2023.3 パウエル議長上院議会証言について

昨晩はパウエル議長の発言で、急速に米利上げが織り込まれUSD買いとなりました。
特に、注目されたのが「経済指標全体によって、より迅速な引き締めが正当化されると示唆されるなら、利上げペースを加速させる用意がある」という発言でした。
元々2月の頭から、米経済指標は軒並み堅調で、パウエル議長がハトになりようがないということでしたが、予想以上に踏み込んだ印象です。

また、物価については、いつもの3項目に分けて説明しています。
①財コアについてはサプライチェーンのボトルネックが緩和するなか、引き締め策が需要を抑制したことで低下していると評価
②住居費については、高水準ながらも最近の家賃の鈍化は今後1年間かけての減速を示唆している
③住居費を除くサービスコアについては、今のところディスインフレの兆候が殆ど見られないとの見解

結局最近の懸念通り③が気になるとのことです。
2/1の記者会見時は、ディスインフレ的なプロセスの開始または進展が見られると期待していましたが、その後の経済指標を受けて、見方を変えています。
③を落ち着かせるためには、労働市場環境を軟化させる必要があり結果として賃金上昇率を抑える必要があるという認識を示しました。

議会証言後、俄然金曜日の雇用統計と来週のCPIへの注目が高まってしまっています。

今後の展開

事前予想として、全体として経済指標次第というトーンは変わらないなか、2月以降の指標が良かったためターミナルを引き上げる可能性があるという主旨の発言になるかなと、何となく予想していましたが、ターミナルが上がるだけでなく、利上げを加速するという踏み込んだ発言により、FRBの今後の金融政策手段に対するハードルが大幅に下がったという印象です。
当然、ペースを加速させれば、もしFRBがターミナルレートを引き上げる意思がなかったとしても、市場はターミナルレート引き上げを織り込むことになり、USDへのインパクトも大きくなってくるでしょう。
実際、昨日ターミナルは5.75%まで引き上がり、12月のFOMCのDOTSよりも0.25%の利上げが3回余分に織り込まれた状態です。
USD買いは根強いと思いますが、それでも結局は指標次第かと。一昨日のRBAのように、指標が軟化すれば、表現も変わると思います。
ただ、FRBのターゲットである2%がはっきりと見通せるようになるまでは、サービスコアを下げるために、緩やかな景気減速を望んでいるわけなので、タカ派スタンスは当面維持されると思います。実際にターミナルを大幅に引き上げるかどうかは別にして、市場にはそういった警戒感を持っていてもらわないと困るわけです。特に、今の時点で早期に景気回復期待が高まり、株式が上がることでプラスの資産効果が出てしまっては、FRBにとっては都合が悪いわけなので、基本的には、株が上がらない政策、景気が悪くなる政策を継続すると思います。

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