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「カガリと!大玉転がし篇」
大玉騒動を鎮めたイヌイとカガリは更に大玉を飼い慣らすため、紅と白を1つずつ分け、グラウンドの中央へと運んでいる。夫々きっしりとスタートラインに付いた後、改めてコースを確認した。
「前が見えづらいね~…コースアウトしてイヌイさんに激突しちゃったらど~しよ!」
「そうならんようにしてほしいのやけども?」
「気を付けま~す!」
気を付けると言っておいて何かを起こすのが彼女なのではとイヌイは少々疑
「カガリと!徒競走篇」
9月。ドロシーとの玉入れを済ませた数日後。イヌイは次の相手を探して再びグラウンドへと赴いていた。否、正確には探してはいない。確実に居るのを確認してから、グラウンドに移動している。
寮に設置されたイヌイの部屋は、窓から校舎やグラウンドの様子を見ることができた。其処で9月に入ってからは頻繁に自室から外を眺めるようになったのである。其の際、何度か他の生徒達が競技を行っているところを目撃したが、イヌイ
「見たものから聞いたものまで」
8月8日。夏エリアにて出現したマギアビーストを確認するため、4人のドールが出撃した。戦闘は滞りなく終わり、全員無事に帰還。其の後、内3人は帰宅為るのを見届けると、残りの1人、イヌイは武器庫へと消えていく魔機構獣対策本部の主、アスナロを追うのだった。
イヌイが武器庫へ足を踏み入れると、アスナロが床をめくって梯子を下りていく様子が見える。イヌイは以前、其の場所へ降りたことがあった。其処で奇妙な模様
「願いの競技 ドロシー編」
9月。クラス対抗PGPが開始され幾らか経ったとある日。自室で天井を見上げていたイヌイは静かに思考を巡らせていた。
本当に、自分は進まねばならないのか。悩む前にとっとと断ってしまった方が良いのではないか。進むにしても、本当に彼が正解なのか。他を見ていないから、然う思うだけなのではないか。
何の身にも為らない考えのみが、イヌイの脳を支配する。どれほど頭を回そうと、表に出さない限りは、只の考えに過
「出会って気付いておにぎりぽん」
9月3日。私は自室でひっそりと目を覚ました。8月の私に声を掛けてみる。今日は、大人しい。先日とある者と約束を交わしたおかげか、己の死を強く願うことはなくなった。然し、その分思考力が鈍ったような気がする。
ガーデンの方はといえば、次は『クラス対抗PGP』が始まるらしい。予め決めた競技を他クラスと行い、勝敗を決めるのだそう。あまり詳しいことは分からないが、相手を見つけた際には試してみよう。……扨本
「魔機構獣生成未遂事件」
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「これって、報告書? 入れたらなんや出てくるンですわな。飲みもんとか」
「はい。そうです」
「その飲みもんって、ずっと持っとってもええの? いつまでに飲まなあかんとかあります?」
「30分以内に飲まないと効力を失うようです」
「……そう、30分ね……おおきに、助かったわ」
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釜戸前、半透明なAIと
『█████████……どこまで正しく聞こえた?』
『何を選んだとしても後悔だけはないように。ですよー』
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煌煌魔機構獣が発生してから、あれは不定期に移動を繰り返していた。ある時は海、ある時は映画館、ある時はどこかのエリア……そうしてあれがグラウンドへと立ち入った時、私達は美術館への避難を命じられた。美術館を避難所として使用するのは、以前にもあった。前回の使用も少し長いものではあったが
「フルーツビースト討伐〜ピーチッグ黄・白編〜」
「でも私たちだけというのも……」
「そうなんだよね……」
5月も最早終わりに差し掛かっている頃。2人のドールが何やら相談をしながら、LDKへと姿を現した。リラと、ヤクノジである。余程困っているように見えたのか、先に中に居たドールが声を掛けた。
「__あら、お2人とも。どないしはったんです?」
「あ、イヌイさん! 実は、私とヤクノジさんで魔法の練習を秋エリアの公園でしようって話になったんですけど…
「フルーツビースト討伐〜グレイプフルラット編〜」
「……そんで、あのお面貸してほしゅうて……」
「ああ、うん。そっか、それなら……」
ある日の午後、寮の広間にて、真剣な面持で相談をする2体のドールが居た。
4月頭に出現した『フルーツビースト(仮称)』により、此処箱庭全体は甚大な被害を負っているそうだ。既に何体かは対処が済んでいるらしいが、未だ手付かずの物は多い。そのうちの1体……否、複数体に手を下そうと、交渉を持ちかけていた。
「でも、確かそ
台本メモ レポートの最期を
私:「〜♫」
僕:「うーん……」
私:「君、昼ごはんができ……なんだ、何をそんな獣みたいに唸っているんだい」
僕:「レポートが、終わらなくて……」
私:「レポート——君、大学生か!」
僕:「そうですけど、それが」
私:「いやぁ、そうかそうか! 若いなぁ! うんうん!」
僕:「いた、ちょっと、背中を叩かないでくださいよ……!」
私:「ははは、すまない! つい気分が上がってしまった」
台本メモ 或る貴方へ
今日は大雪ですって。布団だけで乗り切れるかしら。湯湯婆、出しましょうか。添い寝なんて良いですけれど、流石に人肌じゃあ心細いでしょう。一先ずお茶でも飲んで。ゆっくりしましょ。春はまだまだ先なのですから。
こうして冬を越えるのも何回目かしら。私たち、知り合って長いですよね。何年かは置いておきましょう。貴方は色んなことを聞かせてくれたわ。お友達の話、お出かけした話、好きな食べ物の話、貴方の見た夢の話
台本メモ 最終決戦(終わるとは言ってない)
(凡そ6〜10分ほどで朗読できると思います)
よく来たな、勇者よ。
ここまでの道のりはさぞ辛いものだったであろう。時には命の危機もあったはずだ……だが、貴様はそれを全て乗り越え、進み続け、強い力と、仲間を持ち、今、そこに立っている。素晴らしい……
さあ! お前の倒すべき相手は目の前に居るぞ! 貴様が手に入れた力を、技を、絆を! 私に見せてくれ! 渾身の一撃を、この私へ叩き込むのだ!
……
台本メモ 私の最期を(1人読み)
(こちらは別の台本メモ「日々の最期を」の1人読み私ver.です。約10分程で朗読できます)
——うん? あぁ、君か。こんばんは。
なんて言っても、今初めて会ったんだけど。どうしたんだい。こんな冬に、寒い海を悠々と見下ろす崖の上まで足を運んで。
何? 私が、飛び降りるつもりなのではと。この崖から。なぜ? ……ほうほう……何も持たず、靴を脱いで、崖の縁にまで歩みを進めるものだから……と。君は一
台本メモ 日々の最期を
BGM1+風の音
人が走る音
僕:「ちょっと! そこの貴方! 待ってください!」
私:「うん? 私かい?」
僕:「そう、貴方です」
私:「……あぁ、君か! いやあ懐かしいねぇ。なんだろうか」
僕:「え? 僕たち、初対面ですよね? どこかで会ったことあるかな……?」
私:「なぁんて、今初めてあったよ。どうも、初めまして」
僕:「や、やっぱり初めてじゃないですか! いきなりデタ