iPS細胞はマイノリティに使えない疑惑

「iPS細胞を用いた再生医療」は希望⁉️

元々は本人の細胞を用いることで拒絶反応のない再生医療を目指していたiPS。

勘違いかな? 

いや、少なくとも山中伸弥先生がノーベル賞を受賞した当初はそう報道されていたと思うけど。

今では、本人の細胞ではなく、バンクに培養ストックを作り溜めしておいて、必要になったらストックから使用しようという試みもあるよう。(某パンフレットより)

つまり、拒絶が起き得る他人からの移植と理論上変わらないのではないだろうか?

違いは、ドナーの臓器か、ドナーの細胞から培養した物かだ。

すると、HLAの適合の問題はどうなるのだろう?

HLAが合う人ならば、問題なく移植ができるかもしれない。

複数のHLA型の培養をあらかじめ作成しておくのだろうか?

そして、いくつまでのHLA不適合を許容するのだろう?

免疫抑制剤は?

これは、移植する組織によっても違うのだろう。

血管が無い角膜なのか、心臓なのか、一応血液脳関門に守られているとされる脳や脊髄なのか、あるいは骨髄なのか(骨髄はまだまだ遠い未来の話だろう)

日本で多いHLA型ではない人にとっては、事前ストック型iPS細胞での治療は、そもそも受けられないのではないだろうか?

だって、腎臓も一応目指すのは6/6......

比較的ミスマッチに寛容がある肝臓ですら、HLAが適合していた方が臓器の保ちがいいとされている。

すると、ストックされているiPS細胞のHLAが、各々の患者とどれくらいマッチしているかは気になる。

逆に、角膜は本来血管が無い臓器だから、そこまで気にはならない。

スーパーに行って食料品を買うかのように、痛んだ臓器を事前培養された誰かの細胞から作っておいた臓器と交換できる日が来るのだろうか?

しかし、それは一部の人だけが恩恵を受けられるものなのだろうか?

マイノリティにとっては、今の再生医療の理想像は希望なのだろうか? それとも、絶望なのだろうか?

ひょっとして、将来さらに研究が進めば、HLAを表示しない細胞すら作れるようになるのだろうか?

しかし、もしそれが癌化したら、免疫はそのHLA(別名MHC)を発現しない癌細胞を排除できるのだろうか?

近年話題のチェックポイント阻害薬などの免疫療法は、T細胞の攻撃のブレーキを外す。

しかし、HLA(MHC)が「僕は癌です」と示さなければ、効果を出し得るのだろうか?

今の技術では、iPS細胞の癌化は阻止できるとされている。

けど、普通に生活している人ですら癌になる。

ならば、同様のメカニズムで、iPS細胞もiPSだからではなく、身体の一部だから、癌化する可能性だってあろう。

その時、新しい技術でHLAを消すことが吉と出るか、凶と出るか。

いずれにしても、iPS細胞がHLAを発現している限りは、おそらくはマイノリティには使用が難しい治療法になってしまうのではないだろうか?

マイノリティ......

多様性やオーダーメイド医療とか言われている時代に......

「希望」を集約したパンフレットを読みながら、ふと考えてしまった。

純粋に、新しい技術が与える希望に喜べばいいのに。

もしかしたら、大半の患者が大量生産iPSで治療できるようになれば、例外的にHLA型が合わない人のiPS細胞を本人の細胞で作れるかもしれない。

いずれにせよ、万人に希望がある技術なのかもしれない。

ぜひサポートよろしくお願いします。 ・治療費 ・学費 等 に使用し、より良い未来の構築に全力で取り組みます。