジメントファンドマネージャー、大手証券会社トレーダー等を擁する組織で、現役のプロから見たマーケットの視点を日々発信していきます。

最近の記事

2023/5 RBAサプライズ利上げ

RBAはキャッシュレートを0.25%引き上げて3.85%としました。 80%以上が据え置き予想だっただけにサプライズとなりAUDは急騰しております。 4月会合で一旦利上げサイクルを休止していたのですが、僅か1か月で利上げを再開し、更なる金融政策の引き締めが必要な場合があるとのフォワードガイダンスも示しました。 いつも通り声明文は短いのですが、インフレについては、ピークに達したもののまだ高過ぎるとし、「妥当な時間内にインフレ率を目標に戻すことが重要であることから」、更なる金

    • 2023/4 日銀政策決定会合について

      結果 ①政策金利を-0.1%にYCCも±0.5%で現状維持 ②フォワードガイダンスは、政府が5月からコロナの法的位置づけを格下げすることに伴い「現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している」という一文を撤廃。 ③金融政策運営について、「1年から1年半程度の時間を掛けて」多角的にレビューを行うことを決定。 ①も③も事前に植田総裁から情報提供がありましたので、完璧にその通りの会合だったはずなのですが、市場は円金利低下・円売りで反応しました。 海外勢

      • 2023年中に米国はリセッション(景気後退)に陥るのか

        最近毎日日替わりでリスクオン・オフのような相場が繰り返されています。 昨晩はファーストリパブリック銀行決算にて3月末時点で昨年12月末対比40%の預金流出が判明したことが明らかになると、銀行貸し出し基準の厳格化による信用収縮が意識され、リスクオフのUSD買いとなりました。 現在リセッション派の拠り所となっているのが、まさにこの信用収縮が顕在化することです。一方でリセッション回避派の拠り所は、堅調な雇用市場です。 雇用に関しては昨年来連日テクノロジー系企業の解雇報道を見聞きし

        • 2003/4 日銀政策決定会合予想

          今週の最大の注目イベントですが、これまでの植田総裁の発言から混乱はなさそうだという見方でコンセンサスが固まってきたと思っていましたが、昨日週末に産経新聞から「日銀、デフレの四半世紀を検証へ」と何か緩和政策を検証するかのような印象の記事が出てきたため、俄かに期待感が高まっています。 そこで様々な観点から、日銀会合を予想してみたいと思います。 ①植田総裁率いる日銀 直近の衆議院予算委員会での発言では、基調的な物価見通しが一段と改善していく姿になっていく場合にはYCCを見直すと発

        2023/5 RBAサプライズ利上げ

          2023/4 英国CPI・NZCPIの結果及び今後の展開予想

          昨晩3月英CPIが前年比+10.1%(予想+9.8%)と以前2桁を超える高水準を維持しました。更に、コアCPIは他国と同じ傾向で強含み、前年比+6.2%(予想+6.0%)と前回の+6.2%からペースは落ちていません。 これを受けて、BOEの利上げ織り込みが2023年内3回強まで進行し、GBPUSD1.24台後半まで急騰しました。しかし、既に利上げ織り込みは織り込まれていることと、むしろ物価高止まりによる景気減速が意識されたのか1.25を超えることなく、結局元の水準に戻ってきて

          2023/4 英国CPI・NZCPIの結果及び今後の展開予想

          2023/4 米CPIとPPIと今後の展開予想

          米3月CPIですが前年比+5.0%上昇と予想の+5.1%を下回り、前月の+6.0%からは大幅に伸びが鈍化しました。前月比も+0.1%と予想の+0.2%を下回り前月の+0.4%から伸びが鈍化しました。 一方で、コアCPIについては前年比+5.6%と市場予想通りとなり、前月の+5.5%からは伸びが加速してしまいました。 今回CPIが鈍化した主因はエネルギーです。3月はWTIを見ても70ドルを下回っておりガソリン価格も低下ということで、このような結果となっています。その後4月にな

          2023/4 米CPIとPPIと今後の展開予想

          2023/4 植田日銀新総裁就任会見について

          昨日の会見ですが、植田総裁はじめ氷見野・内田両副総裁3名とも、現行政策の修正の可能性に関しては言質は一切与えず、現状の経済・物価・金融情勢を鑑みるとYCCを継続することが適当という見解を明確に示しました。 個人的には、全く驚きはなく完全に予想通りでしたが、市場の反応は意外なほどUSDJPYは上昇しました。しかも、最初の反応としてはYCCには副作用があるといった主旨の発言が出たところで、131円台に突っ込んだのち、最終的には133円台後半までショートカバーしました。 最近は、ド

          2023/4 植田日銀新総裁就任会見について

          米2月JOLTSと2023/4RBNZ政策決定会合について

          まずはJOLTSの結果から。 2月の求人数は顕著に減少し、前月から60万件低下の990万件を記録 しました(市場予想:1050万件)。 1 月分も 1080万件から 1060万件に下方修正されました。 業種別の内訳を見ると、流通・運輸・公益(▲21.0万人)、専門・企業サービス(▲27.8万人)、教育・医療(▲15.0万人)、接客・宿泊(▲8.7万人)などサービス業の求人が広範に減少しています。この結果、パウエルFRB議長がよく言及している「求人/失業比率」は1.67倍と1月

          米2月JOLTSと2023/4RBNZ政策決定会合について

          2023/4 RBA政策決定会合結果

          政策金利を3.6%に据え置きました。 3月会合の議事録にて、利上げの休止が検討されたという主旨の記録があったこと、直前の月次CPIが予想以上に落ち着いていたことから予想の大半は据え置きで、問題は今後についてRBAがどのようなスタンスを示すかということでした。 その辺りを声明文で確認しますと、ざっくり以下の通りです。 ・インフレは高いものの、様々なデータはインフレがピークに達したことを示唆している。 ・一旦これまでの利上げの影響を評価するために停止した。 ・労働市場は引き続き引

          2023/4 RBA政策決定会合結果

          2023/3 FOMC結果と今後の展開予想

          FOMCは概ね予想通りでした。全会一致で0.25%政策金利を引き上げて4.75-5.00%としたほか、メンバーの金利予想DOTSに関しては2023年末の中央値5.125%と12月から据え置かれ、2024年は4.125から4.25%へ僅かに上昇、2025年は3.125%で据え置かれました。長期均衡金利も2.5%で据え置きとなりました。また、地銀の破綻を受けて金融市場に混乱が見られるため、利上げ停止についての議論があったことも明らかになりました。 GDP成長率見通しは、2023年

          2023/3 FOMC結果と今後の展開予想

          2023/3 ECB政策決定会合について

          結果 0.5%の利上げを実施し、預金ファシリティ金利を3.0%に引き上げました。元々ラガルド総裁は3月は0.5%引き上げると述べていましたが、直近のSVBやクレスイ問題による混乱のさなか、事前織り込みが0.25%利上げに寄っていたため、タカ派サプライズとなりました。今回の利上げは大部分の賛成があり、3-4名のメンバーは慎重なスタンスを示したとの回答がありました。 また、バランスシート縮小(QT)の計画は変更されずに維持されました。 声明文では、今後は指標次第である点が改めて強

          2023/3 ECB政策決定会合について

          2023.2月米CPIの結果と3月FOMCの予想

          結果 総合指数 前年比+6.0%と市場予想通り、前回の+6.4%から伸びは鈍化。 前月比も+0.4%と市場予想通り、前回の+0.5%から伸びは鈍化。 コア指数(エネルギーと食品除き) 前年比+5.5%と市場予想通り、前回の+5.6%から僅かに伸びは鈍化。 前月比+0.5%で市場予想+0.4%を上回り、前月の+0.4%から伸びが加速。 内訳 エネルギーサービスが前月比▲1.7%と前回の+2.1%から減少したことが総合指数が抑えられた主因です。 一方、住居費は前月比+0.8%とな

          2023.2月米CPIの結果と3月FOMCの予想

          2月米雇用統計とSVB(シリコンバレー銀行)について

          まず雇用統計の結果 非農業部門雇用者数は前月比+31.1万人と予想の+22.5万人を上回りました。業種別では、小売業が前月比+5.0万人、娯楽・接客業が+10.5万人と増加、輸送・倉庫業が▲2.2万人と減少しました。 しかし、市場は失業率が3.6%と前回の+3.4%から悪化したことや平均時給が前月比+0.2%と予想の+0.3%を下回ったことを受けて米金利低下+USD売りとなりました。 しかし、失業率は悪化しましたが、労働参加率が予想の62.4%を上回る62.5%となったことが

          2月米雇用統計とSVB(シリコンバレー銀行)について

          2023.3 黒田総裁最後の日銀政策決定会合について

          予想通りと言いますか、多くの日本人の予想通り、YCC(イールドカーブコントロール:短期金利目標-0.1%、10年金利目標0%±0.5%)、資産買入方針、を全員一致で据え置きました。 景気面では、全体としての基調判断は持ち直していると据え置かれましたが、個別項目では、輸出と生産が増加から横ばいへ下方修正されました。また、消費については増加が維持されましたが、物価上昇の影響を受けつつも増加と、物価高の文言が追加されています。 その物価については、政府のエネルギー対策の押し下げ

          2023.3 黒田総裁最後の日銀政策決定会合について

          2023.3 BOC(カナダ中銀)政策決定会合について

          今回の利上げサイクルで初めて金利を4.5%に据え置きました。 また、将来的にもBOCの見通し通りに経済が進展するなら、政策金利を据え置くことにも言及しました。 いくら、BOCの予想通りとはいえ、現時点で物価は5%を超えている中で、一旦様子見をして引き締めの効果が出てくるのを待つという判断は、他国とは若干違っており、金融政策の方向性だけを見るならCADはもう暫く売られるということになりそうです。 声明文でも、グローバル経済の情況は前回1月の会合時から変わっておらず、中国経済の

          2023.3 BOC(カナダ中銀)政策決定会合について

          2023.3 パウエル議長上院議会証言について

          昨晩はパウエル議長の発言で、急速に米利上げが織り込まれUSD買いとなりました。 特に、注目されたのが「経済指標全体によって、より迅速な引き締めが正当化されると示唆されるなら、利上げペースを加速させる用意がある」という発言でした。 元々2月の頭から、米経済指標は軒並み堅調で、パウエル議長がハトになりようがないということでしたが、予想以上に踏み込んだ印象です。 また、物価については、いつもの3項目に分けて説明しています。 ①財コアについてはサプライチェーンのボトルネックが緩和す

          2023.3 パウエル議長上院議会証言について