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エッセイや詩

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#エッセイ

瓶に開口部はあるのに

瓶に開口部はあるのに

何の変哲もない緑の葉っぱ。人間の高さから見れば、ひとつひとつは石ころみたいな大きさで、それが密集している。

時刻は暮れ方。
気づけば冬なんて通り過ぎてしまったみたいで、まだこの時間帯でも太陽は元気があり余っているようだ。

仲間みたいにかたまる葉っぱたちを、陽が照らしている。
すると、たちまち黄色に変わる。そこには眩しいくらいの輝きもあって、元々の姿からは想像がつかない。

見つめてみる。
そこ

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[詩]ぼくの後ろの僕

[詩]ぼくの後ろの僕

ぼくの後ろに隠れる僕は
いつも僕の行動を見ている

ぼくとおんなじ背格好をしているけど
僕は帽子を被って少し日焼けた肌をしてるよ

こんなこと打ち明けるのも、そろそろ僕のこと分かっててほしいから

どんなに頑張っても知らんふりして寝てしまうぼくに、そろそろ僕も息詰まってるんだ。

あるとき僕は
君の心を叩いている

君の心臓はドキドキしてる
こうして僕は後押しするのだ
ぼく、これやってみたほうが良

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[詩エッセイ]舞台

[詩エッセイ]舞台

舞台ってなんだ

濃い化粧をして
ハリのある声を響かせる
俳優たちが

大ホールに立ち

私たち観客が それを見ている

それが舞台というもの?

見たこともないから分からない

今日 電車に乗った

初めて ゆく場所

いつも右側に進むけど
今日は左に向かう

その帰り
こっち方面は 人が少ないみたい

一人一人の間に
五シートくらいの隔たりがある

わたしは先頭列車 にいる

ある女の人は 運

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[詩]きょうの カワイイ

[詩]きょうの カワイイ

バスの中

炭酸の音が 響かぬように
少しずつ キャップを回して
体がプルプル震えていた

プシィ
 と、かよわい音

そうやって 油断していたら
私の口から プシュッと笑いが漏れそうだ

周りを気遣う その優しさと
わたしの心も 震えてる

かよわいシュッ、を
鼻から 小さくこぼした

通り過ぎた 自転車
横目で見えた 会社帰りらしい風貌
見ると リュックのチャックから
長ネギだけが つきだして

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[詩]花びら一枚、ラッキー

[詩]花びら一枚、ラッキー

チヤホヤされてる時が全てじゃないの

謙虚な色だからって そうやって生きてるわけじゃないのよ

輝けるのは一瞬だけなの

ひらひらひら

「綺麗だねー」

部活で休憩中の女の子が言う

ブチっ

「だねぇ、ほらほら」

あらっ…なんということ。

一生懸命頑張ってたのに。

あたしの意思で落ちたかったわ。

線香花火でジジっとなるとこまでしかいれなかった、あたし…

ひらり

     ひらり 

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[詩みたいな]水槽

服はスウェットだし 肌の調子だって大して良くない
けれど行きたい 読みたい本がある
チョコレートをひとつつまみ スタートダッシュへ

図書館まで自転車を漕ぐわたし
海のまち この町は風が強い
ときおり 横殴りの風に負けそうになる
体重が ここ最近増えたのにね
まだ気にする必要ないのかな

私  (白い)線 線 線 線  車
窓から見えた運転手は、ディーラーのお姉さんに似てた
譲ってくれてありがとう

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[エッセイ]みるちゃん

[エッセイ]みるちゃん

毎日一緒にいる。

時々、一緒にいすぎて離れたくなるときもある。

でも、時々、どうしようもなく愛しくなるときがある。

電車に乗ってる時、授業中、ふと「いまごろ日なたぼっこして寝てるのかな」と考える。

そんな愛しい、私の愛犬について話そう。

私が自分の部屋に行くと、みるちゃんもついてくる。

作業中、ふと横を見ると、背中を見せて、しっぽを下げてふせをしている。

「かまってほしいなぁ」

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