2023年中に米国はリセッション(景気後退)に陥るのか

最近毎日日替わりでリスクオン・オフのような相場が繰り返されています。
昨晩はファーストリパブリック銀行決算にて3月末時点で昨年12月末対比40%の預金流出が判明したことが明らかになると、銀行貸し出し基準の厳格化による信用収縮が意識され、リスクオフのUSD買いとなりました。

現在リセッション派の拠り所となっているのが、まさにこの信用収縮が顕在化することです。一方でリセッション回避派の拠り所は、堅調な雇用市場です。
雇用に関しては昨年来連日テクノロジー系企業の解雇報道を見聞きしていると思いますが、マスコミの報道は基本的に悪い報道に偏っていますので、その辺り考慮しなければなりません。実際その後も出てくる雇用指標は堅調なものが続いています。
しかし、徐々に雇用系市場にも陰りが見え始めています。これだけ物価高・金融引き締めを実施しているわけですから当たり前のことなのですが、ポイントは、雇用市場が減退する前に、物価がしっかり下がるのかどうかという点です。
そして物価指標に関しても、総合指数は明確に下落基調となっています。エネルギーや食料品の低下だけでなく、家賃も低下してきました。問題は、サービス価格が牽引しているコアCPIになります。
①雇用減退より早い段階でCPIが低下するのであれば、個人の購買意欲が保たれたまま、FRBは利下げを実施することが可能となります。こうなると、FRBの理想であり、株が上がりリスクオンのUSD売りの展開となるでしょう。
②一方で、ヘッドラインは下がるもののコアが高止まりするのであれば、利下げはできず政策金利は高水準で維持されることになり、反応としては、株は緩やかに上昇、為替は動きにくくなるため、単純なキャリー相場となり高金利通貨が買われ低金利通貨が売られるでしょう。
③最悪のケースは、物価が下がる前に雇用が崩れるケースですが、この場合、リスクオフのUSD買いとなるでしょう。現段階では、このリセッションケースの可能性は低いと考えています。

ではどのシナリオになるのか。CPIを見ないとわからないというのが正直なところです。
ただ、そのCPIが出てくるまでの前段階として、考えるべきことは、世界中の中銀がそろそろ利上げを止めようとしているということです。
本日のスウェーデン中銀は0.5%利上げしましたが、次回は6月か9月に0.25%の利上げ予定と述べ、あと1回の利上げで様子見に移行する雰囲気が出てきました。
また午前に発表された豪CPIは予想を下回り、5/2のRBA会合は据え置き予想が100%近くなっています。

このような状況では、少なくとも長期金利は上がりにくく、株は底堅く推移するでしょう。一方で、政策金利は高止まりですから、引き締め継続中ということで株が持続的に上昇トレンドになるとも思えません。
つまり、株が緩やかに上昇ということになるなら、為替においては②のシナリオ、キャリートレードが選好されやすいということです。
明確にCPIの方向性が確認できるまでは、高金利通貨を買って低金利通貨を売っておくのが無難でしょう。この際、かつてのキャリートレードを参考に、資源国通貨などを買ってはいけません。資源国は自国で資源を算出できるため他国と比較してインフレが盛り上がってきませんで、政策金利が相対的に低くなっているためです。
先入観なく、とにかく高金利を買うと良いと思います。さて、そうなると売り通貨は何になるかというと、円になってしまいます。
仮にYCCが撤廃されたとしても、緩和スタンスが崩れることはないでしょうから、一時的に円が買われたところではしっかり円売りで参入するつもりです。

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