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北海道の端っこで、憂いながら妄想中。毎日のそして過去のちょっとした出来事を綴っています…

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北海道の端っこで、憂いながら妄想中。毎日のそして過去のちょっとした出来事を綴っています。 好きな言葉は「足踏みしてても靴は減る」。これまで何足無駄にしてきたことか。 「地面に一本線を引け。それがスタートラインだ」も好き。すぐにその線、わしゃわしゃって消してきたけど。ええ。

最近の記事

幸せのチョコリング

近所の大きな書店に繋がるミスドには、いつも甘い香りと店員の元気な声が響いていました。 母に手を引かれミスドに行くと、決まって私にはチョコリングを選んでいました。小学高学年になると、母が店員の声に負けないくらい大きな声で注文するのが、恥ずかしかったことを覚えています。 母がどんな時に私の手を引いて連れて行ってくれていたのかを思い出すことは出来ず、たぶん、私が友達と喧嘩していじけている時に元気が出るようにと連れて行ってくれていたのでしょう。 もう、その本当の理由を知ることは出

    • 私の天使、エンゼルクリーム

      小さい頃、初めて食べたドーナツは、エンゼルクリーム。 小さい口でかじりつくと、白いクリームが溢れ出てきて、うまく食べられなくて泣いた記憶がある。 看護師の国家試験の勉強しながら食べたドーナツもエンゼルクリームだった。 21歳にもなれば、参考書を片手でもクリームをこぼす事なく上手に食べられるようになっていた。 看護師になり、仕事にも慣れてきたある日、出勤して、病棟が見えた時、何かが違うのを感じた。 「321号にエンゼルキット持っていって!」 エンゼルキットとは、死後処置

      • オールドファッションが教えてくれた

        物語の始まりは、いつも何気ない会話から。 僕はパンクロックが好きなことは誰にも言っていない。 そして、甘いドーナツが好きなことも。 そんなことを人に言う必要もないと思っていた。 高校生の頃、思春期真っ只中で、セックス・ピストルズが死ぬほど好きだなんて、言葉に出来なかった。 僕は生徒会の集まりを終えて、教室に戻った。 この時間帯はいつもだれもいない教室。 「世の中なんてクソッタレだ」なんて意味の英語の歌詞を黒板にツラツラと書いていた。 「それ、知ってる」 いきなり後ろか

        • 彼女のハニーチュロ

          「ハニーチュロの形ってホント可愛いよね」 僕は「そうだね」と、気のない返事をした。 いつもは楽しく会話しているのに、その日はそんな態度をとってしまった。 僕より先に彼女の進学が地元から400キロ離れた大学に決まった。 看護師になりたいと猛勉強していた彼女にとって、それは夢が叶う一歩。 すごく嬉しかったけれど、地元の大学を希望している僕にとって、彼女のその一歩は、僕から離れていくすごく大きな一歩だと感じていた。 放課後のミスドで僕は毎回もがいていた。 「地元にも看護学校はい

        幸せのチョコリング

          天使 -エンゼルクリーム-

          「あの人と夜勤だと荒れるね。」 どの病棟でも、そんな都市伝説みたいな話はある。 満月だと出産が多いとはわけが違う単なる言いがかりだ。 そもそも入院患者さんの病態が悪くなったり、緊急入院が多かったりすることを“荒れる”なんて言葉は隠語であってもひどいと私は思っている。 イライラいているのはいつもの生理前の決まり。 雨で月曜日でもあるし、いつでも一緒にいたいと夜勤明けでも遊びに来る彼氏に別れを告げた感傷のイライラもありそうだ。 彼には、1週間前に青年海外協力隊の一次試験をパス

          天使 -エンゼルクリーム-

          ごっこ遊びに棲む魔物

          カトリック聖母幼稚園すずらん組。 園あげての一大行事「買い物ごっこ遊び」 僕は時計屋さん。 おかしの箱をくっつけて柱時計を作った。 同じグループの園児も、思い思いの時計を大小問わず作った。 日ごろ走り回っている大ホールの一等地で時計屋さんは華々しく開店した。 店員でもありながら、交代で買い物に出かけるのが買い物ごっこ遊びの掟だ。 時計屋さんは繁盛し、100円均一の時計は売れていった。 自分の買い物の順番が来て、折り紙で作った100円を握りしめ、時計屋さんを飛び

          ごっこ遊びに棲む魔物

          震災支援 くまもん

          有珠山噴火支援 東日本大震災支援 そして、熊本大震災支援。 人生3度目の震災支援だった。 周りにいる全員の携帯電話から地震警報音。 震度5強 不規則なのか定期的なのか、何度となく鳴り響く。 震度5強の連発。 活断層が移った。 宇城市の人達は声を揃えて、そう言う。 これから大きいのがくるらしい。 道の駅で車中泊。 警察が見回りで職質に来た。 車中泊を狙う強盗が出てるとのこと。 北海道から来たと伝えると、熊本県警から感謝申し上げますと。 初日は、明日避難所で炊き出しをする

          震災支援 くまもん

          センター問い合わせ

          平成が終わる。 ただ数字が苦手だとか昭和生まれだからという諸説あるが、西暦で話したい派。 ただ、後から時代を何かでカテゴライズすると見えてくるものもあるし楽しい。 彼女のケータイの電池パックにプリクラ貼る。 彼女専用のメールボックス作って、着信時の点灯を特別にする。 彼女専用の着メロ(JUDY AND MARY)にする。 ケンカした日は、メールが来ないか何度もセンター問い合わせする。 平成の青春はこうやって作られていた。 ケンカの怒りの矛先を彼女ではなく、どこにあるのか

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          沖縄で気をつけていたのに

          繊細な消化器官を持っている為、沖縄滞在中は調子が悪くならないよう食事は細心の注意を払って過ごした。 もう1つの理由に沖縄のウォッシュレットと相性が合わないのもある。 詳細は「沖縄で気をつけなければいけないこと」 今回もまた、だ。 滞在ホテルのスイッチを弱にして、止めるスイッチを確認した。 、はずだった。 3日目の朝、コトは起きた。 強い。凄い圧だ。 ウォッシュレットがうねりをあげた。 沖縄ホテルの清掃後のデフォルトは、強なのだ。 なぜだ。 確認を怠った、僕の負けだ。

          沖縄で気をつけていたのに

          ファーストフライト

          初めて飛行機に乗ったの覚えてますか。 窓に張り付いて雲を見たり、海を見たり。 中学2年の2月に初めて飛行機に乗った。 雪が降っていたのに、飛行機から見る景色は晴れ渡り。 「晴れているのは雲の上だからだよ」と、ほとんど話したことがない親戚のおじさんが教えてくれた。 3日前、国語の授業中に先生のあだ名を考えて遊んでいた。 ボリボリお腹を掻くから、「ボリコ」 中2にはちょうどいい笑いのつぼだった。 「ボリコLOVE」 ノートに書き出し、悪ふざけがピークに達した時、 教室

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          阪神タイガース、第1回希望選択選手

          今年もドラフトで呼ばれなかった。 呼ばれる、はずはないのだけど。 あの時、アルプス席からの大きな拍手に、泣いた。 試合後のあいさつ。 青空で見えない星に向かって、心の中で叫んだ。 「楽しかったね」 初めての彼氏は、野球少年だった。 野球部エース。 いつも大きな声を出していて ハスキーな声が好きだった。 彼はよく言っていた。 「甲子園に行って、阪神に入ってプロ野球選手になる」 彼は14歳で亡くなった。 棺に便箋15枚の手紙を入れた。 そして決めた。 「私が代わりに甲子

          阪神タイガース、第1回希望選択選手

          ブルーバード小池くん -4-

          小学校で同じクラス、同じ野球部、同じ団地。 友達にならない理由がない環境で僕たちは過ごした。 日曜日の朝 団地の前に停まってある小池くんちの車、日産ブルーバードがあるかどうかを確認することから始まる。 車があれば遊べる。 なければ家族でお出かけ中だ。 僕の両親は免許を持たず、車を持っていない家の僕は家族で車で出かけた経験がない。 なので、日曜の朝、小池くんちの車がないことは二重にも三重にも寂しい気持ちになった。 なぜ自分の家に車がないのか両親に聞いたことがあったが、困ら

          ブルーバード小池くん -4-

          ロケット小池くん -3-

          小池くんの妹の名前は、けいこちゃん。 →こいけけいこ← 「肉の多い大乃国」的な名前ではあるが清らしい女の子だった。 お兄ちゃんに似て勉強が好きで隣の机でいつも図鑑をノートに書き写していた。 小池くん兄弟は、鉛筆は鉛筆削りを使わずカッターで削って尖らせていた。 小学1年の妹も器用に削っていた。 頭が良くなる秘訣は、厚い本を読破し、図鑑を丸写しし、カッターを自由自在に使いこなすことだと僕は分析し、まずは鉛筆をカッターで削ることから始めた。 左人差し指に今でも残る傷を作

          ロケット小池くん -3-

          サインは小池くん

          野球部の中でも群を抜いて頭が切れる小池くん。 チーム帽子も大人サイズで入荷待ち、暫くの間ひとりだけヤクルトの帽子だった。 頭の大きさは、脳みその量に比例するのだろうか。 その類まれな頭脳が認められ、レギュラーではなかったがベンチでは常に監督の横に置かれサイン伝達役であった。 帽子を反対に被ればスクイズ。 腕を組んだら一球待て。 足を組んだら盗塁。 チャンスで俺の打席 ノーアウト3塁。 ベンチを見ると、帽子を反対に被り(スクイズ)、腕を組んでいる(一球待て)、小池くん。 ん

          サインは小池くん

          あの夏の小池くん

          小池くんの家の天井には、なぜか水着姿の女性のポスターが貼ってあった。 34年前 僕は少年野球チームに入団した。 同じ市営住宅の小池くんも一緒だ。 4階に住んでいる僕は6階に住んでいる小池くんを羨ましく思っていた。 彼は頭も良くて常にテストは満点だった。 一緒に図書館に行っても、僕が借りる本は薄くて字も大きいものばかりだったけれど 小池くんは「ガンバの冒険」という辞書並みの厚さの本を簡単に読破していた。 あの夏、小池くんの家で天井の女性をチラチラ気にしながら、一緒にテレビ

          あの夏の小池くん

          震災支援

          津波に流された家の横にその桜は咲いていた。 その家族の笑顔をずっと見守っていた桜。 東日本大震災、その52日後、被災地への支援に名乗りをあげた。 その結果、家族のゴールデンウィークはなくなった。 放射能も、実は怖かった。 岩手県大船渡での医療支援チームの拠点は大きなコンサートホールだった。 そこには160名の避難者がおり、みんな家や家族、大切なモノを失った方々だった。 支援チームは医療支援だけに留まらない避難者の横のつながりをつくること、避難所のなかで1つのコミュ

          震災支援