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【BL二次小説】 チャリデカ2《カジノ編》⑰


黒「福富さんを知ってんのか?」

荒「どういうコトだァ?」

 

小鞠の思いがけない発言に困惑する司令室。

 

 

 

 

 

鞠「ボク、本業はマッサージ師でしてね。わかるんですよ、見ただけで……にくを」

福「にく?」

 

鞠「筋肉のことです」

 

ガシッ!

 

小鞠はそう言うと、素早く手を伸ばして福富の肩を掴んだ。

 

 

福「!」

 

鞠「そう!この筋肉(にく)だ!福富さん、ボクはね!ボクは、最高(いい)筋肉(にく)に目が無いんですよ!」

 

小鞠はいきなり興奮して息を荒らげる。

 

 

 

((な、なんだコイツ!?))

 

全員がそう思った。

 

 

全くの想定外な展開に、チーム箱学は混乱する。

 

 

 

 

小鞠は目を血走らせ鼻息を荒くして、福富の肩から二の腕、そして胸元をさすり出した。

 

鞠「いろんなスポーツ選手を見てきましたけどね!特に!特にボクは!ロードレーサーの筋肉(にく)が一番最高(いい)と思ってるんです!中でもオールラウンダーであるエースの筋肉(にく)が一番バランスがとれていて美しい!!福富さん!ボクはアナタを一目見た時から、この美しい筋肉(にく)に釘付けだ!!」

 

 

パシッ!

 

鞠「!」

 

 

福「オレに触るな」

 

福富は小鞠の手を払い除けた。

 

 

 

新「お客様。他のお客様のご迷惑となります。接触行為はご遠慮いただけますか」

 

たまらず新開が小鞠に注意する。

小鞠は新開の方を向いた。

 

 

鞠「!」

 

途端に目を輝かせる小鞠。

 

 

鞠「ディーラーさん!ああ、気が付かなかった!アナタ、アナタもロードレーサーじゃないですか!」


新「!!」

 

新開はギョッとして思わず後ずさる。

  

小鞠は新開の身体を上から下まで舐めるように眺めてニタリと笑った。

 

鞠「ディーラーさん、アナタ……判りますよ。アナタ、スプリンターだ。しかも、相当速い……!」

 

 

ガターン!!

 

荒北は椅子を倒して立ち上がった。

 

 

荒「あの野郎!福ちゃんだけでなく新開にまで色目を!!」

 

モニターを指差して叫ぶ荒北。

 

 

それに驚いて、なだめようとする黒田。

 

黒「違います荒北さん!アイツは単なる筋肉フェチです!色目じゃありませんよ!」

 

荒「新開にまで手ェ出してみろ!ブッ殺してやンぞド変態が!!」

 

荒北はモニターを睨み付けて怒り狂っている。

 

 

黒田は慌てて荒北の肩を掴み、自分の方を向かせる。

 

黒「落ち着いて下さい荒北さん!アンタが動揺したら全員が動揺する!!」

荒「う……」

 

まだ怒りが冷めない荒北。

 

 

黒田は荒北を大声で怒鳴り付ける。

 

黒「しっかりしてくれよ!!アンタ司令塔だろ!!」

荒「ハッ!」

 

 

 

荒北の両腕を掴んですがるように叫ぶ黒田を見て、荒北はようやく我に返った。

 

 

 

荒「そ、そうだったな……」

黒「……」

 

 

 

深呼吸して自分を落ち着かせる荒北。

 

荒「すまなかった黒田……」

黒「いえ……」

 

  

荒北は倒した椅子を起こして座り直す。

 

 

 

しかし、厄介な展開となった。

こんなイレギュラーが起こるなど想像もしていなかった。

このままでは東堂と泉田までロードレーサーと見破られてしまうのは時間の問題だ。

この不自然な状況を不審に思われたら岸神小鞠を逃がしてしまう。

 

 

どう打開すれば良いのか、荒北は考え込んだ。




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