2023.3 BOC(カナダ中銀)政策決定会合について

今回の利上げサイクルで初めて金利を4.5%に据え置きました。
また、将来的にもBOCの見通し通りに経済が進展するなら、政策金利を据え置くことにも言及しました。
いくら、BOCの予想通りとはいえ、現時点で物価は5%を超えている中で、一旦様子見をして引き締めの効果が出てくるのを待つという判断は、他国とは若干違っており、金融政策の方向性だけを見るならCADはもう暫く売られるということになりそうです。

声明文でも、グローバル経済の情況は前回1月の会合時から変わっておらず、中国経済の回復はアップサイドリスクがあると評価しています。
カナダ国内については、労働市場が強い反面、成長は低下。高金利が家計支出を抑える効果が徐々に出てきているということで、様子見スタンスに転向したということでしょう。
実際、これまでの超過需要という文言は削除されていました。

据え置きは織り込まれていたとはいえ、パウエル議長の発言など、欧州もそうですが、サービス価格の粘着性を受けて中銀が再度引き締めを加速しようというなかでは、もう少し声明文はタカ的なものになると予想していましたが、予想以上にハト的だったと思います。

ただ、今回の会合時点だと、経済情勢がBOCの見通しと一致していたため据え置いたということを示しており、裏を返せば結局想定以上に物価が下がらないようであれば、再度利上げサイクルがスタートする可能性も残されている点には注意が必要です。
RBAも11月辺りに一度利上げを止めるかもしれないという雰囲気になったあと、CPIが上振れてしまい、結局利上げを継続したという事例もあります。
他の中銀対比ではハト的だと思いますので、CAD売りでいいとは思いますが、既にBOCのスタンス転換を見込んでそれなりにCADショートは積み上がっていますので、データが強かった時の反動は大きいかもしれません。


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