米2月JOLTSと2023/4RBNZ政策決定会合について

まずはJOLTSの結果から。
2月の求人数は顕著に減少し、前月から60万件低下の990万件を記録 しました(市場予想:1050万件)。 1 月分も 1080万件から 1060万件に下方修正されました。
業種別の内訳を見ると、流通・運輸・公益(▲21.0万人)、専門・企業サービス(▲27.8万人)、教育・医療(▲15.0万人)、接客・宿泊(▲8.7万人)などサービス業の求人が広範に減少しています。この結果、パウエルFRB議長がよく言及している「求人/失業比率」は1.67倍と1月の1.86倍から低下しました。

因みに、今回のJOLTSですが、そもそも数字の信憑性に疑問符が付くことがあります。例えば、現在は募集していないのにもかかわらず以前出した求人をそのまま取り下げていないケースがカウントされたりすることがあるためです。ただ、今回の様に数字が下がる局面では、求人を取り下げたわけですので、正確性は高くなります。
もう一つ、今回の数字は2月時点のもので、金融不安などの混乱前の数字です。求人と取り下げを忘れていた会社も考慮すると、もう少し前から、求人は減っていた可能性がありますし、金融不安自体は解消したとはいえ、金融機関の信用収縮はある程度出てくるでしょうからこの先景気が良くなる可能性は低く、そうなるとそろそろ米雇用にも減速感が出てきているのかもしれません。

市場の反応
この結果を受けて、市場では利下げ織り込みが進み米金利低下、ただ株は前日ISM製造業が悪化した際に米金利低下に合わせて上昇したのと真逆で、純粋に景気後退懸念から売られました。
しかし、為替は、株は完全に無視して、米金利低下だけに反応しUSD売りとなりました。
これには違和感があります。米雇用市場は米経済を支える一番強力な材料ですから、ここに崩れる兆しがあるのであれば、景気後退のリスクオフでUSD買いになるのではないかと思います。
ただ、今週末の米雇用統計が非常に重要性が増してきました。

続いてRBNZ会合の結果です。
まさかの0.5%の利上げを実施し、5.25%となりました。声明文では、0.25%か0.5%を検討したとのことですが、インフレは根強く高過ぎるとして、短期的にインフレ圧力は増大したと認識していて、インフレを目標に戻すにはもっと成長の鈍化が必要とのことでした。
NZはそもそもCPIが3か月に一度しか発表されず、直近の2022年第4Qは前年比+7.2%と高止まりしていたため、その数字をベースに金融政策を判断すると、このような結果となるのはある意味当たり前かもしれませんが、その他の中銀が特に昨日のRBAが利上げを休止したりとペースを緩めてきていたため、市場の目線が下がった状態だっため、かなりのサプライズとなりました。

市場の反応
発表直後NZDUSDは瞬間的に上昇しましたが、その後市場全体のリスクオフのUSD買いのトーンに巻き込まれ発射台まで戻ってしまいました。しかし、NZDクロスは大きく買われたままの状態です。特に昨日のハト派RBAを受けてAUDクロスが売られた状態であったため、AUDNZDはワンウェイに下落しました。

市場は、米雇用統計を見て米景気後退の可能性について判断することになりそうです。一方NZDに関しては、月末に出てくる第1QCPIに要注目です。多くの国でインフレの上昇ペースは鈍化していますので、もしCPIが落ち着いているようなことがありますと、RBNZの次回の会合に向けてハト派警戒感が急浮上することになり、これまで強かったNZDの巻き戻しの可能性に注意しなければなりません。


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