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dbnさん二次創作の感想、反省点と改善点

──酎愛零が二次創作した作品について振り返る話──


 これがッ!キャラクターが勝手にしゃべるという!あの感覚ッ!!

 どうも、最近、栗を食べたくてしかたない私です。クリクリィーッ

 昨日ようやく、noterのdbnさんご本人をを使った二次創作が完結しました。あらすじを書いたのが8月14日なので、じつに2ヶ月近くかかって全6話を書いたわけです。
 いくらなんでも時間をかけすぎだろ、ほんとに完走できるのか、とお思いの方もいらっしゃったと思いますけれども、私自身は完結させることを当然のように思っていましたし、続けることも苦にはなりませんでした。なにせあらすじがもうできているのですから。

 これ以前の作品、清世さんとのコラボ「絵から小説」3作品、かよんさんとのコラボにして私の初の小説「迷い子」/「伝説の息づく町」では、小説の書き方というものをほとんどわからずにいて、勢いだけで突っ走ってゴールした感があり、頭から小説の書き方を意識して書いたものはこのdbnさんの二次創作が初となります。

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■物語ができるまで

 今まで読むことは多かったのですけど、書く側に回るのは初めてだったので、まずは基本から学ぼうと思って、定石セオリーどおりに進行していきました。すなわち、

1.自分が一番書きたい場面シーン(ロマンスシーン、駆け引きの緊張、クライマックスの盛り上がりなど)を思い描き、簡単にメモする。また、その場面シーンに必要な登場人物キャラクターを大まかに創る

2.その場面シーンに至るまでの因果関係プロットをひねりだす。因果関係プロットとは「〇〇した、だから□□になった」であり、「〇〇した、そして□□になった」(前後関係)ではない

3.因果関係プロットが上手く噛み合うように、不自然な所が無いように上手く並べ、粗筋トリートメントを編成する。ここで初めて起承転結の概念が出てくる

4.出来た粗筋トリートメントに沿い、登場人物キャラクターを配置し、感情や動作を付ける。ここで初めて5W1Hが出てくる。時系列、場面転換、視点切り替えカメラワークの大筋を決定し、脚本シナリオを立ち上げる

5.出来た脚本シナリオに沿い、前後関係ストーリーを肉付けしてゆく。この肉付けは均一である必要はなく、むしろ力を抜く所、入れる所、さらっと流すべきところ、細かく描写を入れるべき所のメリハリを付けたほうが良い

6.前後関係ストーリーが出来たら、それを通読し、破綻がないかどうか点検チェックする。少しでもおかしいと感じたら、手順をさかのぼって、どの段階で不具合が生じているのか原因を特定し、修正する

7.全ての点検チェックが終わったら、最終的な文章の推敲及び洗練ブラッシュアップに入る。同じ助詞や助動詞の連続はないか、同じ単語の過度な重複はないか、強意しすぎていないか、擬音や会話に頼りすぎていないか、誰の発言かちゃんとわかるか、ト書きは必要最小限か、説明文が多すぎないか、読者の想像の余地を奪っていないか、伝わらない語彙を使っていないか、などなど

 という手順を愚直に踏んだのです。

 ここまでやって、初めてお披露目ロールアウトすることができます。

 もちろん、先輩の物書きの方々から見たら、基本に忠実すぎてまだるっこしい、とお感じになるかもしれません。でも、私には、まだこれが精一杯です。


 今回は、できるだけいろいろなサイトでの小説書き方指南を勉強しましたが、その中でいくつか意図的に無視したところもありました。まず、「一文は短くする」ということ。理由は単純、私自身がぶつ切りの短い文が嫌いだからです。同じ理由で、「行間を開けること」も無視しました。あと、会話文を多くすることを推奨する所もありましたが、これも私自身が会話の連続で綴る文体が嫌いなので無視しました。会話だけのやりとりは、長くても3,4ラリーといったところでしょうか。自分が嫌いな要素を徹底して排除できるのは、物書きの特権ですね(それが世間に受け入れられるかどうかは別にして、ですけど)。
 おおむね、自分のやりたいことができた二次創作だったと思います。

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■反省点と改善点

 では、反省点を洗い出し、それに対する改善策を練っていきます。


1.時間がかかりすぎる
 これは、期限がないことによる自身への甘えとか、私の怠惰な部分がもろに出てしまいました。次からは、たとえ期限の切られていないものでも、自分なりの最終期限を決めて望みたいと思います。


2.連載に適した分量に分けられていない
 これが今一番の問題。結果として全6回、41417文字になりましたけれど、文字数が大きく違う回がありました。と言いますか、回を追うごとに長くなっていった感じでしょうか。1話目が4853文字、2話目が4383文字ですが、3話目でいきなり8177文字になり、4話目で5946文字、5話目で7303文字、最終の6話目は12283文字もあります。これはまだまだ腕を磨かなければなりません。


3.途中から文体が変わっている
 お気づきになった方もいらっしゃるかもしれません。私は最初、太宰治の「走れメロス」を読み込んで書き始めたのです。(なぜ走れメロスなのかというと、以前dbnさんのコメント欄に走れメロスのパロディーコメをしたことがあったからです)
 しかし、途中、池波正太郎の「鬼平犯科帳」を読む機会があり、その時に文体が引っ張られて池波正太郎のテイストを帯びました。意図してやるのでない限り、これは物書きとしてはけっこうやばめな事態です。少なくとも連載しているときは、うかつに他の人の作品を読むことはできません。


4.現世界のカタカナ語を使ってしまった
 最初、異世界感を出すためになるべくカタカナ語や現世界の度量衡の単位を使わないようにしていました。しかし、途中で実装されたあれがきっかけでカタカナ語を使うようになってしまいました。……そう、noteのルビ機能です。あれが実装されていなければ、弩砲バリスタや、投擲槍ジャベリンが表舞台に出てくることはなかったでしょう。


5.あえてわかりづらい表現にしたところがあった
 これは表現として諸刃の剣だな、と思って投入しました。アイレイの唱えた呪文の詠唱から発動までのシーンです。『世界の深淵に潜みし極北の息吹よ!我が求めに応じ、来たりて我が敵の魂を摘み取り給え!』とか絶対やりたくなかったのと、絵、音楽、映像といった他の表現手段に対しての挑戦的な意味合いもありました。(これをあんさんらの手段で表現できるなら、してみなはれ)的な。

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■思い通りに出来た点

 ここは狙ったとおりに表現できたな、思ったとおりに収まったな、という点を列記していきます。

1.おおむね粗筋どおりだった

 基本に忠実に、書き進めていった結果だと思います。飲んだくれのヘタレ兵士(笑)だったdbnさん、いえ、士官ドバンが、仲間と窮地を切り抜けて成長するという大筋に、禁酒を誓う→失敗する、といういつものルーティーンで前後を違和感無く挟む、というのが命題でした。自分では成功したと思います。


2.名前のついた老兵キャラクター全員にセリフを言わせることができた
 これは、私の「名有りのキャラクターは背景ではない」という信条を反映したものです。名前こそお酒──今回はウイスキー──を中心としたおふざけですが、若いお酒と違って歳を経た存在=老兵というイメージにしていたので、全員にセリフを言わせることができて良かったです。(もっとも、アスコットは『ヘネシー!』としか言いませんでしたが……)

「貴族の坊っちゃんのお守りかい。老いぼれたかァねえな」バランタイン
「お前もいつも日の出前に起きているではないか」ハーパー
「頬当てと酒のアテにかけて!」ヘネシー
「通常でなければ、異常だ。備えたほうがいいぞ」ジム
「なんじゃ、皆だらしない。少し動いただけでこのざまかえ」マッカラン
「「ブチこむぞ!」」ジャック&ダニエル
「どの道、弩砲では真下に射撃はできんわい」シーバス
「ヌシらの下にもおるぞ!おおい、おおい!」デュワーズ
「わからねえ。気がついたら数が減ってやがったんだ」ローゼス
「いったい何のつもりでえ……薄気味悪くてしょうがねえぜ……」ウォーカー
「ヘネシー!」アスコット


3.魔法の描写に関してとりあえず納得するものが書けた
 これはですね、今まで見たり聞いたり読んだりした魔法の描写に不満を持っていたんですね。反省点のところでも書きましたけど、ゲームあるいはラノベ的な呪文は大嫌いですし、「ハリー・ポッター」シリーズの『クルーシオ!』と叫んで杖から光線を出す、という描写も(スター・ウォーズのブラスターと何がちゃうねん)と思っていたので、絶対違う描写をしてやろうと思っていました。

果たしてアイレイの口から流れ出てきたのは、普段の彼女の声とは似ても似つかない不気味な音声だった。ぞっとするような、それでいてどこか不思議な懐かしさを感じさせるそれはドバンの耳に奇妙な届き方をし、人間の声という印象ですらなかったが、ドバンの心をすぐさま奪った。
 早口でもなくゆっくりでもなく、決して大声ではなくむしろ囁き声に近いのにもかかわらず、その声は朗々と周囲に響き、あたかも天から降り注ぐように、そして真逆にも大地から湧き出すように辺りを支配し、それは単に空間を震わせるだけでなく、もっと根源的な何か──世界や次元を形作る枠組みのようなものに語りかけ、その枠組みの隙間を流れていくように感じた。
人間には到底伺い知れない次元の最奥で、深淵にわだかまる、想像することすらできない何かが身じろぎしたような、そんな直感を得た。
これ以上、あの呪文の詠唱を聴いてはいけない。あれはきっと人間の言葉ではなく、人間に語りかけるものでもないのだ。
呪文の最後の言の葉が、拡散した。
音なき震動。破壊なき断裂。
無音で硝子板を粉々に割り砕くような感覚がその場にいた人間たちを襲い、次いで凄まじい勢いで何かが吸い取られる感覚が足元であった。

 結果としてわかりづらい表現になってしまうことも覚悟していましたが、やって良かったと思います。
 私は基本的に「魔法とは、人間がまだ理解できない高度な理論体系」だと考えていて、作中の魔道士は学者のような存在にしました。レイモンサウアーの持っていた魔法剣キンミャーは、その理論を一般人にも扱えるようにマイナーチェンジ、もしくはデチューンしたもの、という扱いです。

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■想像を超えた点

1.dbnからドバンへ
 最初は(dbnさんならこう言うだろうなー)と思ってセリフを考えていました。

こんなに正直で、プライドなんか関係ないって風で、腰が低くて丁寧なのなんてずるい。こんな子の相手、できないよ。すぐにバレちゃう。私がなんにも誇れるものがないやつだってことが、バレちゃうよ。

 しかし、回を進めるごとに、士官ドバンが口にするのは「私が考えたdbnさんのセリフ」ではなく、「リカー・ワールドの片隅を生きる士官ドバンの肉声」へと変わっていきました。

もう、二度と。
もう、二度と、繰り返させない。

 私の手を離れて、キャラクターが成長し、自ら考え、自らの声でしゃべる。私は彼ら、彼女らの心の内を知りながらも干渉せず、いつしか記録を取っているだけの状態になりました。


2.書くのが止まらなくなった
 これはきっと、これだけで記事が一本書けると思います。おそらくクリエイターだけが知る、創っている時にしかつながらないシナプスが、次々とつながる経験をしました。あふれるインスピレーションはどこから来るのか。


3.創作の新しい形を得た
 叩ける石橋を残らず叩いてから渡る私。そのスタイルはそのままに、橋ではなく、言うなれば「鈎縄」という移動手段を得ました。コラボ先、二次創作先という起点にひっかけ、一気に飛び込む、そんな感じです。着実な歩みではなく、あくまで実験的な要素が強い進み方ですけど、着地した先が橋頭堡きょうとうほを築けるかどうか確認するために使えます。機動性重視で飛び回り、充分に手応えを感じたら、本体に盤石の石橋を渡らせる。そんなやり方を垣間見た、今回のdbnさん二次創作でした。


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 最後に、このような機会を与えてくれたdbnさんに感謝と、いつも欲しがっている愛を捧げます!笑笑



 note街はまさしく、学びと成長の機会にあふれた場所。


 これからも、いろいろな人から影響を受け、変化し続けながら、私は私のカラーと呼べるものを確固としてゆくのでしょうね。


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今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

それでは、ごきげんよう。

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