画廊喫茶マヨヒガ:act.0 天地創造 〜はじまりの物語〜
霞たなびく深山幽谷の奥、殆ど人跡未踏と思しき場所に小さいながらも瀟洒な洋館があることなど誰が知ろう。知られる必要はない、知る術もない。知ったところで神ならぬ人の身では訪問することなど叶わぬというもの。故にその館が何時からそこにあるのか、誰の住まう居なのか、記憶している者はひとりたりとも居らぬはずである。
しかし声を潜めてまことしやかに囁かれる噂によれば、その館は自ら人を招くという。傷つき弱った者を、人生に倦み疲れた者を、貧しくとも正直に生きる者を。或いは、驕り高ぶる者を