2023/3 ECB政策決定会合について

結果
0.5%の利上げを実施し、預金ファシリティ金利を3.0%に引き上げました。元々ラガルド総裁は3月は0.5%引き上げると述べていましたが、直近のSVBやクレスイ問題による混乱のさなか、事前織り込みが0.25%利上げに寄っていたため、タカ派サプライズとなりました。今回の利上げは大部分の賛成があり、3-4名のメンバーは慎重なスタンスを示したとの回答がありました。
また、バランスシート縮小(QT)の計画は変更されずに維持されました。
声明文では、今後は指標次第である点が改めて強調され、今後の金利動向に関する文言は削除されました。
スタッフ経済予想は、概ね想定通りで、実質GDPとコア物価見通しはいずれも2023年が上方修正、2024・2025は下方修正されました。
因みに、今回の予想については、直近の金融不安は含まれていないとのことです。
今後のガイダンスについては、
①経済・金融データに照らして理事会が評価するインフレ見通し
②基調的なインフレの動向
③金融政策の伝達の強さ(スピード)
以上3点を元にして決定していくとのことです。

反応
結局発表前とほぼ同レベルの金利水準に留まり、タカ派サプライズだった割には、EUR買いも限定的となりました。

今後について
直近の金融不安を差し引いたとしても2025年のコアインフレ見通しが2.1%とほぼECBのターゲットに収まっていることを勘案すると、今後データや金融環境次第ですが、現時点では、そこまで急いで利上げを継続する意思はなさそうです。
FRBと同様、あと0.25%が2回とかそのくらいではないかと予想します。
そうなると、市場はターミナルレートに到達後の世界を意識し始める段階に移行しているのではないかと思います。
それがここ数日の金利変動と為替の相関のなさに繋がっているのではないでしょうか。米CPI後の反応も金利の値動きに対してUSDの動きは非常に限定的となっていました。
そうなると、短期的にはECB・FRBだけでなく他の中銀も利上げ休止で引き締め効果を様子見する段階ということになると、株にとってポジティブとなり、リスクオンのUSD売りが主役になるのではないかと予想します。
ただし、クレスイの問題が拡散しないことが前提となります。
いまのところ、昨今の厳しい銀行規制の中で、おかしなレバがかかった含み損などはないのではないかと考えています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?