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『お花とエッセイ』作品集 その12

昼夜の寒暖差に少し鼻をすすっているともきちです。棚に置いてある葛根湯が「今こそぼくを!」と語りかけている気がします。今日は1日、カーディガンなんかを羽織って暖かくして過ごします。

「お鼻とエッセイ」みたいな冒頭文になってしまいましたが、気にせず作品紹介に参りましょう!

56.七草勝負

秋生まれ、秋好きの月草さん。春と秋の「七草」を並べ、勝負仕立てにして届けてくださいました。春の七草は食べられる野草が中心で、秋の七草は花を愛でる野草が中心です。

恨みっこなし。
いざ、尋常に。勝負ッ!

結果はいかに……!


57.待ち合わせは花屋さんの前で

待ち合わせの相手は、名前も声も知らない人。新宿南口のRUMINE、その近くの花屋の前で、少し猫背になりながらスマホを眺めている彼。mayuさんはよく、誰かとの待ち合わせ場所を花屋さんの前にするんだとか。

絶えず音を鳴らす改札口や、路上で声をかけてくるいいかげんな大人たち。そんな無機質な色をした街の中だからこそ、お花屋さんの存在は一層映えるのかもしれません。

東京の人混みの中だからこそ、私は店先のその静かな命の佇まいに、何度でも助けられて生きるのです。

東京の街とお花屋さんとの色彩のコントラストが美しい、味わい深いエッセイでした。


58.母の内なる花。

幼いころ、貧乏だったというmamiさん。親子で参加する遠足の日には、地味なお母さまのことが恥ずかしくて、みんなと少し離れて歩いたそう。

ふと誰かが、「見たことない花が咲いてる」と声をあげました。「毒がないかしら」、「よくわからないけど気を付けた方がいい」と、口々にあいまいなことを言う大人たち。その後ろから急に、こんな声が届きます。

ユキモチソウです。
気をつけて。毒があります、里芋の仲間です。

みんなの視線がmamiさんのお母さまに集中します。いくつもの仕事をこなしていたお母さまは造園業の経験もあり、植物の名前にお詳しかったそう。他のお母さまから次々に質問が飛んできて、一気に円の中心の存在になったお母さま。その姿が少し誇らしく、幼いmamiさんはぎゅっと手を握り直します。

ステキなイラストで想像が膨らむ、あたたかいエッセイでした。


59.お花を生けに行っていた話

「お花は心を和やかにしてくれる」、そう仰るふみさんは以前、近所の建物に飾るお花を生けに行っていたんだそう。

1階と2階と3階、それぞれ異なる大きさの花器が用意されています。食堂にはほっこりできるように小さめの花を、2階の踊り場には楽しさを感じるような大きいお花をと、花を見て喜んでくれる人の姿を想像しながら楽しく生けます。

お花を見る側だけじゃなく、生ける人のわくわく感や楽しむ気持ちを感じさせてくれたエッセイでした。


60.秋めく桜

近所にある、小川沿いの桜並木。今の時期には葉桜の色がだんだんと黄色へ変わっていきます。

少しずつ秋めいてくるのを感じて、
自然の時間の進み具合を見直す。

葉桜の空気や川の様子は、つるさんを新鮮な気持ちにさせてくれます。葉桜の合間から見える車、小さく聞こえてくるエンジン音、そんな日常の気配も心地良く思えてきます。

季節の変わり目という短い時間だからこそ感じる美しさを教えてくださった、心安らぐエッセイでした。


【note用】感謝


↓『お花とエッセイ』作品集↓
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その4 その5 その6
その7 その8 その9
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その4 その5 その6
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