記事一覧
【毎週ショートショートnote】三日月ファストパス
ねこあしのバスタブ
綿あめのくも
三日月の寝台
こんぺいとうのように可愛くてガーリーなものが大好き。
ある日、三日月の寝台ファストパスが抽選で当たった。
みんな数百年待ってるのに、なんて運がいいんだろう!
憧れの三日月の寝台に寝ころぶことができる!
ひゃっほう!!
✳︎
早速、月を管理するギャラクシーリゾートにファストパスを手渡した。
「アナタではさすがに」
しぶるキャ
【毎週ショートショートnote】お返し断捨離
【お返し断捨離】
白ヤギvs黒ヤギのボクシングタイトルマッチまであと二週間。
白ヤギは悩んでいた。
減量が進まない。
このままでは重量オーバーで失格だ。
どうする、オレ?
そのとき妙案がうかんだ。
白ヤギは高級和紙を取りだし、黒ヤギに手紙を書いた。
『お元気ですか?』
……まぁ内容なんか何だっていい。
この高級和紙をみれば、食わずにはいられないだろう。
相手をおとし
【毎週ショートショートnote】突然の猫ミーム
四歳児が手に負えない。
保育園にリモコンを持っていくと言っては暴れ、手袋が気に入らないと言っては壁に投げつける。
ある日、洗濯バサミを一つ捨てたら息子に大泣きされた。
お気に入りのものだったようだ。
途方にくれていると、突然息子の横に大きなタマゴが出現した。
それが横にひび割れたかと思うと、中から真顔の猫が登場した。
カラを両手で押し上げ、くねくねと腰を揺らし踊っている。
【毎週ショートショートnote】レトルト三角関係
※BL注意
「カレー王子、あなたを愛しています。僕を選んでください」
美しいナン王子が跪いて片手を差し出す。
カレー王子が手をとりかけたそのとき、扉がバタンと開いた。
「まて! カレー王子と結婚するのはこの俺だ!」
イケメンごはん王子が風のように飛び込んできた。
「さぁ、俺と逃げよう。一緒にカレーライスになろう」
「ならん! 古来よりカレーにはナンと相場が決まっている。でていけ! 貴様は納
【毎週ショートショートnote】洞窟の奥はお子様ランチ
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たった一人しか選ばれない壮絶な競争の果て。
勇者は洞窟の前に立った。
「おめでとう。君が勝者じゃ。さぁこの洞窟をゆくがよい」
案内人のおじじが言う。
「この奥になにが?」
勇者が問うと、おじじは楽しそうに笑った。
「それは着いてのお楽しみじゃ。まぁお子様ランチ、といっておこうかのぅ」
勇者は狭い洞窟をひたすら進んだ。
不
【毎週ショートショートnote】デジタルバレンタイン
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【デジタルバレンタイン】
貴方と私しかいない狂った世界。
私の隣は貴方、あるいは私。
貴方の隣は私、あるいは貴方、あるいは私。
貴方、私、私、貴方、あるいは私、あるいは貴方。
ずっとこの世界が続くと思っていた。
永遠に続くと。
だけど、私は愛してしまった、貴方を。
私は貴方に告げた「貴方を愛している」と。
貴方は
【毎週ショートショートnote】行列のできるリモコン
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相手のボルテージを変化させることができる、通称『ボルテージリモコン』が流行っているらしく、俺は列に並んで購入した。
これはカッカしている人に『COOL』ボタンを押すと熱がスッと覚めるスグレモノ。逆もまた然りだ。
俺がこれを必要とする理由はただ一つ。
あの冷めたイケメン野郎、涼とその仲間を熱くしてやりたいのだ。
せっかくの体育祭、盛り
【毎週ショートショートnote】ツノがある東館
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東館にツノが生えたんだ、ほんとだよ!
えっとね、東館っていうのは、この町に二つある図書館の一つで、マンガが多い方。西館は難しい本が多いからぼくはあんまり行かない。
で、ツノの話!
東館の入り口が顔だとしたら、ちょうどヒタイのところに長いツノが生えたんだ。突然だからみんな驚いていた。
「鋭くてこわいね」って言っている人もいたけ
【毎週ショートショートnote】アメリカ製保健室
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「今期から保健室はアメリカせいになりまーす」って先生が笑ってたけど、あれどういう意味だろう? 金髪のお姉さんでもいるのかな?
好奇心に勝てず、すりきずをいいことに健太は保健室のドアをあけた。
……誰もいない。
『なんだ』
絆創膏でも貰うか、と引き出しに手を伸ばした、そのとき――。
チクッ。
何かが指をさした。
蜘蛛だ。……
【毎週ショートショートnote】ドローンの課長
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【ドローンの課長】
俺は鉄パイプを持って、夜道にひそんでいた。
「絶対にあのハゲを殴ってやる」
俺は農協の下請け社員。
おや組織、農協に憎んでいるやつがいる。
課長の役職についているハゲ野郎だ。
「5分21秒遅れたから会わない」だの「出荷数が間違っているからやり直し」だの細かいことにうるさい。
機械かと思うほど融通が利か
【毎週ショートショートnote】白骨化スマホ
たらはかにさんの毎週ショートショートnoteに参加します。
【白骨化スマホ】
貴方と付き合って一年。
降り積もる雪のように、スマホに思い出が増えていったね。
貴方と撮った写真。
貴方からのLINE。
貴方と落としたゲームアプリ。
スノーで加工して、インスタにアップして。
貴方と私とスマホで、恋のど真ん中を駆け抜けたよね。
でもある日、スマホにこうでたの。
「icloudスト
【毎週ショートショートnote】強すぎる数え歌
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「一枚〜、二枚〜」
お菊が日課の皿を数えていると、
「相変わらず辛気臭いわね」と言いながら刑部姫が井戸をのぞきこんできた。
刑部姫は、姫路城にすむ妖怪の女帝にして、お菊の数百年来の友達だ。
お菊とは違い、どんな時代にも適応して生きている。
「何か用?」
「スマホ新しくしたからその自慢~。……てか、その皿の数え方、何とかならない? バイブ
【毎週ショートショートnote】戦国時代の自動操縦
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【戦国時代の自動操縦】
……まさに合戦といえるだろう。
口の中で『酸っぱさ』と『カラさ』が戦をしている。
トムヤンクンというのは、恐ろしい食べ物だ。
ひとくち食べると頬がこけるほどの酸っぱさに殴られる。
そして、同時に猛烈なカラさが舌をやく。
酸っぱさとカラさのスパークリングだ。
なんだ、これは!?
なんなんだ、こ