カワセミに会った日
私は、いわゆる峠のような地形が好きだ。はじめて一人暮らしした町は坂の町で、坂の上からは遠くの市街地にそびえ立つビルと眼下の家々が見渡せた。以来、偶然にも坂のある町に引越してきた。河岸段丘の地形の場合、川がそばを流れている関係で、その町には雰囲気のある坂道が付き物だ。視界が常に変化していく坂道は、毎日歩いても飽きることがない。そのような地形は古代の人々も好ましく思ったと見え、これまで住んだ町には縄文時代から集落が形成されていたようである。今もなお私は、気に入った坂道を上がったり